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2019年7月20日(土)
クロストーク

ダイバーシティ経営の意義

2017/11/24

グローバル・クリーン(日向市)税田和久社長 人手不足を解決する手段として、女性や障害者など多様な人材の能力を生かし、業績拡大や新たな価値創出につなげる「ダイバーシティ経営」に注目が集まっている。日向市の清掃会社グローバル・クリーン(税田和久社長)はその先進的な取り組みが評価され、経済産業省の本年度「ダイバーシティ経営企業100選」に入った。経営理念や人材確保の秘訣(ひけつ)について税田社長に聞いた。

グローバル・クリーン(日向市) 税田和久社長


1973(昭和48)年、都農町出身。高鍋高を経て、滋賀大学経済短期大学部卒。家業の清掃業を継ぎ、グローバル・クリーンを2000年に個人創業、08年に法人化した。趣味は旅行で、これまで10カ国以上を訪問。「今はプライベートの旅に行く時間はないが、ビジネスでいろんなところに行けるのが楽しみ」。44歳。

 1973(昭和48)年、都農町出身。高鍋高を経て、滋賀大学経済短期大学部卒。家業の清掃業を継ぎ、グローバル・クリーンを2000年に個人創業、08年に法人化した。趣味は旅行で、これまで10カ国以上を訪問。「今はプライベートの旅に行く時間はないが、ビジネスでいろんなところに行けるのが楽しみ」。44歳。

 人手不足を解決する手段として、女性や障害者など多様な人材の能力を生かし、業績拡大や新たな価値創出につなげる「ダイバーシティ経営」に注目が集まっている。日向市の清掃会社グローバル・クリーン(税田和久社長)はその先進的な取り組みが評価され、経済産業省の本年度「ダイバーシティ経営企業100選」に入った。経営理念や人材確保の秘訣(ひけつ)について税田社長に聞いた。
(聞き手・佐藤友彦)

 -ダイバーシティ経営に取り組んだ経緯は。

 近年さまざまな業界で人手不足が課題となっているが、清掃業界は「きつい」「汚い」などのマイナスイメージが強く、慢性的に不人気の業種だ。私が事業を継いだ2000年には既に人手不足が業界内での問題となっていた。加えて、われわれは後発企業だったので、知名度が低く、人集めには非常に苦労した。

 しかし、そのことが今の経営につながった。多くの労働力確保を目指すのでなく、数は少なくとも働きに来てくれた人をいかに育てて定着させるかという考え方にかじを切った。業績を上げて、なおかつ選ばれる企業となるためには、社員教育を通じてサービスの質を向上させ、付加価値を高めることが必要と感じるようになった。会社だけでなく、働くスタッフのためにもなると思った。

 -不人気業界であったがゆえに、という点は興味深い話だ。具体的にどのような方法で取り組んできたのか。

 社員教育では、トレーニングを体系化することで社員一人一人の職域拡大に取り組んだ。現場では多くの女性や高齢者、障害者が活躍しているが、10年前は大型の清掃機は男性しか扱わせていなかった。その操作やリーダー業務を女性もできるよう人材育成プログラムを作成し、担当業務の幅を拡大させた。アシスタントや軽作業を任せていた障害のあるスタッフにも時間をかけて指導し、主要業務を担ってもらうようにした。

 働きやすい労働環境の整備にも努めた。子育て中の女性は子どもの急病への対応も求められ、会社勤めしにくい実情もある。うちの会社では、こうした不測のトラブルに対応できるよう待機人員を確保したローテーションを取り入れている。本部の事務スタッフも現場に対応できるように教育しており、二重三重にカバーできる仕組みを構築している。これにより、社員は気兼ねなく休みを取られるようにしている。

 -考え方はすばらしいが、業種によってはなかなか導入のハードルが高いのではないか。これまでなかったコストの発生についてはどう考えているのか。

 ほかの経営者からは「非効率ではないか」「大変そうだ」といったマイナス部分を指摘されることが多い。確かに社員教育には手間が掛かるし、会社も潤沢な利益が出ているわけではない。ただ、それでもダイバーシティ経営はコストでなく、組織と人に対する必要な投資だと捉えている。

 経営者は会社を持続させ、従業員の生活を守ることが使命。人材確保はそのために不可欠だ。意図せずにダイバーシティ経営を先行してやってきたが、間違いでなかったと確信している。実際に当社は人手不足でなく、十分過ぎるほど人材が集まっている。働きやすさの評判が知られるようになり、募集しなくても、学校や知人を介して紹介があるほどだ。

 -人を大事にする考え方が、人材の定着や獲得に大きな役割を果たしているようだ。先進企業として、ほかの企業へのアドバイスは。

 導入に際して、社内規則の見直しなど制度設計にまず着手しようとする傾向があるが、無理に急ぐことはない。それよりも、会社全体が少しの柔軟性というか寛容さをもつことが大事。従業員一人一人のライフスタイルや家庭の事情を尊重することがすぐにできることではないか。

 現在、国を挙げて進めている働き方改革についても、経営者自身が意識を変え、率先して取り組まないといけない。トップが実践しないと、管理職も実効性のある指示ができない。生きるために働くのではなく、生きがいを感じながら働くことができる会社を目指すべきだろう。

 人手不足が深刻化しているが、人材はいつの世にも潜在的に存在する。その人たちを活躍させる環境さえできれば、どんな人でも良い戦力になる。人材不足と嘆く前に、企業側もまだ努力できることがあるのではないか。

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