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2019年12月8日(日)
アナライズ

若者の県外流出 岡村巖さん(県産業支援機構理事長)

2016/09/09
県産業振興機構理事長 岡村巖さん「今後の課題」

宮崎らしい働き方の創造を

おかむら・いわお 1953(昭和28)年、延岡市生まれ。九州大経済学部卒。75(同50)年、県庁入庁。東京事務所長、農政水産部長などを歴任。2013年から現職。中小企業診断士

おかむら・いわお 1953(昭和28)年、延岡市生まれ。九州大経済学部卒。75(同50)年、県庁入庁。東京事務所長、農政水産部長などを歴任。2013年から現職。中小企業診断士

 本県の大きな課題は若者の県外流出だ。2016年3月に卒業した高校生の県内就職率は54.8パーセントにとどまり、2年連続で全国最下位となった。賃金水準アップや求人企業数の増加などはもとより、若者が宮崎での仕事に魅力を感じる環境づくりに戦略的に取り組む必要がある。

 その環境づくりのポイントはワークライフバランスだろう。目指すは、生活も仕事も充実し、企業の生産性も高まるようなライフスタイルだ。そのような宮崎モデルを全国に発信できれば、若者の注目を集め、県外からの若者流入、ひいては企業誘致にもつながってこよう。

 最近の若者は、趣味などを楽しむ豊かな時間や、自己啓発、社会貢献などを重視するなど多様な価値観を持つようになってきたと言われる。

 このような若者像から考えると、ライフの面で大変恵まれた本県には大きな可能性がある。例えば、サーフィンのメッカであり、それを動機に移住してきた若者が多い。暮らしやすさも大きな魅力だ。3人世帯の標準生計費(2015年)は東京都の23万4000円に対し、宮崎市は16万1000円。本県は全国でも最も物価が安く、これは大きなセールスポイントになる。さらに、東京では片道平均1時間かかる電車通勤もない。通勤時間が短い分、自由に使える時間が多い上、通勤ラッシュのストレスを感じることもない。

 一方、ワークの面では課題が多いが、県内外に参考となる事例がある。まず、「国東時間(くにさきじかん)」を紹介したい。大分県国東市のアキ工作所が始めた週休3日の働き方のことで、地域の企業にも広がりつつあるそうだ。同社は独自の立体造形システムを駆使し、段ボール製のマネキンやインテリア、雑貨などをデザイン・制作する会社。週3日を休みとすることで国東の豊かな自然や文化をゆったりと満喫してもらい、リフレッシュして仕事も頑張ってもらうのが狙いだ。勤務時間は週40時間で週休2日の頃と変わらないが、業績は制度導入前に比べ15パーセントも上がったという。

 次は県内の事例だが、ご存じの方も多いだろう。宮崎市内のIT企業アラタナが昨年度から始めた「デュアルライフ採用」だ。宮崎への移住を前提に、1年間は東京と宮崎のオフィス両方に勤務し、その間の家賃や交通費などを最大180万円支援するというもの。東京と宮崎の並行勤務という働き方がユニークだ。これに着想を得た提案として、県内の若者が抱く都会への憧れに応えるため、宮崎と都会との期限を切った並行勤務(宮崎に戻ることが前提)や、都市部の企業と連携した数年間の社員派遣などがあっても面白いと思う。

 二つの事例を紹介したが、宮崎モデルに求められるのは、まずは宮崎らしいゆとりであり、週休3日などの柔軟な働き方の設定だろう。自己啓発への支援については、県が本年度から「みやざきビジネスアカデミー」に取り組むなど充実しつつあるが、今後は、若者たちが互いに高め合うための交流サロンづくりなどが考えられる。また、各企業が積極的に社会貢献活動に取り組むことも若者の働きがいにつながると思う。

 いずれにせよ、宮崎モデルは産学官金労で共通の目標を持って推進することが重要であり、思い切った支援策も必要だろう。そして、宮崎での生活や働き方の豊かさを「見える化」し、広く発信し続ければ、若者の定着は着実に進むと確信している。

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