みやビズ

2019年1月19日(土)
寄稿コラム / 宮崎発香港行(大原奈々)

「宮崎発香港でビジネスをする企業(4)」

2013/07/11
宮崎コーナーを紹介する前谷さん

宮崎コーナーを紹介する前谷さん

 歡迎來香港(ようこそ香港へ)!
 ネイホウ!(広東語でこんにちは) 

 自称、香港の宮崎応援団団長こと大原奈々です。

 前回に引き続き、「ジャパンプレミアムストア」のお話です。

 ストアの運営会社Sun Paragonの社長である前谷正弘さんは、吉本興業で漫才師をしていた過去をお持ちです。吉本総合芸能学院(NSC)の2期生でコンビ名は「どんきほーて」、岡山出身にちなみ「きびのだんご」という芸名で関西を中心に活動されていたとのこと。人気絶頂期の1999年に芸能界を引退後、サラリーマンに転職し、ディスカウントストア、物流会社、家電量販店、パソコン専門店などの経験を経て、香港のジャパンプレミアムストアの運営を行っています。物流会社時代は、ユニクロのインターネット通信販売、アスクル、TDK、さくらやなどの物流構築・改革を行った、とてもエネルギッシュで敏腕家の前谷さんです(6/30現在)

 ストアの店内に入ると、「いらっしゃいませ」と若い男性スタッフたちの親しみやすい笑顔と元気な声が飛んできます。日系の大手スーパーにはない、八百屋さん的な親近感があります。宮崎コーナーに「食べやすくカットされた漬物」と「一本のまま売られている漬物」を見つけました。香港人は夫婦共働きで忙しく、外食中心の食生活。手軽にサッと食べられるものを好む傾向にあるため、カットされた漬物の方が圧倒的に売れるだろうなぁと想像し、香港人の男性スタッフに聞いてみると、

宮崎コーナーに並ぶ宮崎産の漬物

宮崎コーナーに並ぶ宮崎産の漬物

 スタッフ 「一本のままの方がよく売れますよ」

 私 「え!?香港人は手軽に食べられるものの方が好きだよね?」

 スタッフ 「でも、一本のままの方がとりたて、もぎたてのような新鮮な感じがする。カットされたものは大根の端っこだけが袋詰めにされていそうな感じを香港人は受けるかも…」

 なるほど…普段から果物一つ、野菜一つを買うのにも、商品をとてもよく吟味して納得できるものをカゴに入れる香港人。より新鮮さを求めるようです。店内で販売されているごぼうも持ち帰りやすいようにカットされたものより、一本のままの方が売れているとのこと。

 日本語で質問すると日本語で親切に答えてくれる若い男性スタッフたち。商品知識も豊富で、時にはお客様のカゴを持って一緒に商品を選んでくれ、心づかいも気配りも日本スタイル。前谷さんが「うちはホストスーパーを目指しています!」と笑いながら冗談交じりに言っていました。接客コミュニケーションをとても大切にしているようです。

 そんな前谷さんにストアで人気の商品を聞いてみました。

 「日本の商品は全般的に安全、安心、美味しいととても人気があります。香港人は、人気の旅行先である北海道、東京、大阪、京都に親近感があり、旅行中に食べたもの、知識として得た食材などを好んで購入される方が多いと思われます。北海道の乾燥ナマコ、京都のイメージである抹茶を使ったお菓子も人気の商品です。

人気商品の北海道産乾燥なまこと抹茶を使ったお菓子

人気商品の北海道産乾燥なまこと抹茶を使ったお菓子


 また、健康志向の香港人には健康に関する食品も人気です。宮崎の商品でいうと『くろまるにんにく』のような健康食品、縁起をかつぐ香港人にネーミングが受けている『百年長寿うどん』、パッケージ・デザインの良さで『日本酒ガルズ』が人気です。でもダントツ人気はやっぱり『かんしょ』です。私も当初はなぜこんなに売れるのか分かりませんでしたが、その他の海外産の芋と比べて糖度が高く、手軽に食べられるところが香港人にあったのだと思います」

 日本サイドから「香港では何が売れると思うか、これは売れそうか」とよく質問されるそうです。でも売れる、売れないは市場が決めることであって前谷さんがアドバイスできるのは値段やパッケージなど。宮崎県は前に向かってすでにプラットホームは整っています。「まずはチャレンジしてほしい!」とおっしゃっていました。

宮崎コーナーで人気の健康食品くろまるにんにくと宮崎産かんしょ

宮崎コーナーで人気の健康食品くろまるにんにくと宮崎産かんしょ


 前回のコラムで触れましたが、香港の家賃は世界一、二を争うほどの高さ。店舗やオフィスを始めから借りるのはハイリスクです。前谷さん曰く「日本政府は香港や海外に政府が運営するストアをつくり、日本の企業をもっとチャレンジさせてほしい。政府の支援で環境づくりをしてくれたら、中小企業もチャレンジしやすくなる」

 今回、取材をしていく中で繰り返し前谷さんの口から出てきた「行政の支援」という言葉。

 7月1日の宮崎日日新聞『「ブーム」去り売り上げ半減 県物産貿易振興センター』という記事が、ヤフーのトップページで扱われていました。

 「県のアンテナショップ『みやざき物産館』(宮崎市)と『新宿みやざき館』(東京都新宿区)などを運営する県物産貿易振興センターの売り上げが、ここ数年低迷している。2012年度は6億400万円で、ピーク時(07~09年度)の約5割に落ち込む。東国原英夫前知事時代の『宮崎ブーム』が去った後、有効な打開策を見いだせない状態が続いている」

 前知事が辞職した後に、改修工事までしたみやざき物産館。商品納入業者や利用客への期待をこめた行政支援の一環だったのでしょう。でも、ブームはいずれ去ってしまいます。いかにして定着させるか。県民の血税を無駄にすることは許されません。先月、香港に「香港宮崎県事務所」が設置され、宮崎県庁から一名、所長として赴任してきました。ここ香港でどう宮崎を定着させるのか、宮崎から香港へ進出したがっている中小企業を行政として具体的にどう支援していくのか、事務所設置後1ヵ月間の取り組みについて…など、次回のコラムでは、香港宮崎県事務所水田隆史所長にお話をうかがいます。

 次回もお楽しみに!

アクセスランキング

ピックアップ