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2018年6月23日(土)
クロストーク

採用活動から見えた応募者の傾向

2017/09/12
宮崎日機装社長 西脇章さん 日機装(東京)が宮崎市高岡町に建設する大型航空機部品工場の運営会社、宮崎日機装は、今年3~7月に行った採用活動の結果を8月末に公表した。事前の予想を大きく上回る1102人が応募し、中途採用と新卒採用予定の計172人を合格とした。

宮崎日機装社長 西脇章さん


現状改善へ強い思い


にしわき・あきら 早大法学部卒。日機装(東京)の常務執行役員、副社長などを経て2017年3月の宮崎日機装設立と同時に社長就任。62歳。

にしわき・あきら 早大法学部卒。日機装(東京)の常務執行役員、副社長などを経て2017年3月の宮崎日機装設立と同時に社長就任。62歳。

 日機装(東京)が宮崎市高岡町に建設する大型航空機部品工場の運営会社、宮崎日機装は、今年3~7月に行った採用活動の結果を8月末に公表した。事前の予想を大きく上回る1102人が応募し、中途採用と新卒採用予定の計172人を合格とした。人手不足が国内経済の大きな課題となる中、宮崎日機装はなぜ多くの人材を確保できたのか。自ら最終面接を行った西脇章社長に聞いた。
(聞き手・久保野剛)

 -高校や大学の新卒者の多くが県外に就職していることから、人材を確保しやすいとの狙いで本県へ進出。今回の結果を見ると、それが見事に当たった。

 5カ月間の採用活動を振り返ると、当初は日機装の知名度が宮崎で低く、応募者の規模や応募理由を見通せなかった。新聞やテレビで取り上げられ、後半はわれわれが求める人材と宮崎日機装で働きたいという人のマッチングが順調になり、終盤は非常に手応えがあった。

 工場の立ち上がりに合わせて140人程度を確保する計画だった。応募者数の見込みは数百人程度で、具体的な数字はなし。1000人以上も集まり驚いている。中途採用の合格者は142人。最高齢は58歳だが、平均年齢は29歳。3割が県外からのUターンで、その平均年齢は26歳。新しい会社に若い人が集まったのは理想的で心強い。

 -Uターン者の面接を通じ、どのような部分に古里で働きたいとのニーズを感じたか。

 全般的に高校や大学卒業後に県外で働く宮崎県出身者は、ずっとその地で暮らそうと思っておらず、時機が来たら宮崎に帰ろうと考えているようだ。ただし、新しい生活を始める上で希望に合う会社が宮崎に少なかった。今回、宮崎日機装がそういう人たちの受け皿になったのだろう。転職の場合、応募して面接を受け、合否を知ってから会社を辞めるというのが一般的。だが、何人かは応募した時点で会社を辞め、「落ちてもどうにかなる」と宮崎へ戻っていた。本当に強い郷土愛を感じた。

 宮崎日機装の人事制度や福利厚生は、法律で定められた以上のものだが、決して最先端ではない。正社員の募集で、土日や祝日は休み。勤務時間は午前8時半から午後5時10分まで。残業は一定量で、交代勤務はない。製造業として、とても普通な条件。それがかえって魅力的に映り、関心を持ってもらえた理由だと思う。

 -県内からの転職者を面接して感じたことは。

 現状を改善したいという意向の強さを感じた。県内大手製造業と宮崎日機装の給与はさほど変わらないと思う。違うのは、他では3交代制や深夜勤務が日常的にある点。若い頃は体力的に問題ないが、十数年もたつとつらくなる。家庭や子どもを持つようになると、週末に自分の時間が欲しいという思いが就職直後より高まってくるようだ。そういう意味で宮崎日機装に興味を持ってくれた。深夜勤務手当などがなくなり給料は減るが、それでもよいと。将来に向け、今の働き方に不安を持っている人が多かった。

 また、一流の大学を出ながら就職氷河期で思うような会社に入れなかったり、公務員試験に落ちたりして、現在は派遣社員やパート勤務という人が正社員になれるということで応募してきた。女性では育児や介護が一段落したので、もう一度働きたいというケースも。ある女性からは「未婚だが、結婚後も勤められるか」という質問があった。育児休暇などの制度を利用して結婚、出産、育児に頑張っている女性が日機装には多くいると伝え、「結婚、出産で辞める必要ない。そういう制度を利用して末永く宮崎日機装で働いてほしい」という話をした。

 -新卒採用予定者は30人(大学・高専12人、高校18人)。高校は県内全域から推薦を得られたが、包括連携協定を結ぶ宮崎大からは2人と少なかった。

 土地勘、学校勘がないので最初は新工場に近い宮崎市内の高校へお願いに回った。ところが、市外の高校から依頼があり、県北、県西、県南地区を回った。先方を訪ねると、行政を含め「待っていた」と。説明会には保護者の参加も多く、県内就職の受け皿としての期待を感じた。ただ、採用活動の始まりが3月と遅く、推薦してもらえる人数が限られた。今年は18人だが、来年はもっと早くから行動し、推薦枠を増やしたい。今は実業系がほとんど。製造現場に関わらない役割を果たしてもらう人も必要で、普通科高校にも対象を広げたい。

 大学は少し出遅れた。教授に紹介してもらうにも学生が既に他社を受験していたり、学生も日機装のことをよく知らなかったり。ただ、タイミングの問題だと思っている。宮崎大からは全面的な協力を得ているので、来年以降は採用の数は増える。中途採用者の中には宮崎大OBが9人もおり、一定の筋道はできていると思う。

 -今後の採用活動で重要なことは。

 1000人の応募は順風中の順風。これがずっと続くことはない。いずれは厳しくなる認識はある。Uターン希望者へさらに訴えたり、大学や高校との絆を深めたりと採用活動を強化したい。ただ、その前提として宮崎日機装の労働条件や会社の雰囲気など、今年採用した人たちが満足できるように取り組まなくてはいけない。定着率を上げることが「宮崎日機装で働いてみよう」とさらなる関心を呼ぶことにつながる。そのことが最も重要な人材確保のポイントだと思う。

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