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担い手育成 栗木昇さん(日本政策金融公庫宮崎支店農林水産事業統轄)

2016/05/13
日本政策金融公庫宮崎支店農林水産事業統轄 栗木昇さん「担い手育成」

先輩農業者の知恵と資金で一体的に支援



くりき・のぼる 1960(昭和35)年、名古屋市生まれ。三重大卒。83(同58)年、農林漁業金融公庫(現日本政策金融公庫農林水産事業)に入庫。広島支店農林水産事業統轄などを経て、2015年4月から現職

くりき・のぼる 1960(昭和35)年、名古屋市生まれ。三重大卒。83(同58)年、農林漁業金融公庫(現日本政策金融公庫農林水産事業)に入庫。広島支店農林水産事業統轄などを経て、2015年4月から現職

 これまで全国各地の農業現場を見てきたが、畜産と施設園芸のバランスが取れている県は少ないと感じる。例えば以前赴任した高知県は、ピーマンやショウガを中心とした園芸作物の生産が盛んで、同じくピーマンの生産量が多い本県をライバル視していた。それだけに本県へ来て、日本一の品質を誇る宮崎牛をはじめとする畜産にも力を入れていることを知りイメージが変わった。

 地方創生の取り組みが進む中、地方に若者を定着させる方策について議論が交わされている。そこで若者の働き口に農業を一つの柱に据えることを提案したい。県もフードビジネス推進を重要施策に掲げており、展開次第で成長の見込める産業だ。そのためにはどうすれば若者が農業を選ぶか考え、サポートしていかねばならない。

 そもそも、なぜ若者は農業を敬遠するのか。実家が農家できちんとした経営基盤があるところは後継者がいることが多い。しかし、サラリーマン世帯などで育った人は、ゼロからのスタートとなるため就農へのハードルが高い。技術的な知識も乏しく、最初から一人の経営者として切り盛りしないといけない。

 入り口の段階でまずネックとなるのが資金調達。新規就農者は実績や担保になるような経営資産もなく、融資相談に苦労するだろう。しかし、誰かがリスクを負わないと就農の芽を摘んでしまいかねない。そこで日本公庫は2014年半ばから青年等就農資金の取り扱いを始めた。一定の条件下だが実質無担保無保証で、15年度は本県で47件に計4億4200万円を融資した。予想を上回る資金需要の高さに驚きつつも、農業に取り組もうという機運の高まりはうれしかった。

 また、就農しても苦労や悩みを共有できる仲間がいないと行き詰まってしまう。そこで頼りになるのが先輩農家。宮崎市には若手農家でつくる「興譲塾」という組織がある。定期的に勉強会を開き、日本公庫も参加している。昨年度は取引先の新規就農者と塾メンバーとの意見交換会を初めて実施した。就農者からは土壌改良や収穫のタイミングなど個々の抱える悩みが次々と出た。塾メンバーは一つずつ丁寧に答えてくれ、大いに盛り上がった。

 融資や資金調達の話は出なかったが実り多かったと思っている。お金は大事だが、栽培技術の向上や経営体質を強化して、農業で食べていけるだけの力を付けてもらうことが先決。それが本県の農業を担う若者を育成することにもつながる。今はまだよちよち歩きの若い農家が10年、20年後にメディアに取り上げられるような先進的な存在になっている-。そうなれるようサポートを今からしていかねばならない。

 ※山田広さん(前日本政策金融公庫宮崎支店長兼国民生活事業統轄)の異動に伴い、今回から同公庫宮崎支店の3事業統轄が交代で識者を務めます。

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