みやビズ

2018年9月25日(火)
寄稿コラム / くらしの中で旅をする~交流の旅が育む地域愛~(福永栄子)

暮らし文化圏で、エコツーリズム

2013/12/12
中谷地区のゴッタン

中谷地区のゴッタン

 神楽のシーズンがやってきた。九州の奥深い魅力。観光地ではない、本物の暮らしに魅了されて14年。アイ(愛)ターンで、東京から宮崎県に移り住んできた私の心をとらえて離さないのは、この南九州に大切に残っている日本人の原風景であり、人々の暮らしの魅力である。この魅力を、住んでいる人々、訪れる人々に伝えていきたいと、地域交流誌「みちくさ」を発刊してきたが、きっかけは、何といっても「霧島」だった。

中谷暮らし風景

中谷暮らし風景

 鹿児島空港に降り立った私にとって、「霧島」は鹿児島県だというイメージしかなく、当時、よく通っていた「えびの高原」も「白鳥温泉」もしばらくは鹿児島県だと思っていた。また逆に高千穂牧場が宮崎県だと知った後は、霧島神宮辺りは宮崎県のような気がした。旅人には県境がない。むしろ暮らし風景の連続性の方が大切である。昨今は勝手に「暮らし文化圏」などという造語を考え、講演したり、「みちくさ」の地域特集も自治体の枠を超えた暮らし文化の連続性のなかでエリアを区切り、発信させていただいている。

 たとえば、五ヶ瀬町は旧蘇陽町と、椎葉村や西米良村は人吉球磨地域や五家荘と、えびの市は湧水町とともに暮らし文化圏を作っている。都城市と曽於市では、市外局番が「0986」と同じ。「みちくさ」誌面の中では地域を連携させたり、互いに違いを発信したりすることで、地域特集を作り、交流促進させる情報発信をさせていただいている。

関之尾滝

関之尾滝

 今日は、霧島の話をしたい。都城市と曽於市と、霧島市。暮らし文化圏としては類似しており、関之尾滝付近では、標識が宮崎県になったり、鹿児島県になったり、変わっては戻るを繰り返す。昨今は自家用車やレンタカーで回る旅人が多く、観光地図によっては県境域で切れていて、どう巡っていいのか分からなくなってしまう。この辺り一帯を観光標識では「霧島」と付けて統一してもらえばいいのだが、この辺が微妙なところで、関之尾滝周辺や大河原峡、悠久の森などは、これまでは「霧島」としては売り出されていなかった。また、霧島西麓にある「霧島アートの森」があるエリアは、どうみても霧島のようではあるが、湧水町であり、発信が難しい。
えびの高原は、宮崎県であり(えびの市と小林市)、高千穂峰の山上は高原町。もともと頂上に鎮座していた霧島神宮は数度遷宮され、今では鹿児島県の霧島市にある。霧島の山麓には豊かな暮らし風景が広がり、多くの神社や六社権現があり、暮らしの中にしっかりと鎮座し、人々の心の拠り所となっていて、まさに暮らし文化圏を形成している。

悠久の森の風景

悠久の森の風景

きたん市場のお弁当

きたん市場のお弁当

 そのような中、昨今、鹿児島県観光連盟は新しい画期的な動きを始められた。「霧島」をより広く捉え、大河原峡キャンプ村、溝ノ口洞穴、悠久の森、関之尾滝、霧島アートの森、栗野岳などを、霧島として認識を強め、売り出していくことにされた。

「枯れ木も山のにぎわい」はこの場所のこと

「枯れ木も山のにぎわい」はこの場所のこと

悠久の森

悠久の森

 霧島暮らし文化圏として、霧島市だけでなく、曽於市、湧水町、さつま町などの一部を取り入れ、一括して観光財産として売り出して行こうというもの。これは「みちくさ」では、発刊当初から目指してきたことであり、喜びを感じずにはいられない。

 みちくさでは、前述したように地図にしても特集にしても常に暮らし文化圏や旅人目線で発信してきたからである。

 これから年末年始、帰省者を迎えるが、ぜひ各地の暮らし文化に実際に触れ、人々と温かな交流を体験してほしい。そして、できることならば少しでも経済的にも地域を盛り上げていって欲しい。これがエコツーリズムである。エコツーリズムとは、単なる体験の観光ではなく、地域を大切に思い、地域文化や自然環境を残すお手伝いをしたいという心を育むことだから。この奥深い九州の魅力を全国や世界に発信するお手伝いをぜひ帰省の方々に特に担って欲しい。どうかよろしくお願いする。

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