みやビズ

2018年4月26日(木)
ビジネスウォッチ

【経済やわらかゼミ】金融庁改革

2017/05/01

処分庁から育成庁へ 成長促す役割に


(イラスト 岩見俊哉)

(イラスト 岩見俊哉)

 金融庁が業務の改革を進めているとのニュースを聞いた高校生の雅治さん。銀行員の兄、太朗さんに尋ねた。

雅治 金融庁はどんな仕事をしているの。

太朗 銀行は預金として集めたお金を企業や個人に貸しているよね。お金は「経済の血液」と言われるだけに、銀行の経営がいいかげんだと社会にも大きな影響を与える。そのため、金融庁は銀行が法律やルールを守って仕事をしているか日々点検しているんだ。証券会社や保険会社などの金融機関も対象だ。

雅治 何が変わるの。

太朗 貸出先の企業の経営が悪化して返済の見込みがつかない融資を「不良債権」と言うんだけど、金融庁は金融機関に対し、この不良債権の処理を優先するよう長らく指導してきた。でも、処理に一定のめどがついたので、今後は中小企業の育成や国民の資産形成の支援といった前向きなサポートを金融機関に求めることにしたんだ。

雅治 どうして改革が必要なんだろう。

太朗 人口減少でお金の需要が減り、金融機関が収益を上げづらくなってきた。特に地方銀行は深刻で、これからは自分たちで地域の企業を成長させ、経済を活性化していく必要がある。金融庁は財務の健全性や不正行為に目を光らせ、銀行などに対して業務停止命令などを連発してきたため、「金融処分庁」と陰口をたたかれてきたけど、今後は金融機関を通じて地域を育てる「金融育成庁」へ転換すると宣言している。

雅治 具体的にはどうするの。

太朗 金融機関に赴いて経営状況を検査する際に使うマニュアルを変更するよ。金融庁にとって業務上の「バイブル」なんだが、重箱の隅をつつくような細かいルールで金融機関を縛るのではなく、顧客の利益を優先する主体的な運営ができるよう促す内容に改めるんだ。今後詳細を詰めていくよ。組織のスリム化も検討して2018年から新体制に移る予定だ。

雅治 結構大変な作業だね。

太朗 金融庁は1998年に発足した「金融監督庁」が前身で、2000年に改組して今の形になった。当時はバブル崩壊の後遺症から金融機関の経営がぐらついていた。金融庁が強い姿勢で改善を迫ったことで、不良債権処理が進み、大手銀行や地銀の再編につながった面もある。金融システムの安定化に貢献してきたのも事実だろう。でも時代が変わり、金融庁も役割自体を見直さないと存在価値を問われる可能性もあるんだよ。

雅治 兄さんも僕を育成する観点に立って、たまにはレストランでごちそうしてほしいね。

アクセスランキング

ピックアップ