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2018年5月24日(木)
紙面県内経済

外貨獲得どう拓く【2】県内経済の好循環へ

2017/02/17

 本県は外貨獲得の余地を多く残すが、中でも他県より優位な農水産業の潜在力は高い。


 本県の農業産出額は3326億円で全国5位(2014年、生産農業所得統計)。栽培漁業や種苗放流にも力を入れる漁業の生産額は343億円で12位(13年、漁業・養殖業生産統計年報)に位置する。
 一方、食料品製造業出荷額(飲料など除く)は3169億円で27位(14年、工業統計表)と振るわない。こうしたデータから本県は、1次産業と2次産業の結び付きの弱い素材供給型であることが分かる。言い換えれば、加工で付加価値を生み出す力が不足し、多くの外貨を取りこぼしている状況にある。

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 国内屈指の生産力を生かし、加工、販売までを県内事業者が担う総合的な食関連産業を育てることができれば、県内で生み出されるお金や雇用が増え、経済成長のエンジンとなり得る。05年県産業連関表を基にした県の試算によると、県外・海外に移輸出している農畜産物1600億円分のうち100億円分を県内で加工すれば、380億円の経済波及効果と2千人の雇用が期待できる。県がフードビジネスの推進に注力しているのはこうした理由からだ。

 ただ、「つくったモノを売るという考え方では成功しない」と県産業振興機構副理事長の緒方哲氏は指摘する。

 農業算出額が4151億円の千葉県(4位)と、4263億円の鹿児島県(3位)の食料品製造業出荷額を比較すると、千葉県は1兆3392億円、鹿児島県は6572億円で2倍以上の開きがある。これを見ると、首都圏という巨大マーケットに近い千葉県の地理的優位性は明らかだ。そこで、距離的ハンディを抱える本県にとって重要となるのが、市場調査や分析などに基づいた付加価値の高い「売れるモノをつくる」というマーケットインの視点だ。

 緒方氏は、丁寧な市場調査に基づき、県産ゴボウを使ったお菓子「ゴボチ」を開発し、大都市圏を中心に販路開拓して業績を伸ばすデイリーマーム(宮崎市)を例に挙げ、「こういう企業の増加が本県の稼ぐ力につながる」と説く。
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 県内では農水産物の付加価値を高めるための新たな試みが散見されるようになった。

 デナーダ(門川町)は県北を中心とした漁港や漁師から直接仕入れた新鮮な魚介類を、大都市圏へ安価で届ける産地直送サービス「CHOKSEN(ちょくせん)」を昨年スタート。ITと空輸によって時間距離を縮め、相対取引をする東京の飲食店から高い評価を得ている。

 魚のおいしさを維持させる技術「神経締め」を施すことで付加価値をつける一方、産直で流通コストを縮減し、魚価の向上を実現している。佐々木大樹社長は「もともと魚介の品質は高い。ITの力で市場評価を適正なものに上げ、漁業の所得向上につなげたい」と話す。

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