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2018年4月23日(月)
アナライズ

防災にIoTを生かす 辻利則さん(宮崎公立大学人文学部教授)

2016/05/27
辻利則さん(宮崎公立大学人文学部教授)「防災にIoTを生かす」

貴重なデータ入手


つじ・としのり 1993年、宮崎公立大学助手。講師、准教授を経て2008年から同大学教授。1999年宮崎大学大学院工学研究科博士後期課程修了。工学博士。専門は情報科学と災害情報。えびの市出身。

つじ・としのり 1993年、宮崎公立大学助手。講師、准教授を経て2008年から同大学教授。1999年宮崎大学大学院工学研究科博士後期課程修了。工学博士。専門は情報科学と災害情報。えびの市出身。

 老朽化した橋りょうや道路など社会インフラの損傷や劣化を、ITで効率的に監視する方法の実用化を目指す「みやざきインフラモニタリング研究会」の副会長を務めている。

 県内には大小約9300の橋りょうがあり、高度経済成長期に集中して造られたものは老朽化が進んでいる。目視点検の場合、専用の定規(クラックスケール)でひび割れの大きさを一つずつ測っていく。

 膨大な数を調べるには時間と予算がかかり、自治体の大きな負担となっている。そこで橋に設置したセンサーを通信ネットワークで結んでデータを収集・分析する。いわゆるIoT技術の活用だ。その情報をもとに、自治体には緊急度などに応じた検査や補修作業を行ってもらう。

 産官学が連携して研究会を設立したのが昨年で、ことし3月に高千穂町の下田原大橋、4月には宮崎市の高松橋に地震計などのセンサーを設置した。高松橋の場合、観測開始は14日午後7時。熊本地震の前震が起きるわずか2時間前だった。

 大手住宅メーカーが専用施設で一戸建て住宅の耐震実験を行うことはある。しかし実験で既に架けられている橋を揺らすことはできない。熊本地震の発生で貴重なデータを入手できた。これを早く分析し、今後に生かさなければならない。

 今回の地震で九州自動車道も被害を受けた。明確な基準のないまま補強された既設橋の被害は大きく、阪神大震災などを受けて新基準に沿って建設された新しい橋も一部壊れた。早期の復旧は、やはり現場の工事関係者のおかげだった。

 専門家にも熊本地震は想定外だった。マグニチュード(M)7・3の地震を引き起こしたとされる「布田川(ふたがわ)断層帯」について、国の研究機関はこれまでM6・5の地震が30年以内に起きる確率を0・75パーセントとしていた。実に4000年に1回の割合だ。

 データの解析や評価方法などを早期に確立し、耐震基準の見直しや補強工事につなげることで、いつ、どこで起きるか分からない大地震への備えを進めたい。

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