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フードビジネスの可能性(3)今後の課題 岡村巖さん(県産業振興機構理事長)

2016/07/01
県産業振興機構理事長 岡村巖さん「今後の課題」

ブランド確立と人材育成を


おかむら・いわお 1953(昭和28)年、延岡市生まれ。九州大経済学部卒。75(同50)年、県庁入庁。東京事務所長、農政水産部長などを歴任。2013年から現職。中小企業診断士

おかむら・いわお 1953(昭和28)年、延岡市生まれ。九州大経済学部卒。75(同50)年、県庁入庁。東京事務所長、農政水産部長などを歴任。2013年から現職。中小企業診断士

 本県のフードビジネスは、元気のある企業が数多く育つなど大変勢いがある。しかし、フードビジネスを取り巻く環境は、国内では高齢化や人口減少による需要の縮小、海外輸出ではグローバル競争などがあり、非常に厳しいことを忘れてはならない。そのような中で今の勢いをさらに大きな成長の波にしていくためには、いくつかの課題がある。

 第一の課題は宮崎ブランドの確立だ。この数年で優れた商品が多数生まれてきているが、販路開拓は共通の悩みである。宮崎県としてのブランドコンセプトを明確にし、それを関係者が共有して、「ひなたマーク」の旗印の下、国内外に強く発信していくことで大きな販売力が生まれる。

 宮崎ならではのコンセプトとしては、まず「安全・安心」「ヘルシー」という世界に通用する強みを前面に打ち出したい。農産物では世界トップの残留農薬検査技術を持ち、加工品についても工場の食品衛生管理水準の向上に力を入れている。

 次に、感動やストーリー性を付加して価値を高める「コトづくり」の視点も重要だ。フードビジネス相談ステーションで支援した猫の形のどら焼き「にゃんどら」のヒットが好例だろう。  

 具体的にブランドづくりを推進するには関係者の連携と行政のリーダーシップが欠かせない。現在も農水産物のブランド認証制度などはあるが、フード全体をカバーした認証の仕組みをつくることが望ましい。

 第二の課題は、やはり人づくりである。特に大事だと感じるのは、若い経営スタッフのチャレンジ精神を引き出すことだ。当機構では「商是塾」という若手を対象とした少数精鋭の塾を開いている。商品コンセプトづくりから商談・販売の心得までを現場研修も交え、10回程度のカリキュラムで徹底的に学び、グループ討議や実習を通して切磋琢磨(せっさたくま)する。最後は熊本県の優秀な若手と商談力を競うプレゼンテーション大会に臨み、その成果を確かめる。既に2回実施して手応えを感じており、このような実践的な研修をさらに充実させ、県外や海外に自信を持って挑戦するタフな若手を育てたい。

 次に、海外志向が強まる中、グローバル人材の育成がますます大切になっている。求められるのは英語力とともに海外との人間関係を築く能力だが、当機構には「台湾塾」というユニークな取り組みがある。これは、ビジネスの前提となる信頼関係を台湾の皆さんと築こうと始めたものだ。

 7回にわたる相互訪問で交流を深めたが、宮崎と台湾の茶農家がコラボして商品開発に取り組んだり、宮崎の郷土料理の料理教室を台湾で開催したりと具体的な成果が表れ始めている。また、県内メーカーが台湾のゆるキャラの着ぐるみを受注するといううれしい動きもある。このように、台湾塾をきっかけに多くの塾生が台湾とのつながりを深めており、グローバル人材育成の一つの形だと考えている。今後とも、その育成に向けてはさまざまな工夫が必要だ。

 今回を含め、3回にわたってフードビジネスの課題や解決の道筋について考えてきた。中でも大切なことは、県内の企業や関係機関それぞれがチャレンジ精神を持ってその役割を果たすとともに、「オールみやざき」で取り組むことだと思う。当機構もその一翼を主体的に担う覚悟である。

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