みやビズ

2018年4月23日(月)
クロストーク

日本ワインの品質底上げを

2017/05/12
 開業20周年を迎えた都農ワイン。飲食店を全国展開するエー・ピーカンパニー(APカンパニー)が経営に参画し、今後の展開が注目される。国内では「日本ワイン」の表記厳格化など国産ワインの価値を見直す動きが活発になっており、変革期を迎えているワイン業界の現状や都農ワインの取り組みを聞いた。

都農ワイン(都農町)社長 小畑暁さん


おばた・さとる 1958(昭和33)年1月生まれ。北海道旭川市出身、帯広畜産大卒。国内大手飲料メーカーが運営するブラジルのワイン工場長などを経て94年に都農ワインに入社。2016年10月、取締役工場長から現職に就任。妻と長男は沖縄県在住。59歳。

 おばた・さとる 1958(昭和33)年1月生まれ。北海道旭川市出身、帯広畜産大卒。国内大手飲料メーカーが運営するブラジルのワイン工場長などを経て94年に都農ワインに入社。2016年10月、取締役工場長から現職に就任。妻と長男は沖縄県在住。59歳。

 開業20周年を迎えた都農ワイン。飲食店を全国展開するエー・ピーカンパニー(APカンパニー)が経営に参画し、今後の展開が注目される。国内では「日本ワイン」の表記厳格化など国産ワインの価値を見直す動きが活発になっており、変革期を迎えているワイン業界の現状や都農ワインの取り組みを聞いた。

 -APカンパニーの経営参画により、どうのような効果が期待されるのか。

 第三セクターでの経営は、町の決済や議会の承認が必要だったが、株式の移転により経営のスピードと自由度が増した。APカンパニーが資本参加していることで、金融機関からの資金調達やそれに関する交渉も進めやすくなった。

 調達した資金で商品や資材を管理する倉庫の建設、農園の作付面積の拡大を行う予定だ。農園は年内に1ヘクタール増やす計画だが、作付面積の拡大により、人材の確保や育成も必要となる。収益を拡大することで、給与などの待遇面も改善したい。

 -なぜ自社農園を増やすのか。

 ワイナリーがブドウを調達している生産農家数は、高齢化や後継者不足で10年前から半減している。16年度は熊本地震でワイナリーでの直売本数が減り、シャルドネは2年前に原料となる専用種のブドウが不作だったため製造本数が半減。こうした要因から全体の販売本数は約2.5パーセント減だった。

 ブドウの栽培量を増やしておかなければ、製造本数の維持は難しくなる。生産者頼みではなく、自社農園で責任を持って確保する必要がある。さらに本格的なシャンパンの製造に向け、2ヘクタールの規模で専用品種を栽培する計画。ブドウは植えてすぐに収穫できない。都農ワインを20年、30年と持続させるには先行投資が必要。

 -収益力をどのように強化させるのか。

 ワイナリーの物販については、コンサルタントと契約して売り場の改装やディスプレーの改善に着手し、カフェメニュー、オンラインショップも見直す計画。ルーティンに時間と能力を取られるのはもったいないので、手書きだった伝票処理や決済の電子化で業務の効率化を図る。

 ワイナリーでの無料試飲が販売実績につながっていないという問題がある。グラスワインで提供して有料化したい。旅行代理店などと提携して有料のブドウ農園や醸造施設の見学、レストランで食事するワイナリーツアーを組むなど、観光についても力を入れる。

 人口減少とともに国内の飲酒人口は絶対に減少する。主力のキャンベルアーリーといった低価格の商品だけでなく、付加価値の高い甲州、シダー、ピノノワールといったラインアップの製造を強化したい。

 -日本ワインの表記が18年10月に見直され厳格化される。ブドウの原産地と醸造場の位置関係など規定が細かくなる。一方で日本ワインでありながら品質の安定しない小規模ワイナリーもある。追い風と捉えることができるのか。

 酒類の消費量が低減する中、ワインを含む果実酒市場は微増を続けている。この中でも国産ワインは3~5パーセント増を維持しており、小規模のワイナリーを中心に元気が良い。

 新たに開業したワイナリーの中には、味わいの安定しない欠陥品を個性とはき違えている向きもある。日本ワインの定義を満たしてはいるが、技術がともなっていないのが問題だ。果実酒醸造免許の取得のハードルが下がったことで、以前より簡単にワイン醸造に参入できるようになったことが背景にあるのではないか。

 20年東京五輪・パラリンピックに向けて外国人旅行客も増え、初めて国産ワインを飲む人もいるだろう。日本ワインの表記の厳格化は国内ワイン業界の底上げが本来の狙い。日本ワイン全体のイメージ低下につながらないよう議論と努力が必要だ。
(聞き手 巣山貴行)

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