みやビズ

2018年6月23日(土)
クロストーク

水道管の老朽化対策と耐震化 水研テック社長 松本幸三さん

2017/01/27
 1960、70年代に設置された水道管の老朽化が進み、漏水を原因とした事故が全国各地で発生している。水道管の平均的な法定耐用年数は40年とされるが、各自治体での財政負担や人材不足から思うように更新対策が進んでおらず、同問題は、今後ますます深刻化することが懸念される。県内で唯一、水道管の水漏れを専門に調査する水研テック(延岡市)社長の松本幸三さんに県内の状況や課題を聞いた。

新技術生かし効率的に対応


まつもと・こうぞう 延岡市出身。延岡学園高卒。大手電気工事企業を退職後、1985(昭和60)年に個人事業としてウオーターリサーチ水研社を設立し、漏水調査を本業とする。翌年に有限会社水研社へ組織改正、98年には水研テック株式会社へ組織改正した。水道関係の国家資格取得数は25種に及ぶ。66歳。

まつもと・こうぞう 延岡市出身。延岡学園高卒。大手電気工事企業を退職後、1985(昭和60)年に個人事業としてウオーターリサーチ水研社を設立し、漏水調査を本業とする。翌年に有限会社水研社へ組織改正、98年には水研テック株式会社へ組織改正した。水道関係の国家資格取得数は25種に及ぶ。66歳。

 1960、70年代に設置された水道管の老朽化が進み、漏水を原因とした事故が全国各地で発生している。水道管の平均的な法定耐用年数は40年とされるが、各自治体での財政負担や人材不足から思うように更新対策が進んでおらず、同問題は、今後ますます深刻化することが懸念される。県内で唯一、水道管の水漏れを専門に調査する水研テック(延岡市)社長の松本幸三さんに県内の状況や課題を聞いた。

 -漏水は道路陥没の原因となるだけでなく、第三者にも危険性があるばかりか、貴重な資源である水を無駄にしてしまう。 早急な対策が必要だが、県内の状況は。

 県内各市町村の水道事業体によっては、定期的な漏水調査を予算化し実施をしていないところもあり、老朽化や地震対策の対応には温度差がある。ただ、単にほったらかしにしているわけではなく、高度成長期に布設された水道管路の老朽化が、戦後70年と言う時間の流れの中で、一度に進行し、更新対策が追いつかないのが現状だ。水道事業は、独立採算性のため、人口減で使用量が減少すれば、水道管更新などに必要な予算は確保できなくなる。昨年10月、宮崎市上下水道局は市内全域の水道料金を平均20パーセント値上げしたが、上下水道施設の維持管理に継続的に取り組むためには避けられないことで、今後の各自治体の対応いかんでは、県内の他の事業体も追随するものと思われる。

 更新対策が思うように進まない要因に、技術者不足も挙げられる。水道施設の維持管理や保全管理には、国の認定を受けた技術者が必要だが、少子高齢化の波の中で若い年代層が育っていない。県内の管工事組合の中には、組織的に技術者育成に取り組むところもあるが、地方は慢性的な人手不足に陥っており、今後が見通せない。

 -昨年発生した福岡の道路陥没のような事故や、漏水による事故は発生していないのか。

 断水を伴うような大規模の漏水事故には発展していないが、弊社が委託を受けている県内のある自治体では、1日に300トンもの漏水をしていた事例がある。漏水調査中に発見確認された漏水事故で、漏れ出た水は地下の地盤を通り近くの水路に流れ出ていたため、地下の空洞化にはつながらなかったが、もし空洞化するような地盤で、しかも街中で発生していたと仮定したら人的な被害は計り知れない。

 また、漏水には、有収率(送水された配水池から供給されている給水管の水量を量水器で検針されて収入量との水量比率)を下げるという問題もある。有収率の高低差が、直接的に水道事業経営を圧泊し、需要家(住人)には、間接的に影響を与える逼迫(ひっぱく)した事態になるため、高レベルに維持することは水道事業管理者にとって避けて通れない責務と言える。

 -漏水を見過ごしてはいけない理由が分かった。老朽化以外にも水道インフラを取り巻く課題はあるのか。

 最近、私が一番懸念しているのは県内の水道管路の耐震化率。厚生労働省のデータによると、全国における水道施設の耐震化の進捗(しんちょく)状況は、基幹的な管路の耐震適合性のある管路の割合が約37パーセント、浄水場の耐震化率が約26パーセント、配水池は約52パーセント(2016年3月末現在)という事情である。学校など公共機関の耐震対策が進む施設建物に対し、水道管路はまだまだ充分な備えがあるとは言えない状況にあり、南海トラフ地震が想定されている県内においては、水道管路の耐震化は急務と言える。

 災害派遣対策においても、県内自治体は、いまいち立ち遅れているように思う。弊社は熊本県山都町と水道事業に関する周年契約を結んでおり、その中には、災害協定も含まれている。昨年4月15日の熊本地震発生直後、安全確認をした上で配水施設の漏水調査を行った。そこで自然の猛威と地震のすごさを知った。いざ地震が発生して、急に「調査に来てくれ」となっても態勢はとれない。南海トラフ地震への懸念がある本県の水道自治体には、水道インフラを維持管理し、安全な水を住人に安定的に届けるという視点から、水道事業分野における災害派遣協定を結ぶ動きが出てくることを願う。

 もう一つは、空き家対策。空き家には給水設備が生きているものが多く、地震でそれがダメージを受けて破損し漏水した場合、すぐに気付くことは難しい。対応が遅れれば貴重な水資源が無駄になってしまう。

 -全ての水道管を、耐震化の対策も施して一度に取り換えることはコスト面、技術面でほぼ不可能に思える。

 だからこそ漏水箇所を正確に探り当て、的確な対策をとることが重要となる。そのために必要なのが精度の高い調査技術の提供だ。弊社は2016年に「見えない地下漏水の発見率を100パーセントに近づけること」を目指し、漏水している音だけを拾い集めてデータ化できる監視システムや水素ガスを使った新しい探知技術などを積極的に導入した。また、28年度補正「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」を活用して、調査技術のさらなるレベルアップに努めている。「水守人」としての、新技術を使いこなせる人材育成にも力を入れながら、創業32年で培ったノウハウと特許技術を融合させ、1日も欠くことのできない「命の水」を運ぶライフラインの健全化に貢献していきたい。                (聞き手 経済部・鬼束功一)

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