みやビズ

2019年9月16日(月)
アナライズ

地震保険の役割 二宮清子さん(ファイナンシャルプランナー)

2016/07/15
ファイナンシャルプランナー 二宮清子さん「地震保険の役割」

生活再建へ必要性伝えたい


にのみや・きよこ 宮崎市出身。日本大学短期大学部卒。ファイナンシャルプランナーで、合同会社リーフ代表。住宅ローンアドバイザーなどの資格も持つ。日本FP協会宮崎支部長。

にのみや・きよこ 宮崎市出身。日本大学短期大学部卒。ファイナンシャルプランナーで、合同会社リーフ代表。住宅ローンアドバイザーなどの資格も持つ。日本FP協会宮崎支部長。

 ことし4月14日以降、熊本、大分県を中心に発生した地震による被害で亡くなられた方に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興をお祈りいたします。

 地震発生から1カ月半がたった6月上旬、熊本市へ行った。被災者を対象に実施した相談会の視察が目的だった。その日が熊本の郷土のデパート・鶴屋百貨店が営業を再開した翌日だったこともあり、街中には一見、活気があった。復興への歩みに力強さを感じた一方で、「危険」と書かれた赤い紙が貼られた住宅があったり、熊本銘菓の店が営業できていなかったりと深刻な被害の実態をあちこちで見掛けた。

 相談からもその深刻さが伝わってきた。内容はすべて住宅被害に関すること。熊本地震では被災者生活再建支援法が適用されているが、その対象は全損と半損で一部損壊は含まれていない。生活再建にめどが立たず、相談者からは「国の認定に納得できない。不服申し立てをしたい」といった切実な声が上がっていた。

 国の支援を公助とすると、地震保険は自助の意味合いが強い。損害保険各社の動きは迅速で、加入世帯に対しては保険金がすぐに支払われ、生活再建のために役立てられた。日本損害保険協会によると、6月27日現在の支払い件数は20万9293件、金額は約3285億円に上る。地震保険ですべて再建費を賄えるわけではないが、被災者が前へ進む一助に十分なり得る。

 ただ、世帯加入率は伸び悩んでいる。熊本県は2014年度で28.5パーセント。東日本大震災を機に関心は一気に高まったが、全国平均28.8パーセント、本県は23.5パーセントにとどまる。「地震保険に加入する余裕が家計にない」などさまざまな事情はあるだろうが、頭の片隅に「地震なんてまず来ない。めったに来ない地震の備えにお金を使うのはもったいない」という考え方があるのではないか。

 地震保険の仕組みについて簡単におさらいしたい。地震保険は政府が後ろ盾となって運営する公共性の高い商品であり、損保会社が販売する火災保険とセットで加入しなければならない。また、全損なら100パーセント、半損なら50パーセント、一部損なら5パーセントと支払いレベルが3段階に区分されている。地震による津波、火災は支払い対象となっているのに「支払われないのでは」などといった誤解もまだあり、周知徹底の必要性を感じている。

 多くの人にとってマイホームは大切な資産であり、不動産を保有する以上、義務(納税)と責任(保全)が生じる。地震は「来ない」ではなく「来るかもしれない」と考え、減災に備えることも責任の一つではないだろうか。東日本大震災、熊本地震など大規模災害から得た教訓は生かさなければならない。私はFPとして「お客さまを守る」という立場から、地震保険の重要性をこれからも訴え続けていく。「知らなかった」という人を一人でも減らすために。

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