みやビズ

2017年9月23日(土)
宮日ブランチ会から

3月定例会講演要旨

2016/04/01
 宮日ブランチ会「くろしお」(代表幹事・豊嶋直幸九州電力宮崎支社長、59社)の3月例会は3月14日、宮崎市のホテルJALシティ宮崎であった。講師は、教育情報サービス社長の荻野次信さん。同社は昨年12月1日に大分市であった九州未来アワード(宮崎日日新聞社など九州7新聞社主催)国際事業・インバウンド観光部門で大賞を受賞するなど、国内外で活躍している。荻野さんは「地方と海外を結び、地方創生へ」と題して講演した。

【要旨】
 世界のどこでも、だれでも教育を受け、教育を発信できるシステムを作る、という弊社の方針を形にしたものが「ThinkBoard(シンクボード)」だ。eラーニング用のソフトウエアで、エクセルやワードで作成した資料に、手書きと声で説明を加えて動画を作る。直接入力できるので、言語や場所を選ばず、専門的技術も特に必要ない。世界中の誰もがパソコン一つで先生になれ、革新的だ。データサイズが一般動画の100分の1程度と小さく、ネット環境などのインフラが弱い国でもスムーズに動画を再生することができ、国内外から評価されている。


独自のeラーニングシステムによる海外展開について話す荻野次信さん

独自のeラーニングシステムによる海外展開について話す荻野次信さん

 従来のeラーニングシステムは、授業風景を撮影した動画を用いるため、データサイズが大きく、運用が難しかった。しかも、スタジオで撮影し、照明や音声、編集などの人手が必要で、お金が掛かっていた。もう一つの特徴は、誰が、どのコンテンツをどのように見たのかが記録される点だ。どの場面で一時停止したか、2倍速にした、巻き戻したなどが分かる。生徒の学習の進み方とともに、どこにつまずきがあるのか、どの学び方が効率良いのかなどが分析でき、次のコンテンツ作成に反映できる。

 旭化成や神戸製鋼などの企業の教育部門、兵庫県西宮市などの自治体が活用している。県内では、宮崎大など五つの大学と高専で立ち上げる共同授業のシステム構築を請け負うことが決まっている。

 海外は、2013年のモンゴルが始まり。学校関係者が強い関心を持っていることを知り、すぐに駆け付けた。今では、ウランバートル市内全校に導入されている。この成功で14年には、国際協力機構(JICA)の委託事業としてバングラデシュに進出。さらに経産省の補助事業や大手企業との協業、大学との共同研究などの後押しを受け、ミャンマー、インドネシア、ベトナム、フィリピン、ケニアと、海外事業は加速度的に伸びている。

 海外を目指す理由は、東京の大学に在学していた20歳のころに、自分の外国語力を試してみたいとケニアに半年間滞在したのがきっかけだ。学校に行きたくても行けない子どもたちに接し、何の不自由もなく大学生活を過ごしている自分を恥じた。途上国の子どもたちが忘れられず、子どもたちの夢をかなえる手助けができる教師になりたいと、県内の予備校や高校で英語教師として教壇に立った。教師の道を選んだのは、県内の工業高校で化学教師だった父親の影響もあった。しかし、さらに多くの子どもたちの役に立ちたいと思い、01年に20年間の教員生活に終止符を打ち、1人で教材会社を立ち上げた。自ら教材を作り、日々売り歩いたものの、何度も倒産の危機があった。しかし、一介の教員であった私がThinkBoardを開発することができ、多くの協力者に恵まれたこともあり、11年には経営を安定させることができた。

 弊社は、県と宮崎市の認定立地企業で、社員を増やすことを求められている。15年度は前年度よりも約8割も増え、24人が働いている。この1年で入った社員は多くが海外事業にひかれ、都市部から集まったUターン組で、中には大企業を辞めて来たものもいる。この雇用拡大が一番の海外事業の成果であり、地域への貢献だと考える。

 海外展開は地方創生に有効だ。特に途上国と本県を結ぶことで、人、もの(サービス)、金、情報の面でメリットが生まれる。人の面では、海外で出会う日本人は、開発マインドと問題解決への意識が高い優秀な人が多い。また、バングラデシュでは、日本の東大とも言えるダッカ大出身者をはじめ、各国の優秀な技術者と出会える。そういう人々を採用する機会が高まる。雇うことで弊社の開発者のレベルアップも図れる。お金の面では、海外を目指すことにより、経産省や県、市といった行政などから数多く支援が得られるようになった。メディアの露出も増えた。また、サービス面では途上国は物価や人件費が安く、安価で個性的なものを取り込むことができる。海外委託による商品開発もしており、コスト抑制につながっている。情報の面では、現地のJICAや日本貿易振興機構(JETRO)は膨大な情報を持っており、しかも中小企業への支援が手厚い。また、現地では高官に会うことが比較的容易で、必要な情報を直接得ることができる。

 日本の地方と途上国は、同じ課題を抱えている。都市部や海外への若者の流出だ。ともに力を合わせて課題解決に取り組んでいこうと、各国と情報の交換などをしている。地方創生を一言で言い表すことはできないが、国内であろうが海外であろうが、とにかく良いものを取り込んでいって、若者を集めて、宮崎を活性化していきたい。

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