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2018年4月23日(月)
クロストーク

県産材の輸出 S.D.PLAN社長 進藤伍暉さん

2017/01/06

梱包材、さらに建材としても期待


 南那珂、都城森林組合と鹿児島の2森林組合が取り組む木材輸出が好調だ。2015年度は約4万立方メートルを出荷。その窓口となってきた福岡県春日市の商社「S.D.PLAN」の進藤伍暉社長に、県産材輸出の現状や課題などを聞いた。

しんどう・いつき 2002年、商社「S.D.PLAN」を設立。南那珂、都城、曽於地区、曽於市森林組合でつくる木材輸出促進戦略協議会に関わり、中国と韓国への輸出を手掛けてきた。年商10億円。韓国・ソウル生まれ。53歳。

しんどう・いつき 2002年、商社「S.D.PLAN」を設立。南那珂、都城、曽於地区、曽於市森林組合でつくる木材輸出促進戦略協議会に関わり、中国と韓国への輸出を手掛けてきた。年商10億円。韓国・ソウル生まれ。53歳。

 -宮崎県産材では特に中国向けのスギの輸出が好調だ。

 宮崎県産スギの大径材(直径40センチ以上)は、かつて国内でも使い道がほとんどなく、宮崎県も困っていた。チップ材くらいにしかならなかったC級材を、現在は鹿児島県の志布志港から中国へ輸出している。出荷量は弊社で1カ月当たり約5500立方メートル。現地では車の部品や電化製品用の梱包(こんぽう)材として使われている。輸出大国の中国では梱包材の需要がとても多い。これまでニュージーランド産のパイン材を使っていたが、為替の変動もあって日本材の需要が増えている。

 -中国への輸出で課題は。

 防疫のための薫蒸処理を日本国内で行い、その証明書がないと中国への輸入が許可されない。九州で薫蒸を行う防疫専門会社は福岡に1社だけで、処理を待たなければいけない状況。この会社は設備を増強しているが十分ではなく、長いときには2週間も待つ。薫蒸代もニュージーランドなどと比べ、3倍ほど高い。待機なしで船積みできれば出荷量を増やせる。弊社ではこの問題を解消できないかと、薫蒸の講習を自ら受け、対応できる方法を模索している。

 -韓国へも木材を輸出している。スギ材はどの程度浸透しているのか。

 韓国は木材の93パーセントを輸入に頼っている。これまではヒノキが中心で出荷量は毎月1300立方メートルあるが、スギは年間でも5000立方メートルくらいだった。スギのサンプルを無償で現地へ贈るなどしてきたが、利用方法が見つからず、なかなか受け入れられなかった。昨年は現地でマーケティングを行い、今月から出荷が始まる予定。中国と同じC級材だが、若干グレードは高い。韓国でも木材が最も使われているのは梱包材で、あとは建物の垂木。鉄骨造りでも垂木は必要なので、今後、高級マンションなどに使うことを考えているようだ。スギはこれまで中国だけの取引で、最近は価格を抑えられる傾向にあった。韓国が取り扱ってくれるようになれば、中国も価格を意識するようになる。そうすれば単価も安定していくと期待している。

 -スギの内装材としての使い方を見てもらうために、事務所をショールーム兼用に改装した。

飫肥杉などを使ったS.D.PLANの事務所兼ショールーム

 飫肥杉などを使ったS.D.PLANの事務所兼ショールーム

 海外の顧客との打ち合わせなどで、建材としてのスギを感じてもらうために造った。集成材など全ての技術を取り入れている。自分で見て気に入り、事務所を同様に改装した社長もいる。韓国では昔に比べると店の内装などに木材を使う店をよく見るようになったし、木造の別荘もはやっている。これまではヒノキの香りや色が好まれてきたが、スギも手を加えればどうにかなる。中国で建材として利用されるにはまだ4、5年かかるだろうが、いずれその良さを実感して取り入れるようになると思う。上海にモデルルームを造ることも考えている。

 -今後、海外への輸出は増えていくか。

 現在、中国の輸入木材に占める日本材の割合はわずか1パーセント、韓国でも4、5パーセント。ただ、薫蒸や船積みできるクレーンなど、出荷量の増加に対応できる国内のインフラが整わない限り、急速に増えることは期待できない。日本は港での薫蒸、荷役作業代などのコストが他国に比べて高い。港が足を引っ張ると輸出が難しくなる。しかし、海外に輸出しないと、国内流通だけでは需要が限られ価格も上がらない。日本にはこれだけ豊富な木材資源と高い木造技術があるので輸出への不安はないが、木材資源のない韓国や中国は日本に比べ技術も低い。売り込む際は、そのレベルを理解した上で現地に合った提案をしていくことが大事だろう。
(聞き手 福岡支社・高森千絵)

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