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アナライズ

新たな商店街再生 根岸裕孝さん(宮崎大地域資源創成学部准教授)

2016/08/26
根岸裕孝さん(宮崎大地域資源創成学部准教授)「新たな商店街再生」

コミュニケーション力で商機見いだせ


ねぎし・ひろたか 1966(昭和41)年、栃木県生まれ。九州大大学院経済学研究科修士課程経済工学専攻修了。2001年に宮崎大に着任。教育文化学部准教授を経て、16年4月から現職。専門は経済政策・地域経済

ねぎし・ひろたか 1966(昭和41)年、栃木県生まれ。九州大大学院経済学研究科修士課程経済工学専攻修了。2001年に宮崎大に着任。教育文化学部准教授を経て、16年4月から現職。専門は経済政策・地域経済

 川南町のトロントロン商店街に4月、世代間交流施設「トロンパレット」がオープンした。商店街の活性化を目指す町商工会や町社会福祉協議会などが主体となって立ち上げたもので、各種イベントが幅広い世代に受け入れられて人気のようだ。大幅なてこ入れでにぎわいを見せている日南市の油津商店街も含め、これから商店街がどのように生き残っていけるかのヒントがあると思う。

 商店街は、日常に溶け込んだ買い物の場であり、経済活動の原点でもある。商店街で買い物をすることが当たり前で、品物を並べるだけで売れる時代は終わった。ドラッグストアやディスカウントストアなどが台頭し、これらの店と同じようなものを店頭に並べても、価格や品ぞろえの面でなかなか太刀打ちできない。

 油津商店街を見てみると、古参の店は地元の食材を使った飲食店や花屋、理髪店などだ。共通しているのは価格で勝負するものではなく、客のニーズに合った提案ができるようコミュニケーションを密にしているという点だ。また、スタジオやフリースペースを備えた油津Yotten(よってん)という多世代交流モールができ、商店街に新たな人の流れを生み出している。人が集い、地域とのつながりを大事にする「コミュニティービジネス」の観点が商店街の再生に不可欠だ。

 トロンパレットに話を戻すと、常設のカフェスペースのほか、手芸講座や子ども食堂、5分間の無料マッサージなど多彩な催しで幅広い世代の利用があるという。例えば、マッサージサービスを受けた人に「5分以上は有料なのでお店においでください」と店の場所や料金を伝えたり、手芸教室で使う材料を商店街で購入するよう促したりと、この拠点に集うことでお金の動きや売り手と買い手の新たな関係を生みだせるのだ。

 個々の店舗では価格や品ぞろえでの勝負が難しい上に、商品力を磨くには限界がある。トロンパレットのような商店街の拠点から流れてきた客の心をつかむには、細やかなサービスなど客とのつながりを付加価値として高めていくことが必要だろう。例えば商店街の小さな電器店が今なお営業しているのも、電話一本で電球の交換などの依頼に応じるフットワークの軽さが、客の信頼を集め、店の価値を高めているからだ。

 これからの商店街は、ものを買うだけの場ではなく、人や地域とのつながりをもとにお金が回っていく場として成長してほしい。油津のように商店街が活性化すれば商機を見いだして新たな事業者が進出し、新たな価値を創造できるはずだ。活気づくためには人の流れを商店街に向けることが必要。そのためにもトロンパレットのような拠点の今後に期待している。

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