みやビズ

2019年4月21日(日)
クロストーク

県内企業に求められる採用活動

2018/01/26
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みやざきCOC+地元定着推進室推進コーディネーター 西村勇さん 2019年春卒業の大学生らを対象とした企業の採用活動(就職活動)が3月1日に解禁される。人手不足感が強まる中、大手企業の採用意欲は高く、優秀な人材を全国から獲得しようとしている。一方、地方創生の観点から見ると、本県の学生が宮崎に残ったり、県外で学んだ本県出身者が地元へ戻ったりして、就職してもらうことが望ましい。宮崎大など5大学・高専と経済団体、県などで組織する「みやざきCOC+(プラス)協議会」の地元定着推進室で、県内就職率の向上に取り組んでいる西村勇推進コーディネーターに、企業に求められる採用活動のポイントなどを聞いた。

みやざきCOC+地元定着推進室推進コーディネーター 西村勇さん


にしむら・いさみ 東京都出身。国立東京工業高等専門学校を卒業後、都内の化学系商社や高級百貨店、ベンチャー企業などでマーケティングや人材育成を担当。趣味のサーフィンで来県したのが縁となり、COC+推進協の設立に伴い宮崎大が公募した推進コーディネーターに選ばれた。52歳。

にしむら・いさみ 東京都出身。国立東京工業高等専門学校を卒業後、都内の化学系商社や高級百貨店、ベンチャー企業などでマーケティングや人材育成を担当。趣味のサーフィンで来県したのが縁となり、COC+推進協の設立に伴い宮崎大が公募した推進コーディネーターに選ばれた。52歳。

 2019年春卒業の大学生らを対象とした企業の採用活動(就職活動)が3月1日に解禁される。人手不足感が強まる中、大手企業の採用意欲は高く、優秀な人材を全国から獲得しようとしている。一方、地方創生の観点から見ると、本県の学生が宮崎に残ったり、県外で学んだ本県出身者が地元へ戻ったりして、就職してもらうことが望ましい。宮崎大など5大学・高専と経済団体、県などで組織する「みやざきCOC+(プラス)協議会」の地元定着推進室で、県内就職率の向上に取り組んでいる西村勇推進コーディネーターに、企業に求められる採用活動のポイントなどを聞いた。
(聞き手・久保野剛)

 -地元定着推進室は、昨年12月から企業と学生がコミュニケーションをとれる場としてウイークリー・ワーク・カフェ(WWC)を始めた。その狙いは。

 COC+事業が始まった2015年度以降、推進室は県内の企業や経営者を学生たちに紹介するなどして認知度を高めてきた。それでも多くの学生が、県内には自分の「やりたい仕事がない」という。そこで「やりたい仕事がある」のに企業アピールが十分ではないと考え、宮崎大の地域キャリアデザイン棟などでWWCを開催。年間を通して、学生と企業が気軽に会える場を設けた。

 1社5000円の協賛金でおいしいコーヒーと宮崎観光ホテルのクッキーを用意。平日の午後に4時間程度、1年生から大学院生まで、学生なら誰でも企業の担当者と会える。12月は4回開き、都城と新富、日南の14社が参加。学生からは「自分のやりたい仕事と完全に一致しなくても、近い職種の人から話を聞けて良かった」、企業からは「就職を考えている学生と、その時期が来ていない学生の差がよく分かった。また参加したい」など、合同説明会で学生訪問が「ゼロ」だった企業からも好感触の反応をもらえた。18年度は5月開始で各市町村役場に企業の取りまとめをお願いしている。
 
 -西村さんの時代と、今の学生は何が違う。

 今の学生は真面目で言ったことはちゃんとやってくれるが、指示待ちというか、言わないことまでやる発展性がない。僕らは勝手にやって怒られていた。化学専攻で、実験で勝手に別の実験をやってドラフト(排気装置)を一個吹っ飛ばしたこともあった。それと最近は「世界に行きたい。世界で活躍したい」という気持ちが薄らいでいる。治安も昔に比べて悪くなっているからだろうが、「わざわざ煩わしい場所へ行きたくない」という姿勢も見受けられる。

 -そうであれば、学生たちにどうアプローチすればいいのか。

 学生たちの興味を引きつける工夫が必要だ。WWCに参加したある企業は、大手コンビニが販売している唐揚げを持ってきた。この原料を提供しているのが自分たちで、そのことを説明すると、学生たちは「これって宮崎産だったんだ」とすごく興味を示していた。

 -待遇や給与より、ありのままの企業の魅力を伝えることが大切だと。

 そう。例えば学生は木材会社の仕事を「きこり」だと思っている。輸出や英語を使った仕事、物流など商社的な側面があることを知らない。条件面だけなら「マイナビ」などで分かる。就活サイトで分からない企業文化や人、働きやすさを学生は知りたがっている。その先手をWWCで打ってもらいたい。企業として「君たちのこと、よく理解しているよ」という姿勢が大事だ。県内企業は東京などに比べ学生との物理的距離が近い。その利点を生かしてほしい。

 -県内企業に足りない点は。

 まず、アピール力。企業説明会に行っても東京や県外の企業ブースは華やか。学生の言葉で言うと「キラキラしている」。今の学生が就活を始める時に何をするかというと、まず「最高の自分」を思い浮かべるそうだ。「これから自分はこうなりたい」という目標を設定し、そのキャリアを達成できる企業を探して選ぶ。

 「リクナビなどでは分からないこともあるはず」と尋ねると、「いいか悪いかすぐ分かる。いい会社は働いている人の目がキラキラしている。悪い会社は社員の目がよどんでいる」。その上で最終的に就職先を決めたのは、企業の大小に関わらず「一緒に働こう」「この会社で頑張ろうぜ。来てよ」という社員の声があったからだという。

 もちろん給与面の線引きはあるはず。なぜなら宮大生の半数が奨学金をもらっているから。就職後に月3万円の返済がある場合、同じ働きで月16万円と20万円があったら後者を選ぶだろう。

 -キラキラと給与。学生にはどちらが大事なのか。

 多くは生きがい、やりたいことを選ぶという。でも、一定水準を満たしていればという学生もいる。これは福利厚生や給与を見たとき、どこかに学生が妥協する点があることを示している。それをクリアしていれば学生の選択肢に入る。この水準以下で大学生を採るのは難しい。

 もちろん給与だけではない。僕は学生のためだけに給与を上げても、学生は来ないと思う。現在働いている人たちの環境が魅力的で、この企業で働いて良かったというものでないと、人は集まりにくい。そこに経営者が早く気付き、改善していく必要がある。東京五輪までは景気が拡大していく今が、そのタイミング。それまでにこれらの形を整え、人が辞めない企業の体制にする必要がある。

 -最後に県内企業にアドバイスを

 僕たちは地元採用と長期就労を目指している。宮崎は3年以内の離職率が4割と高い。それも改善したい。企業が採用を増やしたいなら、自社の社員をどれだけ大切にできる環境を整えられるか。自分の息子をその会社に入れさせたいか。その給与で娘が満足して暮らせるか。そういった点の改善が最初で、その後で人を採用できる環境が整ってくると思う。

 とにかく時間があったら大学に来て、学生と会ってほしい。採用活動の時期だけでなく、年間を通じて企業の認知度を高め、考え方を知ってもらいたい。

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