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2018年7月17日(火)
クロストーク

変わる空港、次の一手は

2017/11/10

宮崎空港ビル社長 長濵保廣さん 宮崎ブーゲンビリア空港のターミナルビルを運営する宮崎空港ビル(宮崎市)は、今月5日に創業55周年を迎えた。格安航空会社(LCC)の就航などもあり、2016年度の同空港乗降客数は306万人と9年ぶりに300万人台を回復。同社の17年3月期決算は経常利益が過去2番目の高さだった。20年の東京五輪・パラリンピック開催に向けた施設改修も進められており、さらなる成長が見込まれる。今後の展望を長濵保廣社長に聞いた。

宮崎空港ビル社長 長濵保廣さん


ながはま・やすひろ 1967(昭和42)年、宮崎空港ビル入社。取締役総務部長、常務、専務などを経て2006年から現職。西都市出身。69歳

ながはま・やすひろ 1967(昭和42)年、宮崎空港ビル入社。取締役総務部長、常務、専務などを経て2006年から現職。西都市出身。69歳

 宮崎ブーゲンビリア空港のターミナルビルを運営する宮崎空港ビル(宮崎市)は、今月5日に創業55周年を迎えた。格安航空会社(LCC)の就航などもあり、2016年度の同空港乗降客数は306万人と9年ぶりに300万人台を回復。同社の17年3月期決算は経常利益が過去2番目の高さだった。20年の東京五輪・パラリンピック開催に向けた施設改修も進められており、さらなる成長が見込まれる。今後の展望を長濱保廣社長に聞いた。
(聞き手・久保野剛)

 -1962(昭和37)年に設立され、今年で創業55周年を迎えた。90年に現在のターミナルビルに建て替えられてからは、地域に密着した空港づくりを目指してきた。

 宮崎の空の玄関として、航空機を利用するお客さまを次の目的地へ安全かつ迅速に、お送りするのがわれわれの使命。さらに地方空港として本県の文化や観光、経済の情報を発信することで地域の活性化に貢献するべく、創業以来取り組んできた。

 例えばターミナルビル中央のオアシス広場には、スポーツキャンプや観光キャンペーンなどさまざまな情報を伝える懸垂幕が何本も下がり、空港を訪れたら「宮崎で今、何が起こっているか」を分かるようにしている。

 15年度には「より南国リゾートらしく」をテーマに館内全てのトイレをリニューアルした。ヒントは高速道路のサービスエリア(SA)。多くのSAがある中、安心で清潔なトイレのあるSAには人が集まり、レストランやお土産品の売り上げも増えている。

 当社の場合、トイレをきれいにしても直接は収入増につながらない。しかし、宮崎県全体から見たときに「県民が自慢できる空港」であるというのは大切なこと。そういった点も公共性の高い当社の使命であり役割だと思う。

 -東京五輪に向け、主に国際線の受け入れ能力向上を図ろうと大型投資を進めている。

 2年をかけ、20億円を投資する。国内線は年間500万人の利用客に対応できる施設なので大きな問題はない。国際線は16年度に初めて乗降客数が10万人を突破した。今後かなりの数が宮崎へ来ると思う。東京五輪・パラリンピックに向けたバリアフリー化は相当高いハードルだが、避けて通れない。CIQ(税関・出入国管理・検疫)と一緒になって施設を整備していく。

 今回の改修では国際線専用搭乗口を新設する。これまではターミナルビル東側の6番スポット(駐機位置)を国内線と国際線で共用していた。改修で東へコンコースを延伸し、固定橋やPBB(旅客搭乗橋)を新設して国際線専用とする。これで国際線の到着が遅れた場合でも駐機できる。専用の保安検査場を新設し、不審物の有無を調べるボディースキャナーを設置する。

 10月にガラス張りでブーゲンビリアなどをあしらった新型のPBBの供用を始めた。残りのPBBも同じものに随時切り替える。4年後ぐらいには規模は小さくても一目で南国に来たと思わせる施設になる。

 この機会にお土産物店もリニューアルする。特に本県の中山間地域の商品を徹底してそろえ、地域活性化を促すものにしたい。今でも相当集めて販売しているが、これこそ地方空港の役割。新商品の開発を手伝うなど、中山間地域のサポートに力を入れたい。

 -観光客が多い高千穂は熊本空港に、霧島は鹿児島空港に近い。他の地方空港との競争をどのように勝ち抜くのか。

 われわれは非常に意識しているが、熊本や鹿児島が気にしている風はない。東九州自動車道の開通で宮崎市から高千穂町へ2時間で行けるようになった。県内から南九州(宮崎、鹿児島、熊本)までの移動距離と所要時間を資料にまとめ、ポートセールスに活用している。

 具体的な例では「宮崎空港がこんなに近くなりました」と書かれた懸垂幕を作成し、高千穂町役場に下げてもらった。オアシス広場には「神々の里、高千穂町」の懸垂幕を飾り、物産展を開催。神楽のからくり時計の存在も含め、宮崎空港と神話の町が近くなったとアピールしている。

 高千穂や椎葉など中山間地域は県境にある。これらの地域の人たちに宮崎空港を使ってもらうには、その町を積極的に紹介したり、特産品を売ったりする必要がある。お願いするだけでは駄目。売店等で中山間地域の商品販売に力を入れている理由もそこにある。

 高千穂には年間150万人以上の観光客が訪れる。その多くは熊本や大分空港を利用している。そういう旅行商品が多いからだ。東九州道の開通で確かに宮崎市から近くなったが、そこには有料区間がある。それを行政で負担できないかということも働き掛けている。

 -2020年に向けての目標は。

 現在300万人の乗降客数が年間4%ずつ増えると、4年後には350万人近くとなる。そこを目指したい。上半期はおかげで、その目標を達成できそうだ。東京五輪まで国内経済がどのような成長曲線を描くのか分からないが、本県の場合は日機装の工場建設やイオンモール宮崎の増床などで地域経済が活性化する可能性があり、そうなれば空港利用客も増えるだろう。

 ただ一番大事なのは観光客が増えるかどうか。「観光立県」「リゾート宮崎」というものを当社は打ち出しているが、県全体として具体的な取り組みがやや少ない気がする。決して箱物という意味ではなく、県民運動としてだ。

 われわれは自分たちのできることとして、おもてなしの強化に努めている。ブーゲンビリアなど花と緑で空港を飾り、数年前には「全国花のまちづくりコンクール」で全国表彰を受けた。プロ野球の春季キャンプの時期には観戦ガイドブックを20年以上も製作している。地域活性化のため、今後もこのような取り組みを積極的に行っていきたい。

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