みやビズ

2018年5月24日(木)
紙面県内経済

海外展開に挑む4 文化を理解し差別化

2016/11/03

 海外展開において出遅れ感が否めない本県だが、後発であっても付加価値を高めることでマーケットに割って入ることができる。その例を静岡、宇治、八女といったブランドが先行する緑茶に見る。

宮崎茶を扱うロンドンのオールドストリートにある店舗

宮崎茶を扱うロンドンのオールドストリートにある店舗

後発組の活路

 海外展開において出遅れ感が否めない本県だが、後発であっても付加価値を高めることでマーケットに割って入ることができる。その例を静岡、宇治、八女といったブランドが先行する緑茶に見る。
 英ロンドンのオールドストリート。その一角に、日本の商材を扱う瀟洒(しょうしゃ)な店がある。現地企業が英国内の商社などを相手に、日本文化を象徴する箸や風呂敷、筆などの商談を行う拠点として10月上旬にオープンしたばかり。店内には実物を見てもらうためのギャラリーも設けた。ここに、日本を代表する緑茶として「宮崎茶」が置かれている。

 輸出しているのは茶商の園田茶舗(宮崎市、園田明社長)。香りの高い「一番茶ほうじ」、色合いが美しい「深蒸し茶」など自社で加工した6種類の茶葉を真空パックで輸送する。商社の関係者からは「えぐみがない」「スッキリしている」と評価は高い。同社役員の園田典子さんは「茶葉からお茶を入れるライフスタイルが定着する英国だからこそ入り込める」と販路拡大に自信をのぞかせる。

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店内ギャラリーでの展示に、しゃれた小瓶や湯飲みを使うのも日本人には思いつかない発想

店内ギャラリーでの展示に、しゃれた小瓶や湯飲みを使うのも日本人には思いつかない発想

 子供の頃から英国に憧れを抱く典子さんが、宮崎市で経営する緑茶カフェ「グリーンティーフィールズ」の店内も英国風。その英国で「宮崎のお茶のおいしさを広めたい」という思いが輸出に挑戦するきっかけだった。

 「宮崎は優れた茶の産地なのに評価されていない」というもどかしさも後押しした。日本茶として海外に輸出される茶葉は、いろんな産地のものがブレンドされることも。茶商として、日々努力する県内生産者の自信につながるようなことがしたかった。

 ただ、「おいしいから飲んで」とPRするだけでは勝負できないことは予想できた。そこで、まずは時間をかけ、現地消費者の日本茶に対する評価や課題を調べた。そして「香ばしい玄米茶は好みに合わない」「英国の硬水では日本茶の美しい香りや色が出にくい」といった課題を見つけては、自社加工の強みを生かして一つ一つ解消した。

 昨年は英国とドイツに単身渡り、地元消費者の反応を直接確認。これらの積み重ねでライバル産地にはない価値を生み出し、英国企業との今回の取引を実現した。

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 茶の輸出は年々増加し、今後も拡大が見込まれる。国内だけでなく、中国など他国にもライバルは多い。また、茶同様に本県の潜在力が高い農産物や加工食品にも厳しい輸出競争が待ち受けている。

 資金面などで県内中小企業の海外進出を後押しする日本政策金融公庫宮崎支店中小企業事業の矢田浩統轄は「北海道のような地域ブランド力を持たない地方にとって、付加価値を高めることによる差別化は販路開拓の大きな武器になる。差別化を明確にするためには、現地に根差した食文化やライフスタイルを理解し、突破口を探る努力が必要だ」と強調する。

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