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2018年5月23日(水)
ビジネスウォッチ

【経済やわらかゼミ】「異次元緩和」を通常に

2017/07/10

めど立たず、遠い道のり 日銀の出口戦略

 

(イラスト 岩見俊哉)

(イラスト 岩見俊哉)

 大規模な金融緩和を終わらせる日銀の出口戦略のめどが立たないとの新聞記事を読んだ高校生の一郎さん。銀行に勤める父の祐司さんに聞いた。

一郎 金融緩和って。

祐司 政策金利を下げたり、世の中に出回るお金の量を増やしたりすることで、景気を良くする中央銀行の金融政策のことだ。2013年に就任した日銀の黒田東彦(くろだ・はるひこ)総裁が手掛ける政策は、これまで以上に国債を大量に買って出回るお金を著しく増やしたから「異次元緩和」と呼ばれている。

一郎 もう4年以上も続けているんだね。

祐司 物価が下がり続けて景気が良くならないデフレを完全に終わらせるため、日銀は物価が前年と比べて2%上昇するまで今の金融緩和を続けると説明している。目標達成が見えてくれば、金融政策の緩和の度合いを徐々に引き締める出口戦略に着手する見通しだ。

一郎 出口戦略?

祐司 そう、現在の異常なレベルの金融緩和を通常の状態に戻す計画を実行することだ。でも、最近の物価上昇率は0%をやや上回るくらいで、2%達成の道のりは遠い。黒田総裁は出口の議論を今すると「市場の混乱を招く」と説明を避けているんだ。

一郎 このまま緩和を続けて大丈夫なのかな。

祐司 心配している人は多いよ。国債を大量に買い続けたことで、日銀の持つ資産は500兆円を超えている。名目国内総生産(GDP)の9割に上る水準だよ。資産が膨れ過ぎてしまい、出口戦略を描くのが非常に難しくなっているんだ。
一郎 海外の中央銀行はどうなのかな。

祐司 米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は、08年のリーマン・ショック後、政策金利を事実上ゼロにする金融緩和策を導入した。景気が回復し、15年にゼロ金利を解除した後も利上げを続けて、出口戦略を順調に実行しているといえるな。

一郎 欧州は。

祐司 日銀と同じくデフレ懸念を抱えていた欧州中央銀行(ECB)も大規模な金融緩和を続けていたけれど、最近になって追加利下げの打ち切り方針を決めた。出口戦略を描き、通常の金融政策へ踏み出そうとしているんだ。米欧とも、まだまだ出口が見えない日銀とは対照的だよ。

一郎 日銀は今後どうするのかな。

祐司 黒田総裁は、物価が2%上昇するまで今の金融緩和を粘り強く続けると訴えている。だけど、出口の時期が見通せないことに懸念を示す日銀の幹部もいる。

一郎 出口にたどり着けるの。

祐司 お父さんが現役のうちにできるかな…。

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