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2018年7月20日(金)
紙面県内経済

キヤノン 高鍋に新工場<中>

2017/09/23
 キヤノンが新工場を建設する予定地は高鍋町の南九州大・高鍋キャンパス。2010年に都城市へ完全移転し、地域経済は打撃を受けた。

 町内でコンビニエンスストアを経営する松尾正博さん(70)はキャンパスの移転前、同大学生をアルバイトで常時7、8人雇っていた。

地域経済 人口増や活性化期待

南九州大・高鍋キャンパスの移転に伴い、多くの空室が生じたアパートに手を加えるなどし、社会人ニーズを取り込んだ吉野不動産の物件

地域経済 人口増や活性化期待

 キヤノンが新工場を建設する予定地は高鍋町の南九州大・高鍋キャンパス。2010年に都城市へ完全移転し、地域経済は打撃を受けた。

 町内でコンビニエンスストアを経営する松尾正博さん(70)はキャンパスの移転前、同大学生をアルバイトで常時7、8人雇っていた。「移転後は働き手の確保に苦しんだ。学生客もゼロになり、経営への打撃だけでなく、とても寂しい思いをした」と振り返り、キヤノン進出を「世界のトップ企業であり、計り知れないインパクトがある。にぎわいを生み、あらゆる面で弾みがつく」と喜ぶ。

 キャンパス移転はアパート経営も直撃した。高鍋、新富町の物件を扱う吉野不動産(新富町)の吉野大作社長は「高鍋全体で一気に400ほどの空室が出た」と語る。

 オーナーの相談を受け、初期費用をなくして家賃を下げ、床・壁の張り替えなどを行い、入居者の確保に奔走。「高鍋に住みたい」という社会人のニーズをすくい取り、窮地を乗り切った。

 新工場は500人程度の新規雇用が見込まれており、吉野社長は「さまざまな商工業者の出店や周辺自治体への入居などにつながれば」と期待。16年度、28件の移住相談が寄せられた高鍋町の担当課も「仕事はあるかという問い合わせが多いので、町をPRしやすくなる」と歓迎する。

   □      ■

 新工場は木城町に立地する宮崎キヤノンの工場を移転・拡大させる形となる。現在の従業員は約千人。居住地で最も多いのは高鍋町の約240人。これに宮崎市の約210人、西都市の約170人が続く。木城町は100人に満たず、新工場の建つ高鍋町は十分に通勤圏内であり、大幅な人口流出は考えにくい。

 木城町は25年間にわたり、他の市町村に先駆けて手厚い定住促進、子育て支援策を展開してきた。結果、15年国勢調査で人口は増加に転じ、5231人となった。全国797ある過疎地域指定市町村の中で人口が増えたのは、同町を含め7自治体のみ。年少人口(14歳以下)も15・05%と県内2番目に高かった。

 木城町の半渡英俊町長は新工場で多くの新規雇用が生まれるのを見据え、「未来志向に立ち、定住人口への取り込みを目指して先手先手を打っていく」。そのためのプロジェクトチームをつくり、施策に磨きをかけ、積極的に情報発信する考えだ。

 一方、近隣自治体には広域的な恩恵を期待する声もある。西都商工会議所の仁科俊一郎会頭は「西都児湯地区の交流人口が増え、景気浮揚につながる」と見解。「この地区全体の人材の能力や供給力、生活環境などにポテンシャルを認めての工場立地だろうから、西都児湯地区に注目する新たな企業が出てくるのではないか」と展望する。

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