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2018年7月16日(月)
紙面県内経済

宮崎太陽銀利益剰余金141億円

2017/09/08
 宮崎太陽銀行(林田洋二頭取)の利益剰余金が2017年3月期で141億円となり、10年3月に国から注入されていた公的資金130億円を初めて上回った。また、公的資金を受けている全国9地銀のうち、同行のみがコア業務純益など4項目全ての数値目標を達成。日銀のマイナス金利政策や金利競争で収益環境が悪化する中、同行がどのように利益を積み上げたのか探った。
強化計画忠実に実行 中小企業支援で成果

収益環境が厳しい中、公的資金の注入額を上回る利益剰余金を積み上げた宮崎太陽銀行本店

収益環境が厳しい中、公的資金の注入額を上回る利益剰余金を積み上げた宮崎太陽銀行本店

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 宮崎太陽銀行(林田洋二頭取)の利益剰余金が2017年3月期で141億円となり、10年3月に国から注入されていた公的資金130億円を初めて上回った。また、公的資金を受けている全国9地銀のうち、同行のみがコア業務純益など4項目全ての数値目標を達成。日銀のマイナス金利政策や金利競争で収益環境が悪化する中、同行がどのように利益を積み上げたのか探った。

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 同行は、県内外の取引先企業の相次ぐ倒産や法的整理に伴う与信関連費用の増大、リーマンショックの余波で、09年3月期に41億6500万円、10年3月期は83億2900万円の純損失を2期連続で計上。破綻の危機をしのぐため、議決権のない優先株2600万株を発行し、これを国が取得する形で公的資金の注入を受けた。

 この時、公的資金の返済などについて金融庁との間で、返済期限は25年3月期と設定し、利益剰余金を返済原資に充てることを決めた。

 金融庁は改正金融機能強化法に基づき、3カ年単位で経営強化計画を策定するよう同行に指示。さらに、本業のもうけを示すコア業務純益、業務効率化の指標となる業務粗利益経費率、そして中小企業向け貸出金残高、経営改善支援取組率の4項目を全て数値化させ、目標達成率を半期ごとに審査することで早期の再建を促した。

 目標値は収益環境を考慮して決められるが、同行総合企画部は「決して甘くはなく、厳密なチェックを受ける」と説明する。さらに、金融庁が定めた数値を下回ると業務改善命令が出されることもあり、公的資金を受けた金融機関にとって、同計画は経営方針を示す絶対的存在となっている。

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 同行は同計画を忠実に実行することで、コア業務純益は12年3月期以外全てで目標を達成。利益剰余金は、11年3月期が17億円(計画額11億円)、12年3月期が29億円(同22億円)と計画を上回るペースで積み上げた。そして、17年3月期には計画を55億円上回る利益剰余金を計上した。同行は金利以外の経営支援やファンドを通じた中小企業への出資、配当金の収入などで収益力を高めた成果であることを強調する。

 同計画に基づき、同行は取引先の全てを個別訪問し、事業性評価に力を入れ、経営課題の聞き取りや解決のサポートなどを実施。これまでになかった細やかなサービスを行うとともに、行員の“目利き力”を養った。

 この結果、中小企業向け貸出金残高は10年3月期の2100億円から、17年3月期は2453億円へと増やした。また、創業や新事業開拓、事業承継などの経営改善支援の取り組み件数は15年3月期から439件増の17年3月期は1319件とした。同行総合企画部は「悩みに寄り添って解決に導くまで丁寧に支援することが、太陽銀が提供する価値だと認識してもらえた」と分析する。

 宮崎太陽キャピタルなどとの出資で05年に設立した「みやざき太陽チャレンジファンド」が投資した地元企業の成長も業績を支える。直近2年でファンドから数億円の配当を得ており、同行は「地元企業への投資が配当という形で本業の業績を支えたことは意義深い」と話す。

 現時点では公的資金の前倒し返済はせず、25年3月期に一括返済する見通し。行内には「順調に利益剰余金を積み上げ、健全化は図られた」とする声もある。地銀を取り巻く経営環境は年々厳しくなり、地銀再編の動きも活発化している。動向が注目される。

(西村公美)

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