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2018年5月22日(火)
クロストーク

東九州自動車道開通のストック効果

2017/09/08
20170907-1admin-image-1504775406.jpg九州地方整備局道路部道路調査官 阿部俊彦さん 福岡県にある東九州自動車道の椎田南-豊前が2016年4月に開通し、北九州-宮崎の高速道路が一本でつながった。宮崎県民にとって待望の開通で、観光交流や雇用増加といった中長期的な経済効果(ストック効果)は、どのようなものが見られるのか。九州地方整備局道路部の阿部俊彦道路調査官に聞いた。

九州地方整備局道路部道路調査官 阿部俊彦さん


あべ・としひこ 東京大大学院修了。2000年に建設省(現国土交通省)入りし、国土交通省中部地方整備局企画部企画課長、内閣府地方分権改革推進室参事官補佐などを歴任し、今年4月から現職。群馬県出身。41歳。

あべ・としひこ 東京大大学院修了。2000年に建設省(現国土交通省)入りし、国土交通省中部地方整備局企画部企画課長、内閣府地方分権改革推進室参事官補佐などを歴任し、今年4月から現職。群馬県出身。41歳。

 福岡県にある東九州自動車道の椎田南-豊前が2016年4月に開通し、北九州-宮崎の高速道路が一本でつながった。宮崎県民にとって待望の開通で、観光交流や雇用増加といった中長期的な経済効果(ストック効果)は、どのようなものが見られるのか。九州地方整備局道路部の阿部俊彦道路調査官に聞いた。

 -東九州道北九州-宮崎がつながったことで、企業進出が相次ぐなど宮崎県経済への好影響が出てきているが、現状は。

 沿線23市町にヒアリング調査した結果、09年からの7年間で約670件の企業進出が確認された。高速道路がつながることで物流が改善されることへの期待感が背景にあると思う。もともと九州は人材や土地の確保、立地条件などの面でポテンシャルがある。社会インフラを整備して物流の課題を解決することで、企業にとってより魅力的な場所となる。
 大分市では製造関連の立地件数が大幅に伸び、宮崎市でも自動車部品関連の立地が増加傾向にあると聞いている。7年間で創出された新規雇用は約1万2000人。このうち宮崎県内が約6000人で、宮崎市内だけでも約3000人という。

 -北九州-宮崎の車による移動時間は12年の320分から255分に短縮され、アクセスは格段に向上した。

 物流において時間短縮や定時性確保の効果は大きい。実際に16年1~3月と17年同期の大型車の交通量(1日平均)を比べると、1.2~1.3倍に増えた区間もある。熊本地震の影響で九州道が使えなかった期間は、東九州道が代替ルートとなり、緊急物資の輸送だけでなく通常の経済活動を支えた。今、自動車による物流は経済活動の中心。災害時の冗長性(一つのシステムが無力化したときに、それに代わる代替システムが準備されていること)という意味で、九州道と東九州道が互いを補い合えるようになったことは九州の発展に大きな意味を持つ。

 また、トラックドライバーの負担軽減が課題となっている昨今、東九州道とカーフェリーによる新たな輸送ルートを構築できたことも開通効果の一つ。陸海輸送の組み合わせでドライバーの拘束時間を大幅に削減できたというデータもある。時間を有効に使うためにインフラをうまく活用してほしい。

 -観光面でも効果がみられる。

 沿線では中津市の名勝耶馬渓「青洞門」のように、入り込み客数が大幅に増えた観光地もある。観光地側にも移動時間の短縮は魅力の一つとなる。外国人観光客の増加が見込める今後、宮崎の観光地でも「交通アクセスが良くなった」ことをいかに発信していくかが重要だろう。九州は歴史の宝庫。高速道を使い、圏域を越えて連携するような観光イベントの実施など、新たな魅力を創出することができると思う。

 -産業も観光も、高速道を一つのツールとしてどう活用するかが重要だ。

 17年3月に門川南スマートインターチェンジが開通し、20年3月には国富町にもできる予定。地元の人からは「スマートインターをつくることが目的ではなく、町としてどう活用していくかが大事。しっかりと取り組んでいきたい」という意気込みも伺った。公共工事は以前、どちらかといえば直接的な景気刺激効果が注目されていた。これからはいかに賢く使って、経済波及効果を生み出すかが大事。自治体や地元企業にさまざまな構想があるだろうから、議論が活発になるような環境が整うことを願う。もちろん私たちにも「こんなことはできないか」と気軽に相談してほしい。

 私たちとしては、宮崎から鹿児島までをつなぐ区間の事業をできるだけ早く進め、さらなるネットワークとしての効果を発揮できるよう努めたい。本年度開通を目標としている日南北郷-日南東郷(9キロ)についても、安全に、迅速に整備を進めたい。高速道によって圏域を越えた人、文化、経済の交流が盛んになれば九州全体も活性化する。インフラを整備し、管理する立場からしっかりと九州に貢献していきたい。

     
(聞き手 福岡支社・鬼束功一)

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