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2018年4月24日(火)
紙面県内経済

海外展開に挑む3 中小企業の限界

2016/11/01

成功へ“他力”活用を ある中堅焼酎メーカーは2005年、県内でいち早く輸出に乗り出した。国内で本格焼酎ブームが到来した時代。一方で、若者のアルコール離れや他社との競合激化への危機感が高まっていた時期でもあり、ブームの勢いに乗じての海外展開は時宜を得た経営判断だった。

最大14カ国に焼酎を輸出していた県内の中堅メーカーは現在、5カ国にまで輸出先を減らしている

最大14カ国に焼酎を輸出していた県内の中堅メーカーは現在、5カ国にまで輸出先を減らしている

成功へ“他力”活用を

 ある中堅焼酎メーカーは2005年、県内でいち早く輸出に乗り出した。国内で本格焼酎ブームが到来した時代。一方で、若者のアルコール離れや他社との競合激化への危機感が高まっていた時期でもあり、ブームの勢いに乗じての海外展開は時宜を得た経営判断だった。

 1年目は台湾などへ100リットル程度の出荷にとどまったが、ピーク時の08年には東南アジアや豪州、ドイツなど14カ国に販路を広げ、出荷量は4千リットル超に拡大。ところが、09年以降は注文が減り続け、15年は5カ国、約千リットルにまで落ち込んだ。「味に自信はあるが、各国のマーケットをフォローする体制が取れなかったことが要因」と同メーカーの専務は分析する。

 台湾以外は国内の酒類卸会社に業務を一任していたことで、その会社の気持ち一つで潮が引くように一気に販路を失っていった。「人員を割けない中小企業だけでの海外展開では限界がある」と、専務の表情には悔しさがにじむ。

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 輸出は商品を出荷して終わりではない。現地におけるバイヤーやディストリビューター(販売代理店、卸売業者)の選択を誤れば、手痛い結果を招くことも珍しくない。

 さらには代金の回収、現地での法的手続き、店舗展開する場合の労使問題をはじめ、多くの課題をクリアする必要がある。思うような成果が上げられずに撤退を余儀なくされた企業には、こうした課題に対応しきれなかったケースが多い。

 では、中小企業はどうしたらよいのか。行政や金融機関といった支援機関の活用が求められる。

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 例えば、宮崎銀行は台湾の中国信託商業銀行やインド最大手のインドステイト銀行との業務提携を生かし、相互の取引先のニーズ紹介、ビジネスマッチング、商談会の共同開催などを実施。中小企業でも海外へ進出しやすい環境整備に力を注ぐ。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)では、経験豊富な専門家と二人三脚で海外進出を目指す事業を展開。このほか、海外展開を下支えする国や自治体の補助金などもあり、これらを有効に活用することが、ノウハウや資金面でのリスク回避につながる。

 こうした備えに加え、ジェトロ宮崎の宮内安成所長は「パートナーの存在が、リスクを軽減しつつ成功に近づくための鍵になる」と指摘。事情に精通した現地企業や輸出に強い国内商社などをパートナー候補に挙げ、「まずはプロの手を借りるのが近道」と説く。

 ただ、商社はおびただしい数の商材を扱うため、自社の商品が埋没してしまう懸念がある。そうならないために商社への継続的な情報発信や、自社独自の市場分析といった努力を宮内所長は求める。その上で「ノウハウが蓄積されて海外での売り上げが安定してくれば、自社単独でやれるだけの体力はつく」と話す。

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