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2020年2月24日(月)
紙面県内経済

宮交、成長への戦略【中】連携

2013/07/09

航空、フェリー、JRなどと互いのライバル関係を越え、連携の在り方を模索する宮崎交通(写真はコラージュ)

■グループ内外に波及

 宮崎交通グループを率いる宮交ホールディングス(HD)の菊池克賴社長が1年前の就任会見で強調したのは“連携”という言葉だった。「グループ間の連携、グループ外企業との連携を積極的に図っていく」。その動きが具体化しつつある。

 六つの事業会社と持ち株会社である宮交HDで構成する宮交グループ。産業再生機構支援以降、金融機関やスポンサー企業が経営再建の目安として重視してきたのが、EBITDA(償却前営業利益)だった。各事業会社は本業の収益力の指標となるEBITDAの数値目標を設定し、その達成に心血を注いできた。

 一方で、利益を優先するあまり、グループ内に入る売り上げがグループ外へ流れるケースも発生していた。菊池社長は例として、宮交が実施するバスツアーで他社の安価な貸切バスを使っていたことなどに触れ、「それぞれの事業が事業内での収支を追いすぎたことが弊害になっていた」と指摘。「この考えを変えれば発想を転換できる」と連携の意義を強調する。

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 13年4月、宮崎交通のバス部門と旅行部門のメンバー十数人が集まり、社内にプロジェクトチームが発足した。チームは今秋、新たな旅行商品「バス旅」の企画を進めており、特徴は県内全域に毛細血管のように張り巡らせた一般路線バスの有効活用にある。

 県内全体で356系統の路線バスを展開する宮交。バス旅は、グループ最大の強みである路線バスを使って地域の観光施設や名所を半日から1日かけて巡る旅行商品だ。飲食店などと連携し、最寄りバス停までの送迎サービスを加えることでさまざまなプランづくりも可能になる。

 現在、実施する定期観光バスは、日南市の飫肥-南郷で運行する日南観光周遊バス「日南(ひな)めぐり号」のみ。上村哲司バス事業担当取締役は「既存の経営資源を組み合わせることで新たなコストをかけずに商品をつくることができる」と強調。10月からまず10コースの旅行商品の販売を予定する。
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 連携を模索する動きはグループ外にも波及している。その一つが菊池社長らの呼びかけのもと、12年9月に発足した「陸海空交通連携懇談会」だ。

 同懇談会は、宮交を含めた県内交通関連5社で組織。各社のトップが2カ月に1回集まり、県内への流入人口拡大に向けた施策などを検討する。県外からの誘客も目標の一つで、各交通手段の接続性を向上させシームレス(継ぎ目のない)な交通体系の確立を目指す。8月には子どもたちに県内の乗り物に触れてもらう夏休み限定企画「みやざきのりもの探検隊」を開催するほか、バス旅でも同懇談会との連携の検討を進める。

 交通機関の連携の効果は、既に数字として表れている。宮交は11年10月、JR宮崎駅西口(宮崎市)に新バスターミナルを開設。JRのダイヤに合わせ、一般路線バスも同駅を起点にダイヤを改正した結果、宮崎地区の乗車人数は減少傾向に一定の歯止めがかかった。

 「県内全体で観光客は少なくなっている。一部で競争はあるけれども、陸海空が連携して宮崎観光の推進につなげたい」と菊池社長。ライバルという立場を超え、県全体で観光の底上げを目指す。

■メ モ

 陸海空交通連携懇談会 JR九州、宮崎カーフェリー、宮崎空港ビル、ソラシドエア(スカイネットアジア航空)、宮崎交通の5社で発足。同懇談会初の企画「みやざきのりもの探検隊」は8月4日に開催し、子どもたちにJRやバス、カーフェリーなど宮崎の乗り物を体験してもらう。

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