みやビズ

2018年5月24日(木)
クロストーク

拡大路線からの転換

2018/02/02
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宮崎山形屋(宮崎市)・山下隆幸社長 宮崎山形屋(宮崎市)が3月から営業時間を30分短縮し、閉店時間を午後8時から同7時半に繰り上げ、開業から初めて営業時間短縮へとかじを切ることになった。背景には日中の営業を強化することで百貨店らしさにより磨きをかけたいという思いがあるようだ。決断の理由について、山下隆幸社長に聞いた。

宮崎山形屋(宮崎市)・山下隆幸社長


やました・たかゆき 1977(昭和52)年に山形屋(鹿児島市)入社。婦人服統括部長、商品部長など経て、2013年に宮崎山形屋の専務店長に就任。14年から現職。趣味はゴルフで、スコアは「100を切ればいいほう」。鹿児島県鹿屋市出身、鹿児島大法文学部卒。63歳。

やました・たかゆき 1977(昭和52)年に山形屋(鹿児島市)入社。婦人服統括部長、商品部長など経て、2013年に宮崎山形屋の専務店長に就任。14年から現職。趣味はゴルフで、スコアは「100を切ればいいほう」。鹿児島県鹿屋市出身、鹿児島大法文学部卒。63歳。

 宮崎山形屋(宮崎市)が3月から営業時間を30分短縮し、閉店時間を午後8時から同7時半に繰り上げ、開業から初めて営業時間短縮へとかじを切ることになった。背景には日中の営業を強化することで百貨店らしさにより磨きをかけたいという思いがあるようだ。決断の理由について、山下隆幸社長に聞いた。
(聞き手・佐藤友彦)

 -17年ぶりの営業時間変更で、短縮は初めて。客にとっては不便になるとも思え、顧客離れも心配される。狙いと判断をした経緯は。

 スーパーやコンビニ、インターネット通販など便利な買い物環境がある中、百貨店としての立ち位置を見つめ直した。その上での営業施策の一環だ。お客さまがわれわれに求めているものは長時間営業でなく、上質な商品とサービスだと捉えている。

 営業時間の短縮は接客の密度を上げることが最大の目的だ。現在はシフトの関係上、販売員が手薄になる時間帯があるが、営業時間を短くすることで少なくできる。せっかく足を運んでいただいているのに、肝心の販売員が対応できないという状況をなくさないといけない。信用と信頼がわれわれの最大の財産であり、いま一度原点に立ち返りたい。

 -これまで営業時間を延長してきたが、中心市街地の通行量などは近年減少が続いている。経費削減も目的にあるのではないか。

 経済が成長する中で、消費活動は活発化してきた。小売り側にも店を少しでも長く開けていることが顧客へのサービスだという考えがあった。また、競合店への対抗の意味もあった。しかし、時代は変わった。顧客の消費スタイルも変わる中、われわれだけが何もしないわけにいかない。既存の枠組みで差別化を考えた結果、接客を強化すべきと判断した。

 経費は減るだろうが、大きい額ではないので、目的にはなり得ない。一方で、売り上げが減少するとも考えていない。接客を手厚くし、現場ごとに販売方法や品ぞろえを工夫し、日中の売り上げを増やすことでカバーする。そういった意味で、今回はわれわれにとってチェンジでありチャレンジ。変化に対応できず、必要とされないものが消えることは歴史が証明している。

 -全国的に人手不足を理由とする24時間営業の見直しなどが相次いでいる。営業時間短縮は働き方改革の一環にもつながるのではないのか。

 全体的な労働時間の減少にはつながるが、労働環境の改善ありきではない。働き方改革の要素は副次的なものだ。ただ、人手不足感が強まる中で、採用する際のPRポイントになることは否定しない。土日・祝日の休みがとりにくいことや、拘束時間の長さがネックとなって、百貨店や小売業への就職を敬遠する人も多い。給与よりもライフワークバランスのとれた生活を望む人が増えていると感じている。

 今回は30分の短縮だが、将来的には現時点より1時間繰り上げの午後7時閉店も見据えている。そうなれば接客密度のさらなる改善も望めるし、長時間労働の削減にもつながる。従業員にとっては、仕事を早く上がることができれば、さまざまな経験に充てることも可能になるだろう。多方向にアンテナを伸ばして、人間性豊かな人材に育ってほしい。

 -中心市街地の中核店舗として、まちへの影響についてはどう考えているか。増床リニューアルするイオンモール宮崎(宮崎市)へギフトショップを出店することも明らかになった。

 われわれの調査では、周囲の衣料品や雑貨などの販売店の営業時間は午後7時までが7割以上となっている。それ以降も店を開けているのは、飲食店が大半だった。(宮崎山形屋の)店の明かりがこれまでより早く消えることで、少し寂しくなることはあっても、経済的な影響はほとんどないのではないか。

 イオンモール宮崎への出店は、これまで接点を持たなかった若者を中心とした新たな顧客との縁づくりが狙い。百貨店の魅力の一端を知ってもらい、本館へ足を運んでもらうきっかけにつなげたい。市街地の活性化、集客を担う中核店舗としての思いは何も変わらない。5年間かけて行っている本館の大規模耐震工事も、「ここで50、100年と商売をしていく」という覚悟を表している。

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