みやビズ

2018年9月26日(水)
クロストーク

中小企業や個人事業主の承継支援

2017/06/09
 前週に続き、事業承継をテーマにクロストーク。本県で後継者がいない中小企業の事業承継を支援する県事業引継ぎ支援センター(宮崎市)の阿南友也専門相談員に、センターの役割や寄せられた相談などについて聞いた。同センターは宮崎商工会議所が国の委託を受けて2015年8月に開設。無料で相談を受け、事業承継する上での問題点や課題を洗い出し、対応策を検討。事業の魅力アップや、事業承継の相手探しをしている。
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県事業引継ぎ支援センター専門相談員(中小企業診断士) 阿南友也さん


あなん・ともや 大分県別府市出身。2006年に宮崎市へ移住後、大手ビール会社の宮崎支社に9年間勤務。その時に「担当する飲食店の役に立ちたい」と始めたのが、中小企業診断士の資格取得に向けた勉強。15年に資格を取得し、阿南経営診断事務所を開業した。35歳。

あなん・ともや 大分県別府市出身。2006年に宮崎市へ移住後、大手ビール会社の宮崎支社に9年間勤務。その時に「担当する飲食店の役に立ちたい」と始めたのが、中小企業診断士の資格取得に向けた勉強。15年に資格を取得し、阿南経営診断事務所を開業した。35歳。

 前週に続き、事業承継をテーマにクロストーク。本県で後継者がいない中小企業の事業承継を支援する県事業引継ぎ支援センター(宮崎市)の阿南友也専門相談員に、センターの役割や寄せられた相談などについて聞いた。同センターは宮崎商工会議所が国の委託を受けて2015年8月に開設。無料で相談を受け、事業承継する上での問題点や課題を洗い出し、対応策を検討。事業の魅力アップや、事業承継の相手探しをしている。
 
 -16年度は68件の新規相談が寄せられた。総括してほしい。

 1カ月当たりの相談件数は5.7件。15年度と比べると、1.6件増えている。第三者承継の相談は3類型に分けられ、68件の内訳は▽第三者への承継44件▽従業員への承継10件▽親族内での承継13件▽未定1件-だった。

 第三者承継でよく受ける相談が「当社のような小さい会社や、財務状況が思わしくない状況でも対象になるのか」という内容。状況に応じて支援の流れは変わるが、譲渡を希望する時期まで余裕があれば、関係機関と連携し、既存事業を磨き上げる支援を行い、相手探しを進める。

 -16年に休廃業または解散した県内企業は344件(帝国データバンク調べ)に上った。高止まりの状況が続いており、このままでは地域経済の規模縮小や地域の活力低下が懸念される。

 本県に限ったことではないが、経営者の平均年齢が高くなっている。その一因とされるのが後継者の不在。中小企業庁の調査では、廃業した中小企業の5割強が後継者難を理由に挙げている。後継者が見つからないまま、経営者の年齢が高くなり、廃業に追い込まれるケースが近年増えていると考えられる。

 事業承継の現場では「2017年問題」というキーワードがある。これは団塊の世代が今年から70歳を迎えることを指す。親族内承継が減少傾向にある中、経営者の高齢化に起因する企業数の減少が加速する恐れがある。事業承継対策は待ったなしの状況だ。

 -M&A(合併・買収)仲介会社や金融機関も事業承継を手掛けている。センターの存在意義とは。

 第三者への事業譲渡において、ある程度の規模の企業同士であれば、成約に当たって十分な報酬(手数料)が見込めるため、民間のM&A仲介会社やメガバンク、証券会社が支援に入る。問題は、そうした規模に満たない中小企業や個人事業主であり、支援はまだまだ不足している。当センターの存在意義は、そういう小規模で難しい事業者のマッチング支援にある。

 当センターは県内の各商工団体や県産業振興機構よろず支援拠点などの公的機関、地方銀行などの登録民間支援機関、各種専門家とのネットワーク構築による支援を目指している。こうした包括的な支援体制というのも特徴だろう。また、昨年12月に開設した「後継者人材バンク」を7月から本格稼働させる。創業に意欲を持つ人たちに登録してもらい、後継者がいない事業者(主に個人事業主)とつなぐことで事業承継を後押ししたい。

 これらの取り組みや支援体制によって、1社でも多くの企業、1件でも多くの事業を存続させ、雇用の場や培われた技術、商品を次世代へつなぐサポートをしていきたい。

 -最後に、後継者がいない経営者に伝えたいことは。

 いろいろな場で「事業承継はイノベーションだ」と話している。事業承継によって、企業は生まれ変わることが可能だということ。成熟期を迎えた企業は新たな波をつかみ、再び成長期を迎えることで進化する。言い換えると、前経営者が培ってきた事業に後継者(譲渡先の企業)が持つ技術や能力が加われば、企業の成長は続く。本県をはじめとする地方では後継者不在の企業が多い。その解決策となる第三者承継は、地域産業のたすきを次世代へつなぐ地域活性化の切り札になると感じている。

 そのためには早めの取り組みが必要。事業承継には時間がかかる。「取り組まないと」と思いつつ、デリケートな内容のため相談に踏み切れない経営者も多いようだ。私たちは秘密厳守で相談に応じている。60代になったら一度、当センターへ相談にお越しいただければと思う。
(聞き手・小川祐司)

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