みやビズ

2018年4月23日(月)
記者コラム / 巣山貴行

「誰か」のせいにしない

2018/03/30
20180329-admin_image_1522312166.jpg 「誰かが仕掛けなければ宮崎は変わらない」。JR宮崎駅西口で大型商業ビルを宮崎交通と共同開発することを発表したJR九州の田中龍治専務の言葉だ。本気度の高さを感じると同時に、地元記者としては皮肉にも聞こえた。
JR宮崎駅西口の再開発について共同会見する宮崎交通の菊池克賴社長(右)とJR九州の田中専務=2月28日

JR宮崎駅西口の再開発について共同会見する宮崎交通の菊池克賴社長(右)とJR九州の田中専務=2月28日

 「誰かが仕掛けなければ宮崎は変わらない」。JR宮崎駅西口で大型商業ビルを宮崎交通と共同開発することを発表したJR九州の田中龍治専務の言葉だ。本気度の高さを感じると同時に、地元記者としては皮肉にも聞こえた。

 西口の再開発は、当初JR九州による単独事業として発表されたが、その後、隣接地や周辺に自社所有地を持つ宮崎交通も開発に加わることで、共同事業へと発展した。

 2月に開かれた共同会見で、田中専務は「西口は雑然としていて50年前のような風景。陸の玄関口がこんなものでいいのか」と現状を痛烈に批判した。発言の随所に「JRが自社所有地を開発せずに放置していた」という自省も込めていた。

 だがその自省は、それはとりもなおさず、地元の反省でもある。2005年に同市新別府町にイオンモール宮崎が開業し、中心市街地が縮小していく中、地元商店街や行政はイベント開催や駐車場の建設などで客足を取り戻そうと対抗したが、誰もが抜本的な打開策を見いだせずにいたからだ。

 そして、まちの衰退を「時代の変化」や「インターネット通販の普及」、「モータリゼーション進化」など、顔の見えない「誰か」のせいにすることで、「仕方ない」と割り切ってきたようにも映る。その間、同モールの“独り勝ち”は強まり、若者は県外へ買い物に出掛けるという地元以外の経済を中心とした悪循環が出来上がってしまった。

 しかし、再開発計画の発表以降、中心市街地への期待は予想以上に高まっている。「友だちと新駅ビルでランチして、映画を見て、夕方からニシタチに飲みに行く」と、休日のプランを楽しそうに語る若者もいる。既に回遊ルートまで描いているから、その想像力のたくましさには驚く。また、「アミュプラザのようなビルができたら、県外に買い物に行かなくてよくなる」と喜ぶ女性もいる。

 さて、冒頭の「誰かが仕掛けなければ宮崎は変わらない」との言葉に戻る。宮崎交通とJR九州が再開発を仕掛けたことによって、発表から1カ月足らずでこんなにも中心市街地への期待感が変化した。田中専務は「どんな施設を求めているか、たくさんの地元の声が欲しい」と訴える。

 今回の再開発は、中心市街地を再興する数十年に一度のチャンスだろう。どんどん声を上げて、応援して、みんなで団結して魅力的なまちづくりを進めなければならない。そして、これからはもう誰かのせいにしてはいけない。
              
(巣山貴行)

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