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2018年5月21日(月)
ビジネスウォッチ

【経済やわらかゼミ】五輪食材の調達条件決定

2017/04/17

安全認証、農家負担重く 国産不足の恐れも


 2020年東京五輪・パラリンピックで、選手らに提供される食材の調達基準が決まったとの記事を新聞で読んだ農家の良夫さん。少し浮かない顔で妻の玲子さんに話し始めた。

(イラスト 岩見俊哉)

(イラスト 岩見俊哉)

良夫 選手にはぜひ日本の農産物を食べてほしいんだが…。

玲子 どうしたの。

良夫 選手村でアスリートや関係者に振る舞う料理の食材として使ってもらうためには、生産管理の徹底を裏付ける認証を取得しなければならなくなったんだ。国内外いずれかの認証制度を満たすことが条件で、食品安全だけでなく、環境保全や労働環境への配慮が狙いだよ。

玲子 あら、いいことじゃないの。

良夫 そうでもないんだ。うちは持っていないでしょ。取得には審査料だけでも数十万円の出費になるし、毎年更新料もいる。きちんと管理できているか確認する項目も多くて作業が増えるよ。

玲子 確認項目はどんなものなの。

良夫 農薬の使用基準を守るといった基本的なことから、農薬の保管倉庫には鍵を掛けるなど、異物混入をできるだけ排除するといった取り組みが求められるんだ。

玲子 認証がなくても日本の農産物は安全だと思うけど。

良夫 農作物そのものだけでなく、出荷するまでの過程を含めて安全だと確認する必要がある。農場数でいうと日本国内で認証を得ているのは全体の数%しかいない。認証制度があまり知られていないし、認証にかかる費用が価格に上乗せしにくいのも取得が進まない理由みたいだ。

玲子 五輪までに認証が増えるのかしら。

良夫 約1カ月の大会期間中に約1500万食の提供が予想されているけれど、このままだと国産の食材が足りなくなる恐れがあるとの声も出ているよ。

玲子 厳しいわね。残念だけど輸入も考えないと。

良夫 五輪の組織委員会は輸送による二酸化炭素(CO2)の排出を抑えようと、食材の仕入れ業者らに国産を使うよう推奨しているんだ。政府も日本食をアピールできる格好の機会と捉えているので、認証を広げようと支援に乗り出している。

玲子 対応が遅くないかしら。

良夫 そうした批判もあるようだね。12年ロンドン大会から環境保全に気を配る流れが強まっている。東京五輪の組織委としても「理念を後退させるわけにはいかない」という事情があるようだよ。

玲子 費用負担は重いけど、選手たちにおいしい農産物を食べてもらいたいし、悩みどころね。

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