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2018年6月23日(土)
クロストーク

三方よしで漁師に還元

2017/08/25
デナーダ社長・佐々木大樹さん ITを活用した鮮魚卸売業のデナーダ(門川町)。県内の魚市場に水揚げされた鮮魚を首都圏の飲食店や鮮魚店に直接販売する産直システム「CHOKSEN(ちょくせん)」を構築、運用する。

デナーダ社長・佐々木大樹さん


ささき・だいき 延岡市鯛名町出身、延岡高卒。福岡市内のホテルや東京のIT企業などでの勤務を経て、2016年2月にデナーダを設立。趣味は映画鑑賞と撮影。1977(昭和52)年2月生まれの40歳。

ささき・だいき 延岡市鯛名町出身、延岡高卒。福岡市内のホテルや東京のIT企業などでの勤務を経て、2016年2月にデナーダを設立。趣味は映画鑑賞と撮影。1977(昭和52)年2月生まれの40歳。

 ITを活用した鮮魚卸売業のデナーダ(門川町)。県内の魚市場に水揚げされた鮮魚を首都圏の飲食店や鮮魚店に直接販売する産直システム「CHOKSEN(ちょくせん)」を構築、運用する。流通を簡略化することで、魚の鮮度を維持できるほか、相場の高い首都圏での売価を産地に還元しやすい仕組みになっており、成長が期待される。一方、大消費地から離れた本県は今後どのように産業を育成するべきか聞いた。(巣山貴行)

 -CHOKSENの運用を開始して約1年。漁業や市場へ新規参入する難しさはなかったのか。

 宮崎の市場は東京や大阪よりも閉鎖的に感じる。このため、買参権を持つ地元の水産会社や仲買会社など3社に出資企業に加わってもらった。それだけでなく、水揚げの時間に市場を歩き回って顔を売り、漁師たちに事業の意義を説明した。出身地が漁業が盛んな延岡市鯛名町ということもあり、親戚の漁師の家にも足を運んだ。しかし最初は誰からも相手にしてもらえなかった。

 それでも何度も足を運んだ。自分のやっていることが正しいという信念があったからだ。生まれ育った町には「漁師はもうからない」という“あきらめムード”が染み付いていた。貧しいことが当たり前で、疑うことすらなかった。それを“やれるムード”にすることが使命だと思って説得し続けた。その結果、県内では地元の土々呂漁協をはじめ、門川町の庵川、日向、川南、宮崎の7漁協から魚を仕入れる体制を築くことができた。

 -魚離れで消費量は減っている。首都圏での消費動向はどうなっているのか。

 東京では築地市場ではなく、地方から直接仕入れる動きが活発化している。2015年に羽田空港にオープンした「羽田市場」がその一例だ。築地市場に魚が並ぶまでには水揚げから2日以上が経過していることも多いため、新鮮とは言えないからだ。また市場に届くまで複数の仲買人を経由することもあるため、価格も高め。一方、羽田市場は鮮度が売りになっている。東京では高値であっても欲しいという需要があるから成り立っている。

 一方、CHOKSENは羽田市場に負けない鮮度と、より手ごろな価格で、漁師にも還元率の高い仕組みになっているのが特長。まさに「三方よし」だ。CHOKSENには東京、大阪、福岡などの飲食店や鮮魚店を中心に約120件が登録しており、約50件が常時取引している。外食大手グループ(東京)の約350店舗との取引交渉も大詰めを迎えている。また、複数店舗を運営する鮮魚店「魚屋シュン」(同)とも取引があり、一定の評価を得ている。

 -首都圏で本県のブランド魚は認知されているのか。また、本県は遠隔地にあり、輸送時間やコストなど生鮮食品には特に不利な点が多い。どう克服しているのか。

 ブランド魚の認知度はまだまだ低い。これに加えて、血抜きや神経締めといった下処理、市場での保管など、さまざまな部分で大分や長崎などのライバルに負けているのが現状だ。きちんと処理がされていない魚は、数日たつと生ごみと同じ状態になる。より商品価値を高めるような取り組みがなければ、認知度だけでなく価格面でも太刀打ちできないし、漁業そのものが衰退するだろう。

 本県の鮮魚の送料は九州で最も高い。これは産地間競争の中で非常に不利なこと。このため、日通航空と交渉し、長崎と同価格での送料契約を結んだ。せめて送料といったコストは同じ条件で戦わせてほしいという思いがあったからだ。全国では送料負担を減らす支援策を実施する自治体も多い。本県も産業支援のために航空会社との連携などで、輸送コストの負担を下げる施策を打ち出してほしい。

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