みやビズ

2018年11月14日(水)
記者コラム / 小川祐司

人材確保へ種まきを

2015/11/20
宮崎市で3月に開かれた合同企業説明会。県外に進学した大学生の確保に向け、保護者をターゲットにした説明会があってもいい
宮崎市で3月に開かれた合同企業説明会。県外に進学した大学生の確保に向け、保護者をターゲットにした説明会があってもいい

宮崎市で3月に開かれた合同企業説明会。県外に進学した大学生の確保に向け、保護者をターゲットにした説明会があってもいい

 県内企業で働く20代の技術者を取材する機会があった。この男性は県内の高校を卒業し、都内の大学に進学。機械工学を専攻し、就職活動では関東地区の大手メーカーを中心に回っていた。「学んだことを生かしたかったので、宮崎での就職は考えていなかった」と言う。

 所用で帰省した際、たまたま宮崎市で合同企業説明会があることを知り、参加企業一覧の中に「清本鐵工」の社名を見つけた。気になって調べてみると、事業内容の幅広さに興味が湧いた。説明会に足を運び、「橋りょう、原発、一般産業機械…。これだけ多分野の技術を統合すれば、何らかの新技術を将来開発できる可能性がある」と直感。一気に「宮崎で就職」という選択肢が加わった。

 県内のモノづくり企業は人材確保に苦戦している。仕事柄、一般消費者になじみが薄く、知名度が低いのも一因だろう。優良企業の清本鐵工ですら、そうなのだから。今回取材した男性は、たまたま同社に関心を持った幸運なケース。宮崎が育んだ優秀な人材を危うく首都圏に奪われるところだった。

 製造業に限らず、もっと企業側の“種まき”が必要だと思う。県外の大学に進学した学生が、県内企業の魅力を知る機会は極めて少ない。だから、進学するまでが重要だ。進学校のキャリア教育に積極的にアプローチすべきだろう。自社の優れた製品や技術、サービス、仕事のやりがい、成長性を知ってもらい、「私たちは皆さんの帰りを待っています」と心から訴える。大学に進んでも「ふるさとの企業」が頭のどこかに残るように。

 将を射んと欲すれば…ではないが、保護者への種まきも必要だ。この「みやビズ」と紙面で、県内企業で働く若者を紹介しているのだが、保護者の関心が高く、気になった企業をわが子に教えているようだ。「できれば地元に帰って来てほしい」という思いがあるのだろう。ただ、記事で紹介できる企業数は限られる。学生向けの合同企業説明会のように、広い会場に企業ブースを並べ、大学生や進学を控えた高校生の保護者を対象にした説明会を開くのも面白い。知恵を絞れば、まだまだ手はあるはずだ。種は多い方がいい。
(小川祐司)

アクセスランキング

ピックアップ