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2020年2月24日(月)
紙面県内経済

肥後銀・甲斐頭取インタビュー(上)【熊本日日新聞】

2014/12/25
人口減見据え判断/提案力より大きく
かい・たかひろ 慶大卒。75年肥後銀行。常務、専務を経て09年6月から現職。63歳。熊本市出身。

かい・たかひろ 慶大卒。75年肥後銀行。常務、専務を経て09年6月から現職。63歳。熊本市出身。

 肥後銀行(熊本市)の甲斐隆博頭取は、鹿児島銀行(鹿児島市)との経営統合発表後、初めてインタビューに応じた。統合の背景や意義について聞いた。(熊本日日新聞社・小林義人、写真・谷川剛)

 ―なぜ統合が必要なんですか。

 「熊本の成長率は、1975年をピークに一貫して下がっている。今は成長率、人口増加率ともマイナス。首都圏と比べて15年くらい先行しており、日本の構造的変化は地方から始まっている。この変化は、海外からの外圧によってではなく、自然に失われる変化。『自分たちで乗り越える』という問題意識が必要だ」

 ―企業にとって人口減は何が問題ですか。

 「これまでは体質改善しながら成長してきたが、異次元の環境変化が訪れている。これから猛烈な勢いで過疎が進む中、体質改善では難しい。体格、体力の強化が必要。同じような課題を持つところと一緒になって、基盤をより強固にして将来に対応できるようにしたい」

 ―具体的に銀行経営にどう影響しますか。

 「預金は、GDPと65歳以上の人口と強い相関関係がある。相関係数を基に試算すると、2020年を境に預金は減少トレンドに入る。運用資金量が減っていくという構図。地方銀行は市場が小さいため、預金や貸し出し、為替など伝統的業務しか扱っていない。証券や信託などを展開するには、市場を大きくする必要がある。今、熊本は180万人を切る人口だが、鹿児島を足して350万人の市場なら、新業務が成り立つのではないか」

 ―なぜ、このタイミングだったのですか。

 「短期的、中期的、長期的に見て、今だと判断した。短期的には、日銀の異次元の金融緩和政策で低金利時代にあり、収益性が厳しくなっている。中期的には、東京五輪が開かれる20年までは日本は成長できる雰囲気がある。その間に将来を見据えて基盤をつくり上げることが大事ではないかと考えた」

 ―統合相手に鹿児島銀行を選んだ理由は。

 「10年くらい前から役員同士の交流があり、率直にコミュニケーションを取れる関係があった。銀行の規模が同じというのもあるかもしれない。抱える課題や組織、仕事のやり方は似通っているところがある」

 ―いつ、どちらから統合を持ち掛けたんですか。

 「頭取に就任した時から、私の経営課題は『どこと統合するか』だった。鹿児島銀行の上村基宏頭取との間で何度も話題にはしてきたが、具体的に統合の話が出たのは、ことしの春。どちらからか、明確なところは意識していない」

 ―熊本銀行が傘下に入るふくおかフィナンシャルグループなどとの競争意識は。

 「意識していない。貸し出し競争ではないレベルにいかに持っていくかが、地域金融機関の課題。現場で競争はあるだろうが、経営者が一緒になって競争している場合ではない」

 ―取引先などの反応はどうですか。

 「好意的に受け止めてもらっている。行名などは全く変わらないし、大きな枠組みを利用して、さらに良質な金融サービスを提供できる努力をしていく」

 ―統合の意義は。

 「間違いなく、発想が大きくなる。例えば、農業は熊本と鹿児島を一緒に考えると、北海道に次ぐ生産拠点になるのでは。観光もカルデラ巡りなどの商品を開発できる。両行にそれぞれ得意分野がある。一緒になることで、より大きな提案力で取引先に対応していける」(熊本日日新聞・4日付)

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