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2018年7月17日(火)
紙面県内経済

宮交グループ90周年 挑戦、その先へ(1)不動産事業

2016/05/31

2015年春に開業したニトリモール宮崎。土地の賃貸借契約を結ぶ宮交ホールディングスは安定的な賃料収入を得られるため、不動産事業での成功事例と位置付ける

経営基盤強化の柱に

 2015年4月、宮崎市源藤町にオープンしたニトリモール宮崎。国道沿いの約5万3千平方メートルの広大な敷地には衣料品店や100円均一ショップなど集客力の高い人気店が軒を連ね、週末ともなると多くの買い物客でごった返す。

 同モールは宮崎交通の老朽化していた車庫や整備工場などの跡地を再開発。モールを運営するニトリホールディングス(HD、札幌市)と土地賃貸借契約を結び、前払い金で営業所や整備工場などの移転費用を賄った。オープンの翌月からは店舗からの賃料が入っている。宮交HDの菊池克賴社長は「眠っていた資産を宮交の新たな収入源として活用できている」と強調する。

   
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 産業再生機構の支援が始まった2005年以降、宮交にとって経営基盤の再構築が最重要課題。収益の柱の一つに育てようと力を入れるのが不動産事業だ。

 宮崎交通同事業担当の上村哲司取締役によると、これまではステークホルダー(利害関係者)の要請に応じて保有資産を処分して財務健全化に充ててきたが、12年度に不動産事業推進本部を新設してからは処分ではなく活用へとかじを切った。

 モデルとするのは、同じバス事業者の三重交通グループHD(津市)の不動産事業。老朽化した営業所跡地などを活用した再開発に20年以上前に着手し、マンション分譲や住宅建築、商業施設開発などを展開してきた。16年3月期連結決算では不動産事業の売上高が全体の26・2%を占めるまでに成長。この数字はバス、タクシーなど同社運輸事業の26・4%に並ぶ。

 宮交HDが有する土地の簿価は総資産の約4割にあたる約100億円。16年3月期ではここから生み出される売上高は約2億9千万円を見込んでいるが、まだ運輸事業の4%程度にすぎない。上村取締役は、同HDが抱える有利子負債140億6500万円(16年3月期末)を、資産を維持したまま圧縮していくためにも「土地を活用して収益につなげる努力が求められている」と力を込める。

   
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 視野に入れるのは行政やグループ企業との連携。駅前再開発などのまちづくり事業と連動した自社不動産の活用推進や、グループ内の新規事業を自社の土地で展開していきたい考えだ。

 例えば、グループの宮崎観光ホテルやANAホリデイ・インリゾート宮崎の経営で同HDが積み上げてきたノウハウと信頼を生かし、自社の遊休地などを活用して新しいホテル事業の展開などを構想に描く。上村取締役は「土地を貸すより、グループ内で運営するほうが効率的で収益性も高い」と説明する。

 「宮交グループには大きく化ける事業があるわけではない」と菊池社長。ただ、不動産事業は経済環境や自然災害などのイベントリスクに左右されず、安定成長への期待は高い。「土地はグループにとって大事な財産。バスと両輪となる収益の柱として伸ばしていかねばならない。それが成長ステージへの第一歩だ」   
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 宮崎交通が今月、創業90周年を迎えた。収益力の向上や人材育成をはじめ、100周年へ向けた成長の道を模索する同社。その挑戦を取材した。

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