みやビズ

2018年8月19日(日)
記者コラム / 小川祐司

回復基調の中に感じる不安

2018/01/19
 宮崎日日新聞社では県内企業に今年1年間の業績見通しなどを尋ねるアンケートを実施した。主要企業のうち、業種や地域のバランスを考慮して選んだ50社が対象。1年前の前回とほぼ同じ企業であり、設問も基本的に前回を踏襲した。
 宮崎日日新聞社では県内企業に今年1年間の業績見通しなどを尋ねるアンケートを実施した。主要企業のうち、業種や地域のバランスを考慮して選んだ50社が対象。1年前の前回とほぼ同じ企業であり、設問も基本的に前回を踏襲した。アンケート結果から印象に残った部分を拾い出したい。

 まず、今年の業績見通し。回答は「良くなる」が10社で、「少し良くなる」が19社。全体の6割に当たる29社が、昨年を上回る業績を残せそうだと考えており、これは前回よりも5社多い。景気の緩やかな回復基調が今年も続きそうなことをうかがわせる。

 「景気回復へ政府に期待する政策」(二つまで回答可)をみると、「個人消費の刺激策」が前回と同じ19社で2位。個人消費の底打ち感はあるものの、消費に力強さを欠いているということなのだろう。

 来年度の賃金を「上げる」と答えたのは4社増の28社。その方法は「賃金体系を底上げするベースアップを実施」が、ほぼ倍増の18社となった。賃上げやベアの理由までは尋ねていないが、「業績が良いから」という理由とは別に、人材確保、従業員のつなぎ留めといった意図も大きいはずだ。

 そう断定的に推測できるのは、前回まで設問になかった「人手不足感は」の回答が予想を上回るものだったからだ。人手不足感を「感じる」が36社で、「やや感じる」が13社。50社のうち49社までもが人手が足りていないと感じている。

 逆に予想を下回ったのは人手不足対策の中身。対策を「している」は45社に上ったが、対策内容(記述回答)は採用活動の強化や高年齢者の活用、待遇改善など一般的なものが目立った。中には短時間勤務の導入や社員の奨学金の返還支援といった対策もあったが、総体的に踏み込み不足を感じた。

 人手不足対策は大きく分けて「働き手を増やすこと」と「生産性の向上」の二つだ。後者の対策が少なく、特に「効率化に向けた投資を行っている」という回答が極めて少なかったことも気掛かりだ。

 今回のアンケートからは県内景気は緩やかな回復基調が続きそうだが、人手不足が回復・成長を鈍化させる可能性が高く、その対策は決して十分ではないという感想が残った。ただ、県内企業はアンケートの対象企業よりも小規模な企業がほとんど。景気回復を実感することなく、人手不足の影響が先行する懸念があり、県全体の経済を考える上で、そうした企業への手当が大事になってくる。

 例えば、昨年12月に閣議決定された新しい経済政策パッケージ。中小企業・小規模事業者に対し「生産性向上に必要なIT・クラウド導入を強力に支援する」とある。各種の取り組みによって、3年間で中小企業・小規模事業者の約3割でITツールの導入促進を目指す。ならば、自治体も県内、市町村内での数値目標を設定してもいい。人口流出や高齢化の著しい本県だからこそ、生産性の先進地を目指す気概が欲しい。
(小川祐司)

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