みやビズ

2018年7月21日(土)
紙面県内経済

人手不足時代を生きる 第1部(1)影響

2017/11/28
求人実らず黒字閉店

 延岡市愛宕町にあるお好み焼き店は、年内で閉店する。原因は人手不足だ。この店をフランチャイズで経営する60代のオーナーは「6年前にオープンした時、まさかこんな理由で店を閉めるとは思わなかった」と深いため息をついた。

ながの屋芳士店のセミセルフレジで支払いをする客

ながの屋芳士店のセミセルフレジで支払いをする客

 開店以来、売り上げは順調。週末の昼間は順番待ちができる人気だったが、営業に必要な数の店員が集まらない。ハローワークやインターネット広告でアルバイトを募集したが、この1年間は問い合わせが1件もない。

 自ら勤務シフトに入り、家族の手伝いも得て営業を続けたが、主力店員が大学卒業などで立て続けに4人辞めることになり、諦めた。黒字閉店にオーナーは「もったいないと思うけど、人が集まらない。営業を続けるのは無理」とこぼした。

 宮崎労働局によると2016年度の県内の有効求人倍率は1・27倍。バブル期(1991年度)の1・09倍を上回り、今年7月には1・44倍まで上昇している。これは求職者2人を三つの事業所が取り合っている状況で、求人側にとって深刻な事態だ。

 「ここ3年、高卒新人の採用はゼロ。本当は毎年4、5人くらい採用したいのに」。ショーケースなどを製造するフジキン(都城市)の武永健治郎社長は悩ましげに語る。社員43人のうち半数が技術職。平均年齢は60歳超で高齢化が進む。オーダーメード品の製造には高度な技術が必要で、習得には10年以上かかる。「若手が入ってこないと技術の継承に不安がある。人を確保できなければ事業縮小も致し方ない」

 人材確保が難しくなる中、企業も知恵を絞っている。スーパーなどを運営する永野(宮崎市佐土原町)は、昨年オープンした「ながの屋芳士店」(宮崎市)にセミセルフレジを6台導入した。

 セミセルフレジは商品スキャン(バーコード読み取り)を店員が行い、客が精算する。客は待ち時間が短くなり、店員は精算の必要がないので負担が軽くなった。

 特にお金の授受が絡む精算は正確さが求められ、店員の中にはレジ係を敬遠する人もいる。「金銭授受の精神的な負担がないのでスタッフの募集もしやすく、応募する側も気持ちが楽。友人も誘いやすい」と甲斐丈寛店長。

 流通小売業界は大手と地場の出店競争が激しい。永野では「品ぞろえや価格で差はつけにくい。違いを出すなら顧客サービスで、それを行うのが店員。いい人材に長く、気持ち良く働いてもらうことが、結果的に競争を勝ち抜く力になる」と考えている。

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 人口減少や緩やかな国内景気の回復を背景に、全国と同じく本県でも人手不足感が強まっている。大手企業は大学・高校などの新卒者を積極的に採用。そのしわ寄せが本県のような地方の労働力不足に拍車を掛け、経済成長の足かせとなっている。第1部では人手不足の現場を歩き、県内の現状をリポートする。

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