みやビズ

2018年11月16日(金)
記者コラム / 小川祐司

変化なくして成長なし

2018/03/16
20180315-admin_image_1521104280.jpg 「変化なくして成長なし」。これまで何度も耳にしてきた言葉だが、先月インタビューしたキヤノンの真栄田雅也社長(65)=延岡市出身=も、ふるさと宮崎へのエールとしてこの言葉を使った。
真栄田雅也社長は、県が2月に開いた講演会でも、ふるさと宮崎へのエールとして「変化なくして成長なし」と述べた

真栄田雅也社長は、県が2月に開いた講演会でも、ふるさと宮崎へのエールとして「変化なくして成長なし」と述べた

 「変化なくして成長なし」。これまで何度も耳にしてきた言葉だが、先月インタビューしたキヤノンの真栄田雅也社長(65)=延岡市出身=も、ふるさと宮崎へのエールとしてこの言葉を使った。

 国内市場の先細りや人手不足、その到来が確実に近づいている第4次産業革命…。過去に例がないくらい、大小さまざまな変化の中に私たちは置かれている。その変化に自らをどう適応させて生き残りを図るのか。もっと言えば、自らをどう変化させ、成長へとつなげるのかが問われている。

 当然ながら将来への悲観からは何も生まれない。高鍋町にデジタルカメラの大型工場を建設するキヤノンにしても、それは同じ。スマートフォンの普及などで世界的にデジタルカメラの市場は縮小傾向にある。真栄田社長は市場の行方をどう見ているのか。

 その点を尋ねると、「カメラのような商品はイノベーション(技術革新)を経て、市場が継続していく。デジタルカメラは本格的な普及が始まってから、まだ20年足らず。今後、いろいろな形で進化していくだろう」と全く悲観などしていなかった。恐らく、真栄田社長の考えるこれからのカメラは、私たちの想像も及ばない機能、用途を備えたものになるのだろう。その変化が新たな市場を創出することになるはずだ。

 「グローバル企業の開発力や資金力をもってすればイノベーションも可能だろうが、中小企業はそうはいかない」という発想はやめにしたい。この記事では、本紙のルールに従ってイノベーションを「技術革新」と訳したが、ほかにも訳語はいくつかある。その一つが「新結合」。

 経営コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、京都大で教べんを執る瀧本哲史氏は著書「僕は君たちに武器を配りたい」(講談社)の中で、「新結合」が最もイノベーションの本質を捉えた訳語だと見解。「社会にインパクトを与える商品やサービスを生み出したい、と考えたとしても、まったく新しい製品を作る必要はないのである。今すでにあるものの組み合わせを変える、見方を変える、そうすることによってイノベーションを起こすことができるのだ」とし、ソニーの「ウォークマン」や、使い古された技術の組み合わせで作られた任天堂のゲーム機「Wii(ウィー)」などを例に挙げる。

 県内に目を移すと、コインランドリー事業を手掛け、2016年に株式上場を果たしたWASHハウス(宮崎市)が好例。洗濯機や乾燥機が驚くほどすごいわけではない。トラブル時の機械の遠隔操作と、ネットワークカメラによる監視を組み合わせた安心安全な管理システムがすごいのだ。

 未来を正確に予測できない以上、「どんな変化を遂げればいいのか」という問いに対して約束された正解などあるはずがない。ただし、イノベーションによって自らの製品やサービス、もしくは業界で一般的とされるビジネスモデルを変化させることで新たな価値を生み出し、市場の変化に適応するどころか、従来なかったニーズを掘り起こした例は県内外、時代を問わずにある。自らが市場に変化を起こすくらいの気概を期待したい。
(小川祐司)

アクセスランキング

ピックアップ