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2020年2月17日(月)
紙面県内経済

みやざき人口減に挑む-地方企業の取り組み-(1)【地銀】

2015/01/23

イタリアでオリーブビジネスのノウハウを学んだ鹿銀の福川(下・鹿銀提供)。宮銀ではワーキングループも発足するなど、人口減少に備える動きが活発化している(写真はコラージュ)

地域産業開発に関与/体質転換、具体策を研究

 人口減少時代に本格的に突入する。本県人口は坂を転がり落ちるように減少が加速し、2030年には100万人を割り込むと推計される。働き手が減り、市場が縮み、集落が消えていく-。これまで経験したことのない領域で、企業が生き残り、地域の産業を成長させるには何が必要か。地方に生きる産業界全体に課題が突き付けられている。

  鹿児島銀行(鹿児島市)営業支援部の福川鉄平は、部内に新設された地域開発室で「オリーブのブランド化」に奔走する。2013年、鹿児島県日置市でスタートした「オリーブ構想」。その前年、鹿銀は、パナソニック工場の撤退が明らかになった同市と包括的業務提携を締結。市が新たな企業誘致への協力を期待した中で、「地域に根ざした産業をゼロから創り出そう」と提案したのが、福川だった。

 以来、鹿銀はブランド化を全面的に後押しする。

 福川はオリーブの産地であるイタリアに2カ月滞在。収穫から加工品の開発、流通までビジネスに必要なノウハウを一通り学んだ。国内での市場性を調査し、現地から加工品を輸入する手はずも整えた。収支計画の策定に一から携わり、地元で事業を担う会社設立の道筋も付けた。

 銀行本来の役割を超え、地域の産業開発に深く関わる福川は「資金需要をつくるのが目的ではない」と言い切る。地域が元気になってこそ、銀行は活性化する-。「カネだけでなく、人を出し、知恵も出す。これから地域の銀行にはそんな役割も求められる」
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 鹿銀と肥後銀行(熊本市)の経営統合が明らかになった昨年11月。発表会見で鹿銀頭取の上村基宏は「鹿児島、宮崎で人が減る。10年後では遅すぎる」と語気を強めた。

 宮崎、鹿児島両県で、地銀や信金など金融機関の預金・貸出残高は拡大を続け、人口減少の影響は今のところ見当たらない。だが足元は、低金利や競争激化で以前のように稼げなくなった。人口が本格的に減り始めれば市場も縮む。足腰を強化する経営統合も、地域で産業を興すオリーブのブランド化も、鹿銀にとって人口減少時代を生き抜く戦略に他ならない。

 「単独で生きていく」。顧客獲得でしのぎを削る鹿銀の決断を尻目に、宮崎銀行頭取の小池光一は統合の選択を一蹴した。

 預金、貸し出しの伸び率は九州地銀でトップクラス。利ざや縮小の中も、本業で収益を伸ばしてきた。「これまでのビジネスモデルは間違っていない」。経営企画部調査役の上野晃靖もこう確信するが、「マーケットの縮小には歯止めをかけなければならない」と危機感もにじませる。
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 宮銀は昨年10月、20~40代の行員13人を集め、ワーキンググループを立ち上げた。議論するのは、人口減少時代に銀行が果たすべき役割だ。県との連携も視野に、地域経済を活性化するための具体策を練り上げる。

 上野は「融資を伸ばすための戦略ではない。長期的視点でこれまでになかった取り組みを模索する」と見据える。

 「まったくの白紙」と他行との合流を否定した宮崎太陽銀行も、将来に備え体質の転換を急ぐ。

 鹿銀や宮銀との競争の隙間を縫うように進めるのが、融資の小口化。その結果、昨年3月末の融資先数を2年前に比べて1千以上増やした。昨年、グループ内でベンチャー企業や創業向けファンドも設立。小規模事業所や起業支援を前面に打ち出す。

 地域経済の中でどう存在感を高め、人口減少時代を乗り切るのか。地域で生きる地方銀行の真価が問われ始めた。(敬称略)

=金、土曜日掲載=
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