みやビズ

2018年7月16日(月)
紙面県内経済

人手不足時代を生きる 第1部(3)増える人件費

2017/12/01

獲得競争 中小に負担

来春の増床リニューアルに向けて工事が進むイオンモール宮崎

獲得競争 中小に負担


 初任給を18万円から25万円に-。宮崎市のIT企業アラタナ(濵渦伸次社長)は、来年度から高校、大学とも新卒の給与を大幅に引き上げる。東京の新卒(大学)平均給与21・1万円を大きく上回り、既存社員の給与も底上げする。

 県が7月行った企業アンケートで、「人材不足」と回答した企業の割合が業種別で運輸業に次ぐ多さだった情報通信業。県内では近年、IT企業の企業立地が相次いでおり、人材獲得は難しさを増している。

 大幅な給与引き上げの理由について、濵渦社長は「優秀な社員確保に向けた取り組み」とし、若者の県外流出が続く現状への危機感も挙げる。「人口が減るところは衰退しかない。それを止める一助になれば」 一方、今回の決断は大きな負担を伴い、人件費は数千万円増える見込み。濵渦社長は「思い切った判断だが、会社の成長に向けた人への投資」と言い切る。

 来年3月に増床リニューアルを控えるイオンモール宮崎(宮崎市)。約70店が新たにオープンする予定で、約1千人の新規雇用を計画している。

 これまで従業員には、福利厚生として映画鑑賞券の割引などがあった。今春からは館内の託児所利用料を8割も安くしたり、理髪店を100円で使えるようにするなど、さらに充実。その費用として前年度比で約6倍の予算を組んだ。

 藤本康久ゼネラルマネジャー(GM)は「働く人がよりいい環境を求めるのは当然。新規雇用の促進と人材定着につなげたい」と狙いを語る。700~800円台が主だった、テナント間の時給も上昇傾向。藤本GMは「人集めが難しく、賃金に反映する傾向が強まっている。来春には時給1000円台の店も増えてくるのでは」と見通す。

 過熱の一途をたどる人材の獲得競争だが、県内企業の99%は中小企業。人手不足に伴う賃金上昇が大きな負担となっていることに加え、人手が足りなくても簡単に賃上げの流れに追随できないジレンマがある。

 県中小企業家同友会が実施した7~9月期の景況調査では、採算が悪化したと回答した26社中7社が「人件費の増加」を理由に挙げた。経営上の問題点としても143社中24社が「人件費の増加」と回答した。

 飲食や小売など約40店が加盟する一番街商店街振興組合(宮崎市)の吉田孝平理事長は「賃上げに比例して売り上げが伸びるわけではない。かといって、低い賃金では人は集まらない。多くの経営者の悩みどころだろう」と話す。

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