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2018年8月16日(木)
ビジネスウォッチ

【経済やわらかゼミ】自主開発油田

2018/03/26

エネルギー安定に貢献 調達先の分散が課題


(イラスト 清水紗羅巳)

(イラスト 清水紗羅巳)

 日本企業が持つ中東の自主開発油田の権益が40年延長されると聞いた中学生の真子さん。石油開発会社に勤める叔父の英之さんに尋ねた。

 真子 中東の油田が話題になっているね。

 英之 そう。アブダビ首長国の海上にある「下部ザクム油田」で国際石油開発帝石(INPEX)が持つ自主開発油田の権益期限が2058年3月まで更新されたよ。

 真子 自主開発油田って何。

 英之 紛争や自然災害といった緊急時にも日本勢が一定量の石油を引き取れる権利がある油田さ。エネルギーの安定供給に貢献するよ。

 真子 どうしたら権利が得られるの。

 英之 その事業に出したお金の比率に応じて引き取り量が決まるんだ。

 真子 比率って、複数の会社が参加するの。

 英之 うん。石油開発は10年以上にわたり数千億円規模の巨額投資が必要な場合が多い。地下に眠る資源で埋蔵量の予測も難しいから、複数社でリスクを分散するんだ。

 真子 今回話題の油田では、どんな比率なの。

 英之 国際帝石の権益は12%で、他にアブダビの国営会社が60%、残り28%を欧米の国際石油資本2社が持っていたよ。

 真子 権益更新で何かが変わったの。

 英之 国際帝石の比率は10%に下がってしまった一方、インドの企業連合が10%を取った。

 真子 権益を奪われてしまって残念だね。

 英之 権益の獲得にはインドや中国を含む10社以上の企業が関心を寄せ、激しく競り合ったんだ。10%を死守できたのは成果とも言える。

 真子 へえ。なぜ10%を維持できたの。

 英之 首相がアブダビの要人に会うなど資源外交を繰り広げたんだ。

 真子 どうして。

 英之 政府は原油などの輸入量に占める自主開発油田の権益比率を、現在の約27%から30年に40%に高める目標を掲げているからさ。1970年代の石油危機が教訓になっているんだ。

 真子 石油危機って、中東戦争が原因で石油が値上がりして日本中がパニックだったんでしょ。

 英之 中東は大油田が多い半面、宗教対立の紛争などで供給が滞る不安もある。調達先の分散も引き続き課題なんだ。

 真子 資源に乏しい日本のお国柄ね。

 英之 インドネシアのようにかつての輸出国が、経済成長に伴い輸入国に転じた例もある。資源を巡る国際情勢は10年単位で様変わりするよ。

 真子 40年後なんて想像もつかないなあ。

 英之 真子は立派な大人になっているかな。

 真子 叔父さんは立派なおじいさんね。

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