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2018年7月20日(金)
クロストーク

「鍵」は人材育成

2017/04/14
 日南市南郷町の製材メーカー、吉田産業(吉田利生社長)は、地方創生へ本県の産学金労官13団体が組織する「県企業成長促進プラットフォーム」から将来、本県経済の中核企業となることが期待される「成長期待企業」に認定された。

成長期待企業 吉田産業社長 吉田利生さん


よしだ・としお 串間市出身。1989年、吉田産業入社。95年、代表社員就任。2013年の株式会社化後から社長。47歳。

 よしだ・としお 串間市出身。1989年、吉田産業入社。95年、代表社員就任。2013年の株式会社化後から社長。47歳。

 日南市南郷町の製材メーカー、吉田産業(吉田利生社長)は、地方創生へ本県の産学金労官13団体が組織する「県企業成長促進プラットフォーム」から将来、本県経済の中核企業となることが期待される「成長期待企業」に認定された。13団体は今後、連携して集中的な支援を行う。吉田社長に求める支援内容や目指す将来像を聞いた。

 -なぜ「成長期待企業」に応募した。

 構造用集成材を生産販売する「ウッドエナジー協同組合」を約10年前に立ち上げたこともあり、80人程度だった社員数が現在は150人ほどに増えた。事業内容も山林作業、製材、集成材生産、バイオマス発電など多岐にわたり、組織が有機的に動くのが難しくなってきた。

 また、先代のときから働いてくれていた営業担当専務の退任が決まっていたのも一因。営業とは人間関係が最も重要な情報戦。ところが取引先の顔ぶれを見直すと、先方もかなり代替わりしていた。これらのことが重なり、考えたのが「情報共有」の大切さだ。

 それまで社内の人事交流をほとんど行っていなかった。山林作業の担当は山の仕事だけしていた。作業員はそれでもいいのかもしれないが、部課長クラスの中核メンバーには組織全体を見渡す“目”が必要。複数の職場をこなせるようになれば視野も広がり、会社の5年先、10年先を考えるようになる。

 ちょうど中小企業基盤整備機構の経営コンサルタントと「事業の見える化」を目的に、事業計画づくりに取り組んでいる最中でもあった。プラットフォームからは補助金や販売力強化策だけでなく、人材開発や組織力強化など横断的な支援を得られるということで魅力を感じた。

 -期待する点は。

 一番は人の育て方。人材育成と言っても研修システムだけではない。例えば社歴の浅い営業アシスタントの女性社員がいるとする。ようやく仕事に慣れて「電話では取引先と話せるようになった。でも、面と向かって商談をこなすのはまだ難しい」という。この場合、上司はどう指導すればいいのか。そうしたことを聞きたい。大企業と異なり、中小企業には人材育成のノウハウがなく、それを考えるゆとりもない。ホテルのコンシェルジュのように生々しいレベルで人の育て方を教えてほしい。

 取引の拡大に伴い積極的に設備投資してきたが、あらためて人を定着させ、成長させることの大事さに気付いた。定着しないと技術の継承や熟練が進まず、設備の能力を最大限に生かせない。

 人は育てないといけない。環境を与えるだけでは慣れて終わり。伸びしろは限られている。

 そこで4月からオーナー企業の製造業に勤務経験がある労務人事の担当者を新しく雇った。150人もいれば150通りの人生があり、職場に対する希望や働く意欲もそれぞれ。それらをなるべくくみ取りながら組織を前へ動かしたい。難題だが担当者がプラットフォームのコンサルタントらに相談することも可能だろう。認定で補助金を得られるといった支援もありがたいが、「部下のしかり方」など幅広く人材育成を学びたい。

 -どのような「中核企業」になりたい。

 丸太の海外輸出増加やバイオマス発電施設の相次ぐ稼働、東日本大震災からの復興需要などで林業界や住宅メーカーは活況を呈していると思われているが、われわれはそれほど恩恵を受けていない。理由は人手不足。住宅建築の現場で職人が足りないため、全体の消費量が思うように増えていないからだ。

 創業者の祖父は陸軍の元大佐。戦後復興へ木材で産業を興そうとし、社名にもあえて「産業」と付けた。養鶏や養豚もやったが、以来一貫して住宅用木材の製造販売を続けている。3代目の私にとって会社を成長発展させることは宿命。だが、社員は違う。「なぜ働くのか」という点を理解させないといけない。そこで昨年、経営理念を次のようにまとめた。

 「宮崎・日南の地にありながらも、各地域の先人たちが育んできた『林業』を常に尊重し、山の恵みに感謝します。そして『木』を余すことなく『価値ある商品』へ転換して提案し、かつ森林資源の循環型社会の創造を使命とします」

 この思いが社員の間で浸透し、共有できるようになれば競争力のある会社に変わると思う。そうなることが「中核企業」への第一歩であり、外貨獲得や雇用の増加といった地域経済への貢献につながると思う。
(聞き手・久保野剛)

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