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2018年5月20日(日)
クロストーク

キャリア教育定着へセンターマン必要

2017/07/14
大分県産業創造機構プロジェクトマネージャー 田中順一さん 人口の減少や都市部への一極集中などを背景に、地方企業の人材確保は厳しさを増す。対策の一つとして期待されるのが、地域の産業や企業の魅力を早いうちから教える地域密着型キャリア教育。これを定着させるためには何が必要なのか。地元の自動車関連産業と連携し、子供たちにものづくりの楽しさを伝える展示会を開催した大分県産業創造機構・自動車関連産業支援プロジェクトチームの田中順一プロジェクトマネージャーに聞いた。

大分県産業創造機構プロジェクトマネージャー 田中順一さん


たなか・じゅんいち 熊本市生まれ、小学3年から福岡市育ち。1979(昭和54)年、ダイハツ工業に入社し、プレスや溶接、組み立てなどボディー関係の生産技術を総括する部署で尽力した。2013年、ダイハツ九州から大分県産業創造機構へ出向。60歳。

たなか・じゅんいち 熊本市生まれ、小学3年から福岡市育ち。1979(昭和54)年、ダイハツ工業に入社し、プレスや溶接、組み立てなどボディー関係の生産技術を総括する部署で尽力した。2013年、ダイハツ九州から大分県産業創造機構へ出向。60歳。

 人口の減少や都市部への一極集中などを背景に、地方企業の人材確保は厳しさを増す。対策の一つとして期待されるのが、地域の産業や企業の魅力を早いうちから教える地域密着型キャリア教育。これを定着させるためには何が必要なのか。地元の自動車関連産業と連携し、子供たちにものづくりの楽しさを伝える展示会を開催した大分県産業創造機構・自動車関連産業支援プロジェクトチームの田中順一プロジェクトマネージャーに聞いた。

 -6月2、3日に同県中津市の県立工科短期大学校体育館で自動車関連産業の「ものづくり技術展示会」を主催した。

 2日間で小中高生と一般客ら約500人が来場した。自動車のさまざまな部品の製造技術について、映像やパネルを使って分かりやすく紹介した。穴埋め問題形式のワークシートで簡単に学べるよう工夫も凝らしたので、参加者も楽しんでくれたようだ。子供たちの笑顔を見ることができて運営側も楽しかった。子供たちに「ものづくりが好き」という“気付き”を与えられたならうれしい。

 -子供たちに“気付き”を与えることが一番の目的だった。

 私はダイハツ工業でTPS(トヨタ生産方式)に基づき、車両生産の各工程(生産計画、プレス、ボディー、塗装、組み立て)と、それをつなぐ物流を含めた全体の課題設定と改善活動を通して、現場管理レベルの向上と人材育成を担った。改善活動と人材育成で気を付けていることの一つが「教育と育成を間違えないこと」。教育は「正しい答えを教えること」、育成は「相手が自分で答えを導けるようにすること(一人歩きできるようにすること)」と定義している。

 企業が一番求めているのは、自分で考えて自分で解決・提案できる人材。人は好きなことは頑張ることができるし、得意なことはスキルや才能が伸びるし、自分で考えるようになる。人材育成の面からも望ましい。ならば、少しでも早く子供たちに得意なことは何か、好きなことは何かを気付かせてあげることは、将来を見据えた人材育成につながるはずだ。

 -確かに。「好きこそものの上手なれ」のことわざもある。

 子供が好きなこと、得意なことに気付かせてあげるのは本来なら親の役目。美術館や動物園、レースなど分野にこだわらず、さまざまなものを見せることで、子供が何かを感じ、好きなことに気付く。気付いてくれれば、自ら情報を調べるようになり知識が付く。知識が付くと意識が変わり、行動も変わる。将来就きたい仕事の方向性も見えてくるかもしれない。その後は親はその行動範囲を広げるサポートをすればいい。しかし今は親も忙しくなかなか思うようにいかない。今回主催した展示会は、親以外ができる気付きを与える場として、一つのモデル、参考パターンを示すことができたと思う。

 -展示会の継続開催を望む声が大きいのでは。

 私の本来のミッションは大分地場メーカーのものづくりのSQCD(安全衛生、品質、原価、納期)レベル向上に最大限汗を流すこと。ダイハツ九州、県内企業とのネットワークやTPSでの経験を基に今回は「自分の力を試したい」という思いもあって実行したが、長期的な定着を目指すなら行政が音頭を取るべきだ。

 ただ、行政が実行しようとすれば、専念して取り組めるセンターマンが要る。熱い思いを持って、企業や教育機関を巻き込みながら事を進められる存在だ。そのセンターマンがほかの業務に労力を割かれないよう、業務のプライオリティー(優先順位)を決定できるのは市長や知事など行政のトップしかいない。自動車関連産業に限らず、地方産業の人材確保という課題に目を背けてはいられない。キャリア教育にも地域ならではの付加価値を付け、強力に推し進めるという決意が求められている。
(福岡支社・鬼束功一)

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