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2019年7月21日(日)
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みやざき経済Eye ミツイシ 蛤碁石輸出

2017/10/13
適正価格へ中国で特約 ブランド価値浸透狙う 蛤(はまぐり)碁石製造販売の黒木碁石店を運営するミツイシ(日向市、黒木宏二社長)は、碁石の輸出に力を入れている。同社の碁石販売先は7割が中国、米国、ロシアなどの海外が占める。特に高級品の需要が高い中国の販売店と特約代理店契約を結ぶことで安定した取引を進めている。

適正価格へ中国で特約 ブランド価値浸透狙う


中国の販売店と特約代理店契約を結ぶなど海外取引の安定化を図るミツイシの黒木社長=日向市・はまぐり碁石の里

 蛤(はまぐり)碁石製造販売の黒木碁石店を運営するミツイシ(日向市、黒木宏二社長)は、碁石の輸出に力を入れている。同社の碁石販売先は7割が中国、米国、ロシアなどの海外が占める。特に高級品の需要が高い中国の販売店と特約代理店契約を結ぶことで安定した取引を進めている。

 同社は1917(大正6)年に創業し、日向市産のハマグリを使った蛤碁石を製造販売する老舗。同市産の蛤碁石は国内最高級と評されたが、ハマグリの水揚げが激減したことなどで、製造会社数も減少。現在はメキシコ産に切り替えて、同社を含む同市の3社のみが国内で製造を続けている。

 同時に国内の囲碁愛好者も減少。日本生産性本部が調査・発表しているレジャー白書によると、囲碁の参加率(1年に1回以上その遊技をした人の割合)は82(昭和57)年は12・3%だった。その後は減少が続き、2014年は3・1%にまで落ち込んだ。これに合わせて碁石や碁盤の国内市場も縮小している。

 一方、活況なのが愛好者数が安定して推移している中国や増加傾向にある欧米だ。同社も10年ほど前から海外への販売が増え始め、英語版のホームページ(HP)を立ち上げるなど海外顧客の取り込みを図ってきた。

 黒木社長は「特に中国は囲碁を情操教育に取り込んでいるだけでなく、高級碁石を贈答品に使う文化がある。高品質の蛤碁石の需要は今後も高い状態で推移するだろう」と見ており、海外を軸とした販売強化を目指す。

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 輸出が順調に拡大する中で、課題も浮かび上がってきた。中国への販売はHP通販のほか、現地の輸入業者や個人など約10社を通じて行っていた。この中で、碁石の伝統工芸品としての価値の高さや中国がめまぐるしい経済成長を遂げたことを背景に、現地での販売価格は国内の2~3倍へと膨れ上がってきた。

 その一方で、国内の販売価格は消費低迷のため廉価になっており、日本で碁石を調達し、中国で高額で販売するブローカーたちが暗躍するようになったという。「不良品を良品だと偽って販売され、蛤碁石への信頼が失墜しているケースもあった」と黒木社長は明かす。同時に「厳しい経営環境の中で自分たちが節度のない売り方をしたために市場価格を乱してしまった」という反省もあった。

 そこで長期的にブランド価値を浸透させるため、蛤碁石の価値を正当に判断し、適正な価格で販売することを盛り込んだ特約契約を設定し、2016年に現地の3社と特約店契約を結んだ。

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 同時期に国内価格の見直しも実施。最高級規格「雪印」の40号(厚さ11・3ミリ)を約26万円から約72万円とするなど高級品を中心に海外と同水準価格へ引き上げた。これに対し、国内関係者の反発もあったという。

 しかし、黒木社長は「これまでの値下げには不当な部分もあり、このままでは伝統文化の継承がままならないと判断した」と説明。「職人さんの待遇や地位の向上を図りながら、文化を守り育てることも会社の責任」と理解を求める。一方、実用品は小幅な値上げにとどめることで、入門者が買い求めやすくするなど、囲碁の普及にも配慮した形だ。

 蛤碁石の原料は現在、メキシコからの輸入品を使用している。時代の流れとともに機械技術は進化したが、きれいな碁石を作り、仕上がりを目や手触りで確かめる職人による工程は創業から100年間変わっていない。黒木社長は「国内、海外と関係なく、蛤碁石の価値を正当に評価してもらうための一手。魅力ある産業に復活させたい」と話した。



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