みやビズ

2018年12月12日(水)
紙面県内経済

みやざき羅針盤 鹿児島銀行頭取 上村基宏氏

2014/02/20
地域に根差した出資

鹿児島銀行頭取 上村基宏氏
 -県内での貸出金残高のシェアが10%に迫ろうとしている。

 上村 本年度末までには10%に届くだろう。宮崎で無視することができない存在になるためには、11%近いシェアを持つことが必要だということを行内で呼び掛けていた。企業の存在価値を示すためにシェアは必要。目標を超えたら、数字にはこだわらない。

 -金融機関間の競争が働き、県内は貸出金の低金利が続いている。

 上村 “金利戦争”になっている現状は否めない。競争しなければいけないのは事実だが、営業活動の8割は融資先の企業をどう育てていくのかということに視点を置いている。ただ、「育てる」という言葉には傲慢(ごうまん)さがある。われわれはその傲慢さを消すために企業に足を運び、顔を突き合わせて対等の目線で話をするようにしている。議論して経営の質を高めていく中で、融資や出資が生まれると考えている。

 -地銀は地元産業を理解し育成していく必要がある。どのような取り組みを行っているのか。

 上村 若い行員がたかだか数字だけを見て経営者に偉そうに接してきた歴史が銀行にはある。仕事の流れを理解せずに数字だけ言う行員は最低の部類。われわれは仕事を理解するために、畜産企業や介護施設、病院に行員を長期間派遣している。畜産企業の場合、牛の世話から最後まですべてを体験し、どういう苦労があるかを知る。これは地銀しかできないこと。病院なら診療点数の計算を行い、機材納入の実際の価格まで見る。そうすると、融資する際にこちらから提案やアドバイスができるようになる。地域に根差すというのは、そういうことだ。また、可能性のある企業に出資して経営に積極的にコミットしていく取り組みが必要。出資には責任が生じる。企業にとっても銀行の出資は信用補完になる。

 -本県産業の現状をどのように見るか。

 上村 宮崎は農林水産業の魅力が高く、鹿児島より努力している。ほかに目指すべき産業がないというハンディキャップもあってか、一生懸命、粘り強く研究されている。ただ原材料だけを供給する県であることは鹿児島と同じ。原材料供給と加工を半分ずつにしなければならないが、加工による付加価値づくりを怠ったのも宮崎、鹿児島は同じ。北海道の特産品と比べて、加工、ネーミング、包装、値段で全然勝てない。それでも、宮崎の潜在能力が高いのは、素材がそのまま残っているからだ。そういう意味で多くの産業をつくることができる。

 -金融庁が金融機関の再編・統合を促している。

 上村 「(経営不振の金融機関に)黄色信号が点滅している」と言いたいのだろう。それは対象の地銀と地域経済が停滞している、と指摘するようなものだ。しかし、われわれに黄色信号はともっていない。前向きに捉えるのなら、統合によって資本の厚みが増すと相当な事業ができる。ただ、宮崎、鹿児島の経済規模を見ると、再編・統合の必要はないだろう。(聞き手 経済部 巣山 貴行 宮崎日日新聞社で)

 かみむら・もとひろ 慶応大商学部卒。1975(昭和50)年、入行。取締役業務統括部長、常務を経て2010年から現職。「夢を語れないやつは前に進めない。青臭い議論をしたから日本は前に進んだ」と語る。鹿児島市出身、61歳。

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