みやビズ

2018年6月19日(火)
クロストーク

県産本格焼酎の米国輸出の可能性

2017/10/06
20171005-1admin-image-1507196751.jpgジェトロ宮崎(宮崎市)所長・宮内安成さん ジェトロ宮崎が2015年10月28日に開設して間もなく2年。海外での販路拡大や輸出支援、セミナー開催などの活動が定着し、県内の中小企業の事業成長を支える存在となっている。

ジェトロ宮崎(宮崎市)所長・宮内安成さん


みやうち・やすなり 1991年にジェトロ入構。豪州・シドニー事務所、カナダ・トロント事務所などで国内企業の海外展開を支援した経験を持つ。宮崎事務所には2015年10月に初代所長として着任した。鹿児島市出身、鹿児島大法文学部卒。49歳。

みやうち・やすなり 1991年にジェトロ入構。豪州・シドニー事務所、カナダ・トロント事務所などで国内企業の海外展開を支援した経験を持つ。宮崎事務所には2015年10月に初代所長として着任した。鹿児島市出身、鹿児島大法文学部卒。49歳。

 ジェトロ宮崎が2015年10月28日に開設して間もなく2年。海外での販路拡大や輸出支援、セミナー開催などの活動が定着し、県内の中小企業の事業成長を支える存在となっている。こうした取り組みの中から、米国・ロサンゼルス事務所と協力して取り組む県産本格焼酎の輸出支援事業について、宮内安成所長に目的や将来像を聞いた。
          
(聞き手・巣山貴行)

 -焼酎輸出の取り組みはどのような経緯で始まったのか。

 ジェトロ宮崎を開設してすぐに、ジェトロ本部と九州のジェトロ事務所が15年に着手していた「九州産酒類の海外プロモーション事業」に参加した。事業の狙いは米国の西海岸地区に九州産の酒類を輸出すること。
 
 2年間で米国の輸入会社や卸売会社、飲食店のバイヤーを招へいし、九州各地の中小蔵元を視察してもらっている。県内でも視察会を2回、県産焼酎と食材の食事会を宮崎市で1回開いた。

 食事会では、ロックや水割り、お湯割りなど、焼酎の飲み方のほか、ワインのように食中酒としても楽しめることなども伝えた。

 -なぜいま焼酎の輸出に取り組む必要があるのか。そして本県を訪れたバイヤーたちの酒蔵や焼酎に対する評価はどうだったか。

 国内市場は人口減少やアルコール消費量の低下などで、縮小傾向にある。それに比較して米国は市場規模が大きく、焼酎の認知度が低いため、成長性が望めると判断した。

 さらに、米国では焼酎と同じ蒸留酒であるメキシコ産テキーラのブームが起こっている。テキーラはかつては「安酒」という位置付けだったが、ラベルのデザインを見直し、数少ない職人が醸造した希少価値の高さなどをアピールしてブランド化することで、1本350万円という高値の付く商品も出ている。10年前には考えられなかったことだ。

 県内でも原料や醸造方法にもこだわる中小酒蔵も多く、希少価値の高い銘柄も多い。バイヤーはこうしたことへの関心は非常に高く、そのまま評価へとつながっている。また、自社農園の芋を使っていることや、水へのこだわりについてストーリー性を持って説明できる酒蔵は、さらに良い印象を持たれる。それぞれの特長を伝える工夫が酒蔵には必要になるだろう。

-米国のバイヤーを招待する費用は高い。それなりの効果は望めるのか。また、県内蔵元と現地の輸入会社との取引は進んでいるのか。

 これまで招へいしている現地の輸入会社や飲食チェーン店のバイヤーはいずれも酒類のエキスパートで、輸入する酒類を決める際に輸入会社などに対し、強い影響力を持っている。さらに、会員制交流サイト(SNS)などを通じた発信力も高く、われわれが現地に出向いてアピール活動をするより効果的だ。ブームの火付け役としてバイヤーに働き掛けることは効率的でもある。

 取引については、視察を受け入れた3蔵元が、米国の23州に取引先を持つ現地の輸入会社と契約を結ぶ段階に入っている。3蔵元は米国での販路拡大を目指す「7人の焼酎侍」のメンバーでもある。焼酎侍はニューヨークで試飲会を開くなど、飲食店などに直接売り込む手法を採っている。

 ただ、現地では法律上、販売店と直接取引はできず、輸入会社を通じてラベルの登録や成分分析を行わなければならない。これに加えて、日本の酒類や食品の取扱店数は飽和状態になっている。そこに食い込むことは非常に難しい。今回、3蔵元が契約成立に向けて動き始めたのは、バイヤーを日本に招へいする方法に変えたことがうまくいったと捉えている。

-米国での仕掛けはどうなっているのか。一過性の取り組みに終わってしまったらいけない。継続的に取り組むための仕掛けはあるのか。

 ロサンゼルス事務所の西本敬一所長は同事業立ち上げの責任者の一人であることに加えて、宮崎事務所の開設にも尽力した人物。それだけに、県産品への知識も深く、県産焼酎への愛着も強い。現地で展開する焼酎の消費拡大戦略のキーマンでもある。安心して県産焼酎を任せられる。

 さらに同事務所が中心となり、今年8月には「焼酎輸出促進協議会inロサンゼルス」を発足させた。日本総領事や日系食品商社など11団体を巻き込んで、ブーム化を図る計画だ。発足パーティーにはハリウッドの映画関係者なども出席しており、メディアを通じて露出を増やしていくことなど、さまざまなアイデアがある。

 ロサンゼルスには世界で3カ所目となるジャパンハウスも年内にオープンする予定。ブームから新たな酒類のカテゴリーとして定着するように仕掛けたい。ジェトロ宮崎も10年間は続ける覚悟で取り組む。


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