みやビズ

2018年7月16日(月)
クロストーク

キャンプ地の強みをビジネスに

2017/07/07
20170706-biz20170706-01884.jpg 道本食品(宮崎市田野町)は創業80周年を記念し、日南市をキャンプ地とするプロ野球・広島カープ公認「たくあんの缶詰」(1缶70グラム、330円)を製造・販売している。5月15日の発売以降、新規の問い合わせが相次ぐなど反応は上々。「キャンプ地」という本県の強みをビジネスにつなげた道本英之社長に、その狙いなどを聞いた。

道本食品(宮崎市田野町)社長・道本英之さん


みちもと・ひでゆき 都城市出身、宮崎南高卒。慶応大経済学部を出て旭化成に入社。11年間、人事や総務、地域開発などを担当し、1992年に退職。道本食品へ入社し、2001年から現職。県干したくあん・漬物研究会の会長や、県食品産業協議会・クラスター協議会の会長などを務める。59歳。

みちもと・ひでゆき 都城市出身、宮崎南高卒。慶応大経済学部を出て旭化成に入社。11年間、人事や総務、地域開発などを担当し、1992年に退職。道本食品へ入社し、2001年から現職。県干したくあん・漬物研究会の会長や、県食品産業協議会・クラスター協議会の会長などを務める。59歳。

 道本食品(宮崎市田野町)は創業80周年を記念し、日南市をキャンプ地とするプロ野球・広島カープ公認「たくあんの缶詰」(1缶70グラム、330円)を製造・販売している。5月15日の発売以降、新規の問い合わせが相次ぐなど反応は上々。「キャンプ地」という本県の強みをビジネスにつなげた道本英之社長に、その狙いなどを聞いた。

-カープ、たくあん、缶詰…。本当にユニークな商品。なぜこのような商品を発売しようと考えたのか。

 今は「モノ余りの時代」。人口減少や高齢化で消費、需要は減っているのに商品の供給量は多い。消費者側の選択肢が多く、選ばれる商品の開発や改良が求められている。選ばれるためには付加価値が必要。付加価値の高い商品とは、心がときめく商品、思わず手に取ってしまう商品だと思う。

 では、どうしたら商品に付加価値を与えられるか。当社では海外への売り込みを図る中で、2013年に缶詰商品を開発・発売し、大いに話題になった。これをカープのブランド力を借りて、全国のカープファンに届けられないかと考えた。全国に広がれば、それは県産品の売り込みにもつながるし、自社のブランド構築にもつながる。漬物の消費が少ない若い人にも両親や祖父母へのお土産、プレゼントとして選択肢に入れてもらえる可能性がある。

 -気になる反応は。

 当社の販路と言えば、スーパーなどの量販店。しかし、今回の商品は書籍・雑貨を扱う広島の会社と取引が成立したほか、広島の土産物店や日南のホテル、土産物店などから商談が来ている。これまで販路として弱い部分だったところであり、販路の広がりという点で可能性を感じている。

 -缶詰化、プラスチック製のキャップという独自の技術、アイデアが詰まっており、単に「ユニーク」では終わらない商品。こうした独自性を広く知ってもらい、新たなビジネスチャンスを発掘したいという狙いもあるのではないか。

 「缶詰入りたくあん製品並びにその製造方法」で今年1月に特許を取得。プラスチック製のキャップは缶詰との間にリーフレットを挟んだり、食べきれなかった場合のふたとして使ってもらったりするために開発したのだが、これは14年2月に意匠権を取得している。先行した優位性、独自性を守るためだ。

 多くの同業他社がいる中、独自性の高い商品を持っていれば、商談という土俵に上がるチャンスが生まれ、バイヤーに話を聞いてもらうきっかけになる。ただ、まずは独自性がある会社だと知ってもらう必要があり、そういう意味で「広島カープ公認」という情報発信は武器になる。この商品を切り口に、他の商品の取引が成約する可能性もある。

 -「プロ球団とのタイアップ」と聞くと、地方の中小企業は尻込みしてしまいそうだ。発売までの経緯や感想を知りたい。

 カープに11年間在籍した地元・田野町出身の故木村拓也さんのお父さんに球団役員を紹介してもらったのが始まり。それが昨年2月で、その役員の方に当社の商品をお送りしてきた。そして、今年2月に公認商品をつくりたいと提案。「同じような公認商品がないこと」を条件に許可をもらい、実務担当者との作業に入った。

 最も時間を費やしたのがパッケージのデザイン。たくあんにちなみ、球団マスコット「カープ坊や」が持っているバットを大根に変えたところ、オリジナルを崩さないよう求められた。面白いと思ったのだが…。色やデザインの細部までオリジナルは厳格に守る必要があり、文字のバランスなども含めてデザインは5回修正した。商品に付けるリーフレットの確認などを経て、5月12日に契約を交わし、一連の作業が完了。つくりたい商品だったので、作業は楽しかった。

 費用的には、商品に貼る証紙の購入費と商標権使用料が発生する。広告宣伝費と思えば十分に納得できるレベルの額だ。契約は1年ごとの更新となっている。

 -本県には多くのプロ球団がキャンプに訪れているが、個人的には関連ビジネスの広がりという点で物足りなさを感じていた。キャンプ地である強みを生かし、もっと稼げるのではないか。

 同感だ。キーワードは「非日常」。私はライブに行くのが好きだ。会場で売られている公認グッズはとても充実しており、福山雅治プロデュースのドレッシングなど「えっ、こんなものまで」と思ってしまう商品が並ぶ。価格設定も高めだが、ライブという非日常の空間では高揚感から財布のひもが緩み、多くの人がさまざまな公認商品を買っていく。実に商売がうまい。

 キャンプではどうか。もちろん球団グッズはあるが、ライブに例えると、それはCD。ドレッシングに相当する公認商品がない。せっかくハイテンションになっているファンが「何か買おう」と思っても買う物、お土産がない。もっともっと宮崎はチャレンジしていい。そこにしっかりした安心安全やおいしさがあれば、リピートが期待できる。それは地域のPRや活性化につながるし、球団ともウィンウィンの関係を生む。
          
(聞き手・小川祐司)

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