みやビズ

2018年9月26日(水)
クロストーク

宮崎工場停止と今後の事業戦略

2017/10/13
ソーラーフロンティア執行役員 竹中勝志さん 太陽電池パネルを国内3拠点で生産するソーラーフロンティア(東京)は、宮崎工場(宮崎市清武町)での生産を12月末で停止することを今月明らかにした。東北工場(宮城)は9月末で操業の一時停止に入っており、主力の国富工場(国富町)に生産機能を一本化する。執行役員の竹中勝志・国富工場長に今後の展開などを聞いた。

ソーラーフロンティア執行役員 竹中勝志さん


 太陽電池パネルを国内3拠点で生産するソーラーフロンティア(東京)は、宮崎工場(宮崎市清武町)での生産を12月末で停止することを今月明らかにした。東北工場(宮城)は9月末で操業の一時停止に入っており、主力の国富工場(国富町)に生産機能を一本化する。執行役員の竹中勝志・国富工場長に今後の展開などを聞いた。
(聞き手 小川祐司)

たけなか・かつし 熊本大理学部卒。国富工場の製造部長、副工場長などを経て、2014年4月に執行役員国富工場長。同9月に生産本部長との兼務となり、宮崎工場長を兼ねた時期もある。17年10月から執行役員として国富工場長と、全社的な生産統括・サプライチェーン部門の責任者を務める。鹿児島県鹿屋市出身。56歳。

たけなか・かつし 熊本大理学部卒。国富工場の製造部長、副工場長などを経て、2014年4月に執行役員国富工場長。同9月に生産本部長との兼務となり、宮崎工場長を兼ねた時期もある。17年10月から執行役員として国富工場長と、全社的な生産統括・サプライチェーン部門の責任者を務める。鹿児島県鹿屋市出身。56歳。

 -なぜ、生産拠点を集約するのか。

 中国メーカーの価格攻勢や国内価格の下落、昨年、一昨年の円高など大変厳しい状況が続き、2期連続の赤字となった。当社としては規模拡大を前提とし、コスト・リーダーシップを実現するというスタンスで事業戦略を進めてきたが、これをコモディティ(後発品の出現などで製品が一般化し付加価値などを失うこと)からの脱却を目指す事業戦略へと転換することにした。付加価値を獲得できる市場への注力、CIS薄膜太陽電池(※)の技術を生かした付加価値創造の2本柱だ。

 この戦略転換を踏まえ、付加価値製品の開発と製品化の加速、さらにはフレキシブルな最適生産体制の確立、コスト削減などの観点から今回の生産拠点の見直しに至った。

 太陽光発電は今後も世界的に大きく成長する見通しだが、海外でのビジネス展開はコストで勝負できる状況にない。一方、国内では再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の買い取り価格が引き下げられる中、「ポストFIT」の需要として住宅屋根に設置するルーフトップ市場が拡大すると見ている。これに注力し、海外市場から国内市場へと大幅に移行していく。

 付加価値を創造しながら、コスト競争力を高めていくことで今後、海外市場も見据えながら、勝負できる唯一の国内メーカーになれるだろうと考えている。今は、そのための雌伏の期間だと理解してほしい。

 -最も普及している結晶シリコン系太陽電池に対し、御社が生産するCIS薄膜太陽電池の成長可能性をどのように見ているのか。

 CISは出力向上の潜在能力が高く、成長可能性はある。国富工場では主力製品の出力を2016年に175キロワットに高めたのに続き、17年は180、185キロワットとし、18年早々に190キロワット、さらに18年内に200キロワットになる。

 当社研究所(神奈川)が開発した発電効率を高めたレシピ(技術)を工場のラインを使って実験するという動きを昨年末から加速させており、技術と生産の連携を深めてきた成果と言える。フル生産による規模拡大ではなく、一部のラインを止めて実験に回し、より高い出力を実現するという付加価値の創造であり、戦略転換の一端を示すものだ。

 -今回の集約によって宮崎、国富工場から50人程度の社員が営業部門に配置転換となる。社員向け説明会の反応は。

 契約1件当たりの規模が大きいメガソーラーと違い、現在注力している住宅用は件数を稼ぐ必要があるが、営業の人手が足りていない。説明会では営業の最前線だけでなく、その支援業務もあることや、配置転換に伴う教育プラン、希望退職制度、再就職支援などについて説明した。

 当社では四半期ごとに社長が全事業所を回り、従業員に社が置かれている状況や将来のビジョンなどを直接説明している。国内のルーフトップにシフトするために営業強化が必要であることなどを話してきた経緯があり、今回の説明会は冷静に、前向きに受け止めてもらえたという印象を持っている。

 -宮崎工場は生産再開の可能性があるのか。ない場合、売却はあるのか。

 宮崎工場の設備をどう活用するのかは、社内で協議中。現在の製品は国富工場で生産を引き継ぐので、違う製品を造る場合はコスト競争力のあることが条件になる。ここにある機械は最新技術を搭載したものではないが、私たちが特性を熟知した機械であり、研究所や国富工場で新技術の実験に使えるかもしれない。経済的なメリットを考えたら土地・建物を含めて手放す方がいいのかもしれず、さまざまな可能性を検討し、できるだけ早く結論を出したい。

 -生産拠点は国富工場1カ所となる。工場の位置づけ、機能はどのように変わるのか。

 これまでは3×4(98センチ×126センチ)の製品だけを造ってきたが、宮崎工場で製造している2×4(64センチ×124センチ)、東北工場で製造していた低い電圧で駆動する3×4製品も生産する。大きな製品群を三つ抱える多機能工場となり、ニーズに合った製品を必要とされる量だけ生産していく。

 -東北工場は将来、付加価値の高い新しいタイプの製品を生産する拠点として操業を再開する可能性があると聞く。それはどのような製品なのか。

 軽くて、薄くて、割れないフレックスモジュールだ。例えば、屋根は平らであるとは限らない。フレックスモジュールなら、アーチ状などの屋根にも対応できる。社内では「天気のいい日に布団を干すように、ベランダにモジュールを掛けてもいいよね」という冗談めいた話も出ている。これには本音も含まれていて、「太陽電池モジュールは屋根や地面に設置するものだという既成概念を破りたい」という夢と願いを乗せた製品だ。

 19年に市場投入したいと考えている。東北工場は開発を加速する実験に使っていくが、生産工場にするとは機関決定していない。フレックスモジュールによって生まれるのは新たなマーケット。それだけに、マーケティングの結果や需要動向を注視しながら、国富工場の一部を使う可能性も含め、適した体制で生産していきたい。

※ CIS薄膜太陽電池 銅、インジウム、セレンの3元素を主成分に薄い膜をガラス表面に形成して造る。同社によると、最も普及している結晶シリコン系太陽電池に比べ、温度や放射照度などが一定の条件下では電気への変換効率で若干劣るが、高温時の出力ロスや影の影響が少なく、実際に設置した際の実発電量に優れるという。

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