みやビズ

2018年5月20日(日)
寄稿コラム / くらしの中で旅をする~交流の旅が育む地域愛~(福永栄子)

新しい年を迎えて、道を思う

2014/01/09
 あけましておめでとうございます。

 新しい年への祈りを、それぞれの胸に、そっと抱きながら、神社に通った方も多かったことだろう。私はといえば、今年は体調を崩していたということもあり、神社参りは旧暦で行なうことと、勝手に前向きに考え、少なめに巡ることにした。毎年、暮れから新年にかけて南、中九州の神社仏閣を十数か所は旅していたので、事務所で迎えるお正月は初めてである。

 お正月三ヶ日の途中から6日まで、助けてくれる勇士(有志)と一緒に、混沌とした我らが事務所裏の倉庫を整理整頓しながら過ごした。

 整理整頓では、常に整理が先でなければいけない。いるものといらないものを分け、いらないものを捨てることが「整理」。一方、「整頓」とは、必要なものをいつでも誰でも取り出せるようにすること。シンプルにいえば、「戻す場所・置く場所」を決めることである。株式会社にして以来、かなり溜め込んでいたもの(残念ながらゴミばかりであった)を思いきって、すべて廃棄することにした。

宮崎県延岡市と大分県佐伯市は、県境を越えて「伊勢えび」を合言葉に、浦でつながる

宮崎県延岡市と大分県佐伯市は、県境を越えて「伊勢えび」を合言葉に、浦でつながる

 頭の中もである。

 いらない情報、無駄な思考やネガティブな感情は破棄し、簡素化・前向きにする。

 しかし、頭のなかでも道草は大切なので、無駄の定義だけにはこだわりがある。楽しい思考の道草は無駄ではなく、その思考が有用か必要かが基準ではない。むしろそのことを考えることがアトラクティブ(魅力的)で、行動を刺激できるかどうかが大切なのである。

 整理整頓といえば、経営者としては、当然、人員…を連想する。しかし、実はこれが一番苦手で、私にとって難しいのである。人を有用かどうか、魅力的かどうか定めるというのは、自分が大したことがないだけに、かなり難しい。世の経営者の方々にノウハウや教えを乞いながらも、ついつい整理に目をつぶり、整頓を先にしようとしている自分がいる。

 今年の会社の目標として掲げてみようかな?…などと、今年もぐずぐずと考えながら、新しい年は、すでにしめやかに始まってしまっている。

日豊海岸国定公園の馬ヶ背(日向市)から太平洋の大パノラマを望む

日豊海岸国定公園の馬ヶ背(日向市)から太平洋の大パノラマを望む

 年末に嬉しいニュースが飛び込んだ。

 福岡県北九州市を起点とする東九州道の都農~日向IC、須美江~北浦IC間が年度内に開通するというニュースである。ということは、なんと3月までに宮崎県の人々が待望し続けてきた東九州自動車道の延岡~宮崎間がつながるということで、「反響」は大きかった。

 「九州は西高東低」と嘆かれていた交通事情が、いわゆる高速網と高速鉄道網が、九州の東海岸側には通っていないという状況がかなり改善されることになる。

 各県で「道づくりを考える女性の会」などが頑張って高速道の早期開通を運動してきた大きな成果でもあり、期待していた時期よりも早い実現は、多くの人々をかなり喜ばせた。が、しかし、一方、「反響」ということばの中には、喜びだけでなく、多少の焦りもまた入り混じっていることも否めない。

地域間交流誌「みちくさ」でも度々取り上げてきた。「東九州伊勢えび海道」の取り組みは、10年に及ぶ

地域間交流誌「みちくさ」でも度々取り上げてきた。「東九州伊勢えび海道」の取り組みは、10年に及ぶ

 高速道が抜けるということは、すなわち通過点となっていくという危惧も生まれるのも事実。後発ということで、これまでも高速道が抜け、ストロー現象に陥った諸地域を見てきた周辺地域の人々は官民協働で、地域の魅力発見と発信に努めてきた。大分県南と宮崎県北部は、高速道がつながる前に連携を強化しようと、「東九州伊勢えび海道」や日豊海岸シーニックバイウェイ(日本風景街道)「蒲江・北浦大漁海道」など、10年の年月をかけて互いのつながりを強化してきた。

 高速道がつながるということは、隣接していない町が隣町になったり、生活圏域が広がっていくことである。

 徒歩で暮らしていたときは、生活は集落のなかでおさまっていた。バスや電車が登場し、生活圏は目まぐるしく変わっていった。自動車社会となり、バスのニーズが減ると路線や本数も減少し、公共交通機関の利便性が低下し、ますます自動車がない生活は不可能になっていく。

 自家用車の普及率も地方に行くほど高くなり、全国の20歳代の免許証取得率は8割、30歳代は9割になっている。バスで商店街に出かけていって買い物をしていた時代が終わることで、商店街のシャッター街化や中心市街地の空洞化が悩ましくなり、郊外の巨大モールが凌ぎを削るようになり、人々の暮らしの中心が代わっていくと共に都市部の構造変化が余儀なく発生している。

 新しいまちづくりとは何か?

 自分たちの町をどのような町にしたいのか?

道が変われば、人の流れが変わる。人の流れが変われば、町が変わる。暮らしの基盤である「道」をテーマに、今年も情報を発信していきたい

道が変われば、人の流れが変わる。人の流れが変われば、町が変わる。暮らしの基盤である「道」をテーマに、今年も情報を発信していきたい

 町の未来像を整理し、本当に求める姿を定め、何を残し、何を排除するかを決める。残したいものの将来像を整え、あるべき場所に納めていく。つまり、地域のそれぞれの地区の役割を明確化した「都市計画」が大切。そのために自分たちの地域をどのようなものにしたいかということを一緒になって意見交換する場づくりが必要だろう。

 拙誌、地域交流誌「みちくさ」は、その発想を支えるツールになっていきたい。農業公園構想、森林理想郷構想、浦のツーリズムなどを掲げ、一生懸命に努力する地域の取り組みをもっと発信していきたい。愛で地域と地域、人と人をつなぐ弊社アイロードも、産業と暮らし、人々の生き方の美学などをしっかりと盛り込んだ地域づくりに貢献できる交流フロントとして、多少でも機能できることを、切に願っている。

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