みやビズ

2019年7月19日(金)
アナライズ

若者の起業 根岸裕孝さん(宮崎大地域資源創成学部准教授)

2016/04/01
宮崎大地域資源創成学部准教授・根岸裕孝さん「若者の起業」

挑戦できる環境を皆でつくろう


ねぎし・ひろたか 1966(昭和41)年、栃木県生まれ。九州大大学院経済学研究科修士課程経済工学専攻修了。2001年に宮崎大に着任。教育文化学部准教授を経て、16年4月から現職。専門は経済政策・地域経済。

ねぎし・ひろたか 1966(昭和41)年、栃木県生まれ。九州大大学院経済学研究科修士課程経済工学専攻修了。2001年に宮崎大に着任。教育文化学部准教授を経て、16年4月から現職。専門は経済政策・地域経済。

 先日、高千穂町に足を運んだ。同町ではパンやどぶろく造り、石蔵を使ったカフェの経営などで若者の活躍が光っている。誤解を恐れずに言えば、田舎に行けば行くほど新しい動きに対して排他的になりがちだが、そのような空気は感じられなかった。それは「高千穂ムラたび」の飯干淳志代表の存在が大きいのだろう。飯干代表が彼の元に集う若者たちのメンター(仕事上の助言者)となり、チャレンジの芽を育てているからだ。

 近頃の地方創生の動きの中で、子育て支援や移住促進、雇用創出などに重きが置かれている。もちろんこれらは重要だが、飯干さんのようにチャレンジの芽を育てる点にはまだスポットが当たっていない。しかし、若い人が起業やチャレンジしやすい環境をつくり、「起業したい」「何かチャレンジしたい」という志を若者の中にどう育てていくかは、地方創生を成功させる鍵として非常に大事になってくる。

 グローバル化や人口減少で市場が成熟していく中、本物志向や「そこにしかないもの」への価値が問われ始めるようになるなど、消費形態は変わってきている。本物志向が高まる時代だからこそ、新しい価値を創造できる仕掛けづくりが必要だ。志を同じくする仲間と集って信頼関係を育み、横のつながりを持つことで豊かな発想や新しい商品などが生まれるのだ。

 最近にぎわいを見せている日南市の油津商店街がその好例だ。若者が飲食店などの経営に挑戦しており、さらにIT企業も参入するなど新しい風も吹いている。同商店街は単なる商店街再生のモデルというだけではなく、価値を創造する場になっているのだ。そんな場で働く人の元には常に情報が舞い込んで来て、さまざまな意見がぶつかり合う。消費者のニーズのとらえ方や商品の情報発信の方法などについて議論することで、商品に新しい価値を加えることができるのだ。

 同商店街ですでに独り立ちしている若者も温かく見守るべきだが、これからを担う挑戦者を育てる取り組みも同じくらい大切だ。2月に起業応援団体「宮崎スタートアップバレー」(宮バレー)と宮崎市役所職員を中心とした民間団体「Miyazaki base campが共催した夢を語るイベントはとても良かった。宮バレー顧問で一平社長の村岡浩司さんら地域で夢を実現してきたリーダーが登壇し、自身がこれまで挑戦してきたことや今後の展望などを熱く語った。「チャレンジを皆で応援し、日本一起業しやすい町を作ろう」という彼らのメッセージは、会場にたくさんいた若者たちに伝わったはずだ。

 本日、本学で新学部の地域資源創成学部が始動する。東京など都市部に行って成功を収めるのがすべてという価値観はもう古い。他者や社会に関心を持ち、地域のためにどのように貢献していけるかを自らで考えて行動できる人材を育てていきたい。教育の観点から、若者の起業やチャレンジに向けて背中を押すのが新しい学部に身を置く者としての責務だと考えている。

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