みやビズ

2018年9月22日(土)
クロストーク

キーワードは「こだわり」

2018/03/02
20180301-1admin_image_1519892869.jpgデイリーマーム(宮崎市)社長 和田優さん 宮崎市の食品メーカー、デイリーマーム(宮崎市、和田優社長)が高鍋町持田の国道10号沿いに新設した直売所「ママンマルシェ-TAKANABE-」がにぎわっている。地元の農畜産物を販売するほか、レストランと県産ゴボウを使った主力のスナック菓子「ゴボチ」の新工場も併設。同社にとって今後の成長を見据えた施設でもある。直売所事業に参入した背景や今後の展開を和田社長に聞いた。

デイリーマーム(宮崎市)社長 和田優さん


わだ・まさる 山形県出身。相模工業大学数学科卒。大手食品会社などを経て2007年にデイリーマーム設立。64歳。

わだ・まさる 山形県出身。相模工業大学数学科卒。大手食品会社などを経て2007年にデイリーマーム設立。64歳。

 宮崎市の食品メーカー、デイリーマーム(宮崎市、和田優社長)が高鍋町持田の国道10号沿いに新設した直売所「ママンマルシェ-TAKANABE-」がにぎわっている。地元の農畜産物を販売するほか、レストランと県産ゴボウを使った主力のスナック菓子「ゴボチ」の新工場も併設。同社にとって今後の成長を見据えた施設でもある。直売所事業に参入した背景や今後の展開を和田社長に聞いた。
(聞き手・久保野剛)

 -昨年12月に「ママン-」がオープンして3カ月が過ぎた。人気は上々のようだ。

 想定以上に来客が多い。1日当たり1000人の予想に対し、週末などは200台分の駐車場が満杯になる。客単価も想定以上に高い。知名度はまだ高くないのに出足が良く、お客さんの期待の大きさを感じる。

 高鍋町には国道10号沿いに地元の農畜産物や加工品を売る場所がなかった。構想は以前からあったようだが、周辺の町には既に直売所があり、いまさら公設で建てるのはどうかということで民間企業である私たちに声が掛かったようだ。われわれとしてはゴボチの工場を大きくしたい思惑もあったので参入を決めた。

 -国道10号沿いは道の駅「つの」や、川南町と新富町にJA系の直売所がある。ライバルが多く新規参入のハードルは高かったはず。どんな勝算があったのか。

 確かにここは“周回遅れ”。ただ黒木敏之町長からは「地元を大事にしてほしいが、民間主導なので地元にないものを遠方から取り寄せても良い」と言ってもらった。そこで最初からこれまでにはない雰囲気の施設にしようと思った。

 実はゴボチの開発を始めた8年前も、われわれは周回遅れだった。全国では既に13社がゴボウチップスを作っていた。他社の製品を調べると11社が海外産ゴボウを使い、切り方は半数が粉末にして成型、残りが輪切りだった。そこで「割れやすくても既存品にはないものを」と、ゴボチは10センチ程度の斜め切りにした。

 味付けは全社が添加物を使用。最初は私たちも同じだったが「どうせ周回遅れだから」と無添加に挑んだ。国産原料、斜め切り、無添加。そうすると14番目だがオンリーワンになった。つまりキーワードは「こだわり」。その考え方をこのマルシェにも反映した。

 地元の農畜産物や加工品と一緒に、関東や関西など全国からこだわりの商品を集めて並べている。初めて参入する分野なので、フードコーディネーターや料理研究家などプロの力を借りて店づくりを進めた。安くて多いという選択肢も確かにあるが、やっぱり一番大事なのはこだわりだと思う。

高鍋町持田の国道10号沿いにある「ママンマルシェ-TAKANABE-」

高鍋町持田の国道10号沿いにある「ママンマルシェ-TAKANABE-」

 -昨年10月には県立農業大学校と人材育成で連携協定を結んだ。その狙いは。

 農業大学校とは講演などで以前から縁があり、後藤俊一校長らと何度も会う中で、やはり農業は日本の基幹産業であるべきだとの考えに至った。児湯地区は農畜産物の宝庫。そこにある大学校と連携しない手はない。

 まず考えたのが人材育成。例えば、学生が学んだことを実社会(企業)で生かす機会があれば、さらにどんな学びが必要か気付ける。気付いた人材は企業にとって即戦力となりえるし、学生も就職先選びに迷わず、「思い描いていた仕事と違う」などといって簡単に離職しないだろう。若者の離職は企業にとって大きな損失だ。

 大学校によると卒業生の約4割が県外に就職するそうで、とてももったいない。われわれは6次産業化に詳しい地元の若者がほしい。

一民間企業との連携に難色を示す声もあったが、何事もオープンにして協力すると伝えたら了解してもらえた。インターンシップはマルシェのオープン後に5人が経験。今後もどんどん受け入れる予定だ。

 -今後の海外戦略は。

 2015年のミラノ万博で9割の人がゴボチを「おいしい」と評価し、ドイツであった世界規模の食品見本市でも人気が高く「海外で通用する」と大きな自信になった。シンガポールや香港、台湾でのイベントでも客の反応は上々だった。

 ゴボウは欧州が原産地。それも食用ではなく薬草。アジアでもゴボウは漢方薬の材料に使われている。その歴史を知らなかったが、実はワールドワイドで受け入れられている素材なのだ。最初は珍しがっても、説明すると近年の健康志向にマッチしており本当に受けがいい。

 駄目押しが宮日新聞の報道。宮崎産経大の学生が昨年、オランダに県産品を持ち込んだところ一番人気が「ゴボチ」だった。そういうこともあり、中国や香港、台湾、米国で商標登録を申請している。ハワイや米西海岸には定期的に出荷。東南アジアにも出しているが、先日訪れたシンガポールでは1袋が1200円前後で売られ、香港では800円前後の値が付いていた。それでも売れているのだから、新工場ができることで海外戦略は面白くなってくる。新工場の稼働は3月からで、現在の3倍の生産能力を想定している。

 児湯地区は農作物の宝庫。応用次第でいろいろな商品作りができる。6次産業化の成功例を積み重ねることで、農家に「農業はいい。やり方次第だ。花形産業になる」という意識改革を広める役目を果たしたい。そうすることで地域に貢献していきたい。

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