みやビズ

2018年11月14日(水)
クロストーク

IoTで宮崎を元気に

2018/03/09
QTnet(福岡市)サービス開発部 忽那康郎さん 自動車や家電、電子機器などさまざまなモノがインターネットにつながるIoT(モノのインターネット)は応用領域が広く、活用の場はますます増えそうだ。本県もIoT推進ラボ(※)を組織し、労働生産性の向上や労働環境のスマート化を図ることで地域経済の活性化を目指す。ラボのプレーヤーとして参加するQTnet(福岡市)サービス開発部の忽那康郎サービス企画グループ長に、本県における取り組み状況などを聞いた。

QTnet(福岡市)サービス開発部 忽那康郎さん


くつな・やすお 1995年、九州通信ネットワーク(現QTnet)に入社。ネットワーク機器の構築から保守・運用までさまざまな業務を経て、2016年から現職。北九州市出身。小倉工業高校卒。41歳。

くつな・やすお 1995年、九州通信ネットワーク(現QTnet)に入社。ネットワーク機器の構築から保守・運用までさまざまな業務を経て、2016年から現職。北九州市出身。小倉工業高校卒。41歳。

 自動車や家電、電子機器などさまざまなモノがインターネットにつながるIoT(モノのインターネット)は応用領域が広く、活用の場はますます増えそうだ。本県もIoT推進ラボ(※)を組織し、労働生産性の向上や労働環境のスマート化を図ることで地域経済の活性化を目指す。ラボのプレーヤーとして参加するQTnet(福岡市)サービス開発部の忽那康郎サービス企画グループ長に、本県における取り組み状況などを聞いた。
(聞き手・福岡支社 鬼束功一)

 -IoTの導入が世界的に加速している。

 新しい無線技術LPWAの技術向上が大きい。「Low Power Wide Area」の略称で、消費電力が少なく、広範囲なエリアをカバーすることができる無線規格の総称。複数のセンサーが同時にネットワークに接続できるIoTに適した技術で、無線局の免許が不要なのも特徴だ。LPWAは1度に送れるデータ量は少ないため画像や動画データは送ることができない。しかし、観測データや位置情報などの文字、数値のデータなら数十キロ先への伝送は可能で、目的によっては非常に有用だ。

 -本県のラボはそのLPWAを活用し、オープンプラットフォーム構想を描く。その内容は。

 LPWA無線ネットワークを活用した、さまざまなサービス事業者が共用可能なデータ収集基地(IoTプラットフォーム)を構築し、IoT活用サービスの展開を図る。サービス例としては、農業用施設の管理や子ども・高齢者などの見守り、災害時の被災状況把握などで、本年度は県内の四つのエリアで実証実験をスタートさせる予定だ。

 -実証実験の具体的な中身は。

 一つは日南市の坂元棚田での稲作環境データの収集。IoT機器を内蔵した4個のセンサーを棚田付近へ設置し、日射量や気温、雨量などの測定データを即時に把握する。これまでは宮崎大の教授が現地でデータ収集をしていたが、人手がかからなくなることで運用コストの削減などが期待できる。

 二つ目は串間市などと連携した高齢者の見守りに関する実証実験。高齢者に衛星利用測位システム(GPS)センサー内蔵の端末を持ってもらい、アプリケーション上に現在地や行動軌跡を表示する。認知症高齢者の徘徊(はいかい)防止や行方不明者の早期発見が期待される。串間市はIoTプラットフォームの設置に適した小高い山が市内にあり、そこにLPWAの基地局(アンテナ)を設置することで通信可能エリアを広く設定できる。高齢者に端末を持たせる工夫などは必要となるが、有効な仕組みづくりへ検証を重ねたい。

 三つ目は椎葉村でのチョウザメ養殖場の管理。IoT機器を内蔵した水位測定センサーをチョウザメ養殖場のいけすに設置し、アプリケーション上に水位データをリアルタイムで表示。水位が大幅に変動したときに管理者へ自動的に通知することになっており、管理者の負担軽減が期待される。

 四つ目は宮崎市の県立みなみのかぜ支援学校の送迎バスにGPSセンサーを付け、バスの位置情報や到着時間の把握を的確に行う。市街地のため、LPWAの基地局(アンテナ)設置箇所に課題はあるが、実験を成功させてバス利用者の利便性向上へつなげたい。

 -さまざまな分野に効率化や利便性向上が見込まれ、期待は大きい。

 地域の課題を解決できるモデルとして、これらの実効性を証明することは、今回の実証実験のエリア以外にもメリットがあると考える。また、一カ所のIoTプラットフォームに複数の役割を持たせることも可能で、串間市では高齢者見守りの他に、コミュニティーバスや防災への活用を模索する動きも出ている。LPWAを活用した“みやざき流”のIoTプラットフォームを生かし、新たなビジネスチャンスや雇用創出につなげ、さらに宮崎を元気にしたい。

(※)宮崎県IoT推進ラボ=産学官金で構成するみやざき新産業創出研究会の「ICT利活用促進分科会」を中心に、県内産業のIoT化を推進する団体。事務局は県企業振興課・県工業技術センター。経済産業省の地方版IoT推進ラボの第2弾として、2017年3月に認定された。

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